入れ歯は歯科クリニックできちんと噛み合わせを取り、患者さんの口内に合わせて作製するため、本来はピッタリとフィットしているはずです。
しかし、中には入れ歯を装着しても、すぐに外れてしまうという方もいます。
今回は、入れ歯がすぐ外れる場合の主な原因を中心に解説したいと思います。
入れ歯がすぐ外れる場合の主な原因5選
オーダーメイドの入れ歯を作製したにもかかわらず、すぐ外れてしまうという場合、以下のような原因が考えられます。
・金具が緩い、合っていない
・入れ歯の面積が大きい、小さい
・骨の変化
・入れ歯の摩耗
・細菌による変質
金具が緩い、合っていない
自分用の入れ歯を作製してからそれほど日が経っていないにもかかわらず、頻繁に外れてしまうという場合は、金具が緩かったり、合っていなかったりする可能性があります。
部分入れ歯では、天然歯にクラスプという金具をひっかけ、入れ歯を安定させますが、こちらが緩いと入れ歯が落ちたり、外れやすくなったりします。
また、何らかのダメージにより、クラスプ自体が変形してしまっている場合も、同様に入れ歯が固定されず、外れる原因になります。
入れ歯の面積が大きい、小さい
総入れ歯がすぐ外れてしまうという場合、入れ歯の面積が大きかったり、小さかったりする可能性があります。
総入れ歯が口内で安定する原理は、粘膜との吸着力です。
そのため、入れ歯が粘膜を覆う面積が大きく、粘膜のよく動く部分まで覆っていると、口を動かすたびに入れ歯も動き、外れやすくなります。
また、入れ歯が粘膜を覆う面積が小さい場合も、吸着がうまく得られず、外れる原因になります。
骨の変化
しばらく使用していた入れ歯が、少しずつ外れやすくなっているという場合は、骨の変化が原因であることが考えられます。
口内は、顔つきや身体つきが変わるのと同じように、年齢とともに変化していきます。
また、骨は新陳代謝を繰り返し、古い骨が分解されると同時に新しい骨がつくられますが、加齢によって新しい骨のつくられる速度が遅くなると、土台になる歯茎や顎の骨が次第に痩せていきます。
これにより、入れ歯との間に隙間ができ、外れやすくなってしまいます。
入れ歯の摩耗
入れ歯は食べ物を噛んだり潰したりするたびに、少しずつ摩耗していきます。
こちらは、短期間では気付かない程度の変化ですが、長期間毎日入れ歯を使用していると、その擦り減りが顕著になり、噛み合わせが合わなくなるなどの不具合が生じます。
また、この頃には、見た目にも入れ歯が擦り減ってきたのがわかります。
細菌による変質
入れ歯は人工物ですが、天然歯と同じように食べカスやプラーク、細菌などが付着します。
特に、カンジダなどの菌類は、入れ歯の床部分の素材に侵入し、床の形状を変質させてしまうことがあります。
また、唾液に含まれるカルシウムなどが付着し、歯石のようになって沈着することもあり、このようなケースでは、入れ歯が接触する粘膜部分での炎症を発生させ、密着度を悪化させてしまうことが考えられます。
すぐに外れる入れ歯を使い続けるとどうなる?
すぐに外れる入れ歯を調整したり、つくり直したりせず、そのまま使い続けると、以下のようなデメリットが生じます。
・粘膜を傷付けやすくなる
・天然歯の寿命が縮まる
・顎関節症になる
粘膜を傷付けやすくなる
すぐ外れてしまうような入れ歯は、口内でずれて動いたり、本来力がかからない部分に力がかかったりします。
このような状態を放置していると、食事や会話のたびに粘膜と擦れて傷つけてしまい、痛みが生じたり、口内炎ができたりする可能性があります。
天然歯の寿命が縮まる
外れやすい入れ歯を調整せず、放置することで、残存する天然歯の寿命が縮まる可能性があります。
合っていない入れ歯は、入れ歯を支えるための天然歯に、本来よりも大きな負荷を与えることになります。
厳密に言うと、入れ歯が合っていたとしても、天然歯にはある程度土台としての負荷がかかるため、合っていない場合はこちらの負荷がより大きくなります。
その結果、天然歯の寿命を縮めてしまうという仕組みです。
顎関節症になる
すぐ外れる入れ歯を使い続けることにより、顎関節症を発症するおそれがあります。
入れ歯と残存する天然歯の噛み合わせが悪かったり、入れ歯の大きさやバランスが悪く、噛み合わせに影響が出ていたりすると、片方の顎だけに大きな負担がかかるようになります。
また、このような状態が続くと、筋肉のバランスも悪化し、さらに片方の顎の負担は大きくなり、顎関節症を引き起こすことが考えられます。
まとめ
ここまで、入れ歯がすぐ外れてしまう場合の主な原因を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
入れ歯はオーダーメイドの人工歯ですが、永久的に問題なく使用できるというわけではありません。
自身の歯や歯茎などが変化することにより、使いづらさや痛みを感じることは十分に考えられるため、少しでも違和感があれば歯科クリニックに相談し、改善してもらうことが大切です。