インプラント治療は、インプラント自体の改良や医師の技術の進歩などにより、昔に比べて安全性は高まり、その成功率はおよそ95%と言われています。
しかし、外科手術を伴う治療であることから、それ相当のリスクはあります。
ここからは、インプラント治療における主なリスクについて解説します。
インプラント治療における主なリスク7選
冒頭で触れたように、インプラント治療は決して危険な治療ではありません。
しかし、以下のようなリスクがあるのは事実です。
・術後の腫れ、痛み
・歯周病菌への感染
・骨とインプラントが結合しない
・金属アレルギー
・見た目への影響
・インプラントの寿命短縮
・神経が傷つくことによる麻痺
術後の腫れ、痛み
インプラント治療後のリスクとしてもっとも一般的なのが、腫れや痛みです。
インプラント治療では、歯茎を切り取り、骨を削っているため、多少の腫れや痛みはどうしても出てしまいます。
埋まっている親知らずを抜いたときと同様、身体が炎症反応を起こすからです。
ただし、軽度の腫れや痛みは1~2週間程度で治まるケースが多く、大きなリスクとしては捉えられていません。
痛み止めを服用し、様子を見るケースがほとんどです。
歯周病菌への感染
インプラント治療後、定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントと歯茎の周囲に炎症が起こります。
こちらは、インプラント周囲炎と呼ばれるものであり、進行するとインプラントを支える顎の骨が溶けてしまいます。
もちろん、このような歯周病の症状は、インプラントだけに起こるわけではありません。
ブリッジや入れ歯でも、口内の清掃が不十分な場合、歯周病菌に感染します。
また、このようなリスクは、治療後に歯科クリニックで歯周病の検診を受けたり、PMTCで口内を清潔に保ったりすることである程度回避できます。
骨とインプラントが結合しない
顎の骨の量については、CTで撮影することによって確認を行いますが、稀に顎の骨の質が良くない方は、結合しない状態になります。
また、インプラントを埋入する際は、注水しながらドリルを使用しますが、水の量が少ないと、オーバーヒートという現象が起こります。
こちらは、簡単にいうと骨がやけどした状態であり、インプラントが結合できない原因になります。
金属アレルギー
インプラント治療で顎の骨に埋め込む人工歯根は、チタンという素材でつくられています。
こちらは、金属アレルギーが起こりにくい金属として有名で、医科の分野でも古くから人工関節の材料として、広く活用されています。
しかし、ごく稀にチタンアレルギーを持っている方もいるため、インプラント治療でも金属アレルギーのリスクがゼロとは言い切れません。
特に、人工歯根の材料が純チタンではなく、チタン合金である場合は、その他の金属も含まれている点に注意しなければいけません。
見た目への影響
前歯でインプラント治療を行った場合、時間が経つにつれて、見た目に影響が出る可能性があります。
インプラント治療を行った部分は、元々の歯が抜けている部分ですが、通常歯が抜けた部分の骨はや歯茎は、徐々に小さくなっていきます。
そのため、インプラント治療を行っても、周りの歯茎が退縮していくことにより、歯が長く見えてしまいます。
また、インプラント治療を行った部分の歯茎が薄いと、金属でできたインプラント体が透けることにより、歯茎の一部が黒っぽく見えてしまうことがあります。
インプラントの寿命短縮
インプラント治療後は、生活習慣が原因で、インプラントの寿命を短縮させてしまうリスクもあります。
例えば、糖尿病や喫煙、歯ぎしりや口呼吸などは、歯周病を進行させる原因であり、インプラント周囲炎を引き起こすきっかけとなります。
特に、糖尿病は免疫細胞の活動が鈍り、歯周病になりやすいという特徴があります。
また、高血圧の状態が続くと、傷が治りにくいため、インプラント治療自体のリスクも高くなります。
神経が傷つくことによる麻痺
下顎の骨には、下顎管というトンネルがあり、こちらには動脈や静脈が通っていますが、その管だけでなく、骨の中を神経が通っていることもあります。
また、経験が豊富な歯科クリニックであればほとんど問題ありませんが、稀に人為的なミスにより、こちらの神経を傷付けてしまうおそれがあり、神経が傷つくと、一時的に麻痺が起こることが考えられます。
ただし、麻痺が出た場合でも、口が動かせなくなるなどの症状が出ることはありません。
万が一麻痺が出た場合には、神経が回復するまでの期間が必要であるため、ビタミンやステロイドホルモンなどを使用して治療を行います。
まとめ
ここまで、インプラント治療における主なリスクについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
インプラント治療のリスクは、そのほとんどが患者さんの口内環境や身体の状態、生活習慣に起因していて、人為的なミスはほんの一部です。
そのため、問題なく治療を完了させるためにも、歯科クリニックの説明をきちんと受け、ルールを守ることが大切です。