インプラント治療は、人工歯根で歯の失った部分を補う治療として、高い知名度と人気を誇っています。
しかし、今後インプラント治療を受けようと考えている方の中には、治療方法や安全性に関する疑問を持っている方もいるかと思います。
今回は、インプラント治療のよくある疑問を解説したいと思います。
インプラント治療は安全?
インプラント治療の前には、問診や血液検査などによって健康状態のチェックを行います。
その後、レントゲン写真のほかに顎の骨のCT撮影を行い、そのデータをもとにコンピューター上にて、ソフトウェアを使って治療計画のシミュレーションを行います。
これらの作業により、インプラント治療が可能であると判断された場合のみ、治療を開始するため、安全性に関しては問題ありません。
また、インプラントはチタンという金属でつくられています。
一定の条件下でチタンを骨に埋め込んだ場合、人体はチタンへの拒否反応を起こさず、チタン表面の酸化膜を通じて骨との間に強い結合が生まれます。
そのため、人体に与える害もありません。
一度インプラントにした歯は生涯使用できる?
一度インプラントにした歯であっても、生涯問題なく使用できるとは限りません。
一般的に、インプラントの寿命は10~15年程度とされていて、日々のメンテナンスを怠ってしまうと、寿命に届かず、早い段階で使えなくなってしまうこともあります。
ただし、定期的に検診を受け、日頃のメンテナンスをしっかり継続させることにより、一般的な寿命よりも長く使用することは可能です。
チタン製のインプラントを最初に入れた患者さんは、亡くなるまでの41年間機能していたと言われています。
インプラントの治療期間は?
インプラントの治療期間は、顎の骨の状態によって大きく変わってきます。
骨の吸収があり、GBR法などの骨を増やす手術が必要な場合には、最終的に歯が入るまで1年近くかかってしまうケースもあります。
ただし、通常は上顎で5~8ヶ月程度、下顎で4~7ヶ月程度です。
また、主に一次手術後の治癒待ちの期間が長くかかり、術後にも経過を確認するため、月に1回ほど歯科クリニックを訪れる必要があります。
インプラント治療中、治療後の痛みは?
インプラント治療では局所麻酔を行うため、治療中に痛みが発生することはありません。
患者さんの希望によっては、点滴を取り、鎮静剤を投与する方法である静脈内鎮静法を併用することで、不安や痛み、時間の経過などをほとんど感じず、治療を受けることができます。
また、治療後は抜歯をしたくらいの痛みがありますが、薬の服用で押さえられる程度のものであるため、心配は不要です。
ちなみに、一次手術後の2日目くらいから、内出血によって腫れが出ることもありますが、痛みはあまり伴わないケースが多いです。
インプラント治療の日は入院が必要?
インプラント治療後は、入院せずにそのまま帰宅することができます。
基本的には、午前中に治療を行い、処置の内容や本数によって所要時間は変わりますが、通常はお昼前には終了します。
また、麻酔医による静脈内鎮静法を行った場合には、治療後麻酔の影響がないことを確認してからの帰宅になるため、少し休む時間が必要ですが、入院をすることはありません。
インプラントは破損する?
転倒などのアクシデントにより、瞬発的な負担がかかった場合や、歯ぎしり、噛み合わせの不調など、継続的な負担がかかった場合などは、丈夫なチタン製のインプラントであっても、破損する可能性があります。
このようなアクシデントを防ぐのは難しいですが、口内全体の噛み合わせを考慮した治療設計に基づいた治療と、治療後の定期的な検診を受けた上で、日頃のメンテナンスをしっかり継続すれば、破損のリスクを抑えながら快適に長く使用することができます。
奥歯でもインプラント治療はできる?
虫歯や歯周病、噛み合わせの負担などによって抜歯が行われるのは、前歯よりも奥歯の方が多い傾向にあります。
つまり、奥歯の方が歯を失いやすいということであり、このような箇所でも当然インプラント治療を行うことは可能です。
CT撮影を行い、骨の状態を診断した上で問題がなければ、すぐ治療に取り掛かることができます。
インプラントのデメリットは?
インプラントは、安全性や耐久性など優れている点の多い治療ですが、もちろんデメリットもあります。
具体的には、外科的な手術が必要になること、全身状態や顎の骨の状態により、適応できない場合があることなどが挙げられます。
その他、治療期間が長いことや、ブリッジ、入れ歯などと比べて費用が高額になることなどもデメリットです。
まとめ
ここまで、インプラント治療のよくある疑問をいくつか解決してきましたが、いかがでしたでしょうか?
インプラント治療を受けるのであれば、特徴や治療内容、注意点などを事前に把握し、不安をなくした状態で受けることをおすすめします。
また、わからないことがあれば、歯科クリニックにおけるカウンセリングの場でその都度質問することも大切です。