インプラントは、他の健康な歯に悪影響を与えず、なおかつ自身の歯と同等の咀嚼力に回復できるという治療です。
また、インプラントを受けようと考える方の中には、喫煙者の方もいるかと思いますが、実はタバコはインプラントとの相性が良くありません。
今回は、タバコがインプラントに与える悪影響を中心に解説します。
タバコがインプラントに与える悪影響4選
タバコを吸うことで、インプラントに与える悪影響は以下の通りです。
・血流が阻害される
・歯茎の免疫力が下がる
・白血球の活動が抑制される
・感染症のリスクが高くなる
血流が阻害される
タバコにはニコチンという成分が含まれていて、こちらには血管を収縮させる働きがあります。
また、血管が収縮すると、血流が阻害され、インプラントを支えている歯茎に酸素や栄養がうまく供給されなくなります。
その結果、治療後の傷口がなかなか完治しなかったり、インプラントと顎の骨がうまく結合しなかったりする可能性があります。
歯茎の免疫力が下がる
タバコに含まれるニコチンには、体内の免疫力を低下させる作用もあります。
こちらは、歯茎に関しても例外ではありません。
また、免疫力が低下した歯茎は、健康な歯茎に比べて弾力性が少なく、このような歯茎にインプラント治療を施した場合、インプラント体が外側から透けて見え、審美性を失ってしまう可能性があります。
白血球の活動が抑制される
白血球は、体内で細菌と戦い、身体を守る役割を担っています。
つまり、白血球が活発に動いているからこそ、健康な状態をキープできるということです。
しかし、タバコに含まれるニコチンには、こちらの白血球における機能を低下させる働きがあります。
また、白血球の機能が弱まっている状態で、歯茎にバクテリアなどが侵入すると、インプラント治療に伴う炎症が進行しやすく、痛みが出ることも考えられます。
感染症のリスクが高くなる
本来、口内は唾液によって湿度が保たれていますが、喫煙によって乾燥すると、細菌の活動が活発化します。
こちらは、唾液の分泌量が減少することにより、抗菌作用や殺菌作用、口内を洗い流す自浄作用が弱くなるからです。
また、このような状態で歯周病菌が繁殖すると、歯茎や顎の骨に炎症をもたらす歯周病、インプラント周囲炎といった感染症のリスクも高まります。
電子タバコや加熱式タバコは吸っても良い?
タバコと言えば、紙タバコを想像する方も多いかと思いますが、近年は電子タバコや加熱式タバコを愛用する方も増えています。
紙タバコは、葉タバコを刻んで乾燥させたものと、煙をろ過するフィルター、これらを包む巻紙で構成されています。
一方、電子タバコは、香料の入ったリキッドを加熱することで発生する、霧状のベイパーを吸うもので、加熱式タバコは、葉タバコを燃焼ではなく加熱することで発生する蒸気を吸うものです。
電子タバコも加熱式タバコも、紙タバコと違って葉タバコを燃焼させているわけではないため、比較的安全性は高そうに思えますが、インプラントとの相性が良いかというと、決してそういうわけではありません。
加熱式タバコは、すべての有害物質が除去されているわけではなく、血管の収縮など、インプラントをするにあたってマイナスの作用を持つニコチンが含まれています。
また、電子タバコに関しても、安全性については不明であり、製品によっては、紙タバコより有害物質が多いものもあると言われています。
そのため、インプラント治療を受けようとする方、または受けた直後の方は、たとえ電子タバコや加熱式タバコであっても、紙タバコ同様有害なものと捉え、吸わないことをおすすめします。
タバコをやめられない場合の対処法
インプラント治療を受けたい方、治療後の方の中には、どうしてもタバコがやめられないという方もいるかと思います。
そのような方の対処法としては、以下のことが挙げられます。
・術前、術後に一時的に禁煙する
・定期的な検診を受ける
術前、術後に一時的に禁煙する
少なくとも、インプラント治療前の1ヶ月、治療後の1~2ヶ月程度禁煙すれば、インプラント治療を受けることは可能です。
そのため、完全に禁煙するのが難しい方は、こちらの期間だけでも禁煙できるように努力しましょう。
定期的な検診を受ける
インプラント治療後、わずかな期間でも禁煙するのが難しいという場合は、定期的に歯科クリニックに通い、検診を受けることをおすすめします。
具体的には、インプラントの状態確認、歯垢や歯石の除去などを行い、口内環境が悪くならないようにコントロールすることで、タバコの悪影響を最低限に抑えることができます。
まとめ
ここまで、タバコがインプラントに与える悪影響を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
基本的に、インプラント治療前、治療後の喫煙は控えるのが望ましいです。
また、電子タバコや加熱式タバコであっても、身体や口内環境に与える影響はゼロではないため、すべて断ち切った状態で行う治療がもっとも安全です。