虫歯は、ミュータンス菌などの原因菌が出す酸により、歯のカルシウムが溶かされ、歯がもろくなったり、穴が開いたりする症状です。
こちらは、痛みを伴うことのある症状であり、放置していると別の病気が発生してしまうこともあります。
ここからは、虫歯が原因で発生する病気やその症状について解説します。
虫歯が原因で発生する病気&症状6選
虫歯ができているにもかかわらず、治療せずに放置していると、以下のような病気を発症することがあります。
・誤嚥性肺炎
・心臓病
・早産
・中耳炎
・痴呆
・脳梗塞
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は、嚥下機能が低下することにより、食べカスや唾液を飲み込む際、誤って気管に入ってしまうというものです。
嚥下機能が正常であれば、器官に異物が入ることはまずありませんが、こちらの異物が虫歯菌である場合、器官を通り、そのまま肺に到達してしまいます。
こちらが、肺の炎症につながります。
ちなみに、体力の弱っている高齢者の方は、こちらの症状が命に関わることもあるため、注意しなければいけません。
心臓病
虫歯菌が体内に入り込むことにより、感染症心内膜炎などの心臓病を発症することがあります。
感染症心内膜炎は、心臓の心内膜と呼ばれる場所に生じる感染症です。
心臓の弁に感染を起こし、弁破壊と弁膜症などの症状が見られます。
こちらは虫歯や歯周病を原因とする歯茎の炎症などの感染部位から、体内に細菌が入り込むことが原因であり、高熱や心拍数の上昇、悪寒や関節症といった症状を引き起こします。
また、虫歯は狭心症や心筋梗塞も引き起こすことがあり、動脈硬化も進展しやすいです。
虫歯菌などの成分が直接血管に障害を与えたり、炎症の起きた歯周組織でつくられる炎症性物質が血流を通じて心臓、血管に移動し、血管内皮細胞や動脈硬化部分の免疫細胞が活性化されたりすることで、動脈硬化を進展させるという仕組みです。
早産
妊娠をしている方は、虫歯を発症することにより、早産のリスクが高まるとされています。
出産が近づくと、プロスタグランジンという炎症抑制物質が子宮で分泌され、分娩が始まります。
しかし、虫歯や歯周病により、炎症が広がると、その炎症を抑えようと同じ炎症抑制物質(プロスタグランジン)がつくられ、子宮の収縮が促進されます。
こちらが、早産につながる仕組みです。
ちなみに、虫歯や歯周病は、産後の赤ちゃんにも影響するとされています。
特に、重度歯周病の妊婦さんは、低体重児出産のリスクが約7.5倍になるという海外の報告があります。
中耳炎
日常生活において突如現れる身体の不調は、虫歯が引き起こしている可能性があります。
そのような症状の1つが、中耳炎です。
中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳が炎症を起こす病気で、主に虫歯が原因で発症する副鼻腔炎の合併症として発症します。
具体的には、虫歯菌が中耳に侵入し、炎症を起こすというもので、繰り返しかかると、慢性中耳炎になることもあります。
ちなみに、副鼻腔炎は、歯の根元などが虫歯によって炎症を起こし、上顎洞と呼ばれる副鼻腔にまで広がる症状であり、歯性上顎洞炎とも呼ばれます。
痴呆
虫歯を放置し、口内の細菌が増加すると、歯や歯茎は弱くなっていきます。
このような状態でもさらに放置を続けていると、歯が抜けてしまい、うまくものが噛めなくなる可能性があります。
うまくものが噛めなかったり、噛む運動が少なくなったりすると、脳細胞の動きが鈍くなり、結果的には痴呆のような状態になることも少なくありません。
また、うまく噛み合わせができないことにより、首の角度が変化し、呼吸する状態が悪くなることから、脳へ送らなければいけない血流量が少なくなることも考えられます。
脳梗塞
虫歯を放置したことにより、神経にまで達すると、神経は腐敗し、虫歯菌をばらまくようになります。
こちらの虫歯菌は、顎の骨にまで広がり、炎症や膿、熱や嘔吐といった症状につながります。
また、虫歯菌はその後、血液の中にも侵入し、最終的には血管を通じて全身に回ります。
その結果、脳にまで虫歯菌が回り、脳梗塞を発症することがあります。
確率としてはそれほど高くありませんが、虫歯を放置したことにより脳梗塞の発症により、死に至ったという事例もあるため、注意が必要です。
少しでも違和感があればすぐに治療を
虫歯が原因の病気を発症させないためには、少しでも違和感があったタイミングで、早急に歯科クリニックを訪れるのが一番です。
虫歯の進行速度には個人差がありますが、早ければ数ヶ月~1年程度放置することで、虫歯の末期にまで到達する可能性もあります。
こちらは、C4と呼ばれる状態で、歯冠はボロボロになり、歯の神経も死滅し、病気につながる可能性も高くなります。
まとめ
ここまで、虫歯が原因で発生する病気とその症状について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
虫歯の進行は、歯や歯茎など、口内だけにとどまりません。
長い間放置することにより、脳疾患や心臓疾患など、命にかかわる病気につながることもあるため、できる限り歯科クリニックでの定期検診により、早期発見、早期治療を心掛ける必要があります。