歯周病を患っている場合、ブラッシングなどで改善できる症状には限界があります。
そのため、歯科クリニックで専用の器具などを使用した治療を受けなければいけません。
しかし、歯周病治療は患者さんが思っている以上に時間がかかることがあります。
今回はこちらの主な原因について解説します。
歯周病治療の内容
一般的に歯周病治療と呼ばれるものには、以下のようなものが挙げられます。
・ブラッシング指導
・スケーリング
・ルートプレーニング
・噛み合わせ調整
・投薬治療
ブラッシング指導では、歯周病の原因となるプラークを取り除くための正しいブラッシング方法を学びます。
またスケーリングは、専用の器具を使って歯の表面や歯周ポケットの浅い部分に付着した歯石やプラークを除去します。
ルートプレーニングは、歯周ポケットが深い場合、歯周病菌に侵された歯の根の表面を滑らかにし、細菌の再付着を防ぐ処置です。
さらに噛み合わせのバランスが悪い場合は、歯周組織への負担を軽減するために調整を行います。
ちなみに症状によっては、抗生物質を歯周ポケットに直接入れたり、内服薬を使用したりすることがあります。
歯周病治療に時間がかかる原因4選
思いの外歯周病治療に時間がかかってしまう原因としては、主に以下のことが挙げられます。
・段階的な治療計画
・歯周病の原因が複雑
・細菌の再増殖
・組織の回復待ち
各項目について詳しく説明します。
段階的な治療計画
歯周病治療は進行度に合わせて、複数のステップに分けて進めます。
つまり、そもそも歯周病治療はある程度時間がかかるものだということです。
まずは、歯科医師や歯科衛生士が歯周病の原因となるプラークや歯石を丁寧に取り除きます。
同時に、患者さん自身が行う正しいブラッシング方法や歯間ブラシの使い方などの指導を受け、口腔内の環境を改善します。
その後初期治療からしばらく期間を空け、歯茎の状態が改善したか、歯周ポケットの深さがどう変化したかなどを確認します。
重度まで進行している場合は、歯周ポケットの奥深くにある歯石を取り除いたり、失われた組織を再生させたりするための外科手術が必要になることがあります。
さらに治療が終わった後も、再発を防ぐために定期的なクリーニングや検診が欠かせません。
多くの場合、細菌の再増殖サイクルに合わせて3〜4ヶ月ごとの定期的な通院が推奨されます。
歯周病の原因が複雑
歯周病の原因が複雑な場合は、通常よりも歯周病治療の時間が長くなってしまうことがあります。
歯周病の主な原因は、歯周ポケットに潜む細菌の塊(バイオフィルム)ですが、単にそれだけではありません。
細菌感染が歯茎炎症を引き起こすと、徐々に歯を支える骨が溶けていきます。
このとき破壊された組織は自然には再生しないため、治療が複雑になり、時間がかかります。
また喫煙の有無、糖尿病などの全身疾患、ストレス、遺伝的要素なども病気の進行や治療への反応に影響します。
そのため、一人ひとりに合わせた治療が必要であり、トータルの治療期間は延びてしまいます。
細菌の再増殖
歯周病菌の再増殖も、歯周病治療の時間がかかる原因です。
歯周病菌は、定期的なクリーニングを怠ると再び増殖してしまいます。
つまり治療によって一度キレイにしても、日々のセルフケアが不十分だと再発するリスクが高まるということです。
そのため、治療期間中だけでなく、その後の長期的な管理が重要になります。
歯周病は虫歯とは違い、“完全に治った”と判断することが難しいです。
組織の回復待ち
歯周病治療を受けたとしても、即座に効果が出るとは限りません。
歯茎や骨が破壊された部分が治癒するまでには、一定の時間が必要です。
特に、重度の歯周病で外科手術を行った場合、組織が安定するまでには数ヶ月かかることもあります。
そのため、治療期間が長く感じる可能性が高いです。
歯周病治療を短くする方法
歯周病治療にかかる時間を短くするには、とにかく毎日のセルフケアが重要です。
まずは歯科クリニックで指導された方法により、歯と歯茎の境目を丁寧にブラッシングしましょう。
電動歯ブラシは、手磨きよりも効率的にプラークを除去できることがあります。
また歯と歯の間や歯周ポケットに入り込んだプラークは、歯ブラシだけでは除去できません。
そのため、毎日デンタルフロスや歯間ブラシを使って徹底的に清掃しましょう。
さらに、歯科クリニックで定期的なクリーニングを行うのも大切ですが、こちらはあまり通院間隔を空けないことが大切です。
通院間隔が長くなってしまうと、細菌が再び増殖し、クリーニングの効果が薄れてしまいます。
まとめ
歯周病治療を検討している方は、まずある程度時間がかかるものだと考えておきましょう。
前もって時間がかかることを把握しておかなければ、面倒になって途中で通わなくなることにつながりかねません。
また当然と言えば当然ですが、歯周病の症状が重ければ重いほど治療にかかる時間も長くなります。
そのため、特に自覚症状がなくても定期検診を受けることが大切です。
