さまざまな種類がある矯正治療ですが、いずれも実施する目的は同じです。
具体的には、噛み合わせを良くし、口内を清潔に保ちやすくしたり、咀嚼や発音のしやすさを向上したりすることが目的です。
では、矯正治療を途中でやめてしまうとどうなるのでしょうか?
今回はこちらの点を中心に解説します。
矯正治療を途中でやめることになる理由
矯正治療は、検査や診断を行ってから矯正装置を装着し、数ヶ月間歯を動かした後、保定装置に切り替えることで完了します。
しかし、理由によっては、途中でやめたくなる、もしくは継続するのが難しくなる場合があります。
具体的には、以下のような理由です。
・遠方への引っ越し
・ライフスタイルの変化
・違和感や痛みによるストレス
・金銭的な問題
遠方への引っ越し
転勤などにより、遠く離れた地域に引っ越すようなケースでは、これまで通っていた歯科クリニックに通うのが難しくなり、矯正治療を継続できない場合があります。
すでに矯正治療が保定期間に入っている状況であれば、年に数回だけの通院で済むため、まだ何とか通えるかもしれませんが、調整が必要な期間である場合、かかりつけの歯科クリニックは中断し、転院しなければいけない可能性が高いです。
ライフスタイルの変化
矯正治療は、年単位の期間を要することも多く、治療期間中に患者さんのライフスタイルが変化し、なかなか矯正治療を続けられないということも考えられます。
例えば、結婚や出産により、子ども優先のライフスタイルになったり、転職によって仕事が忙しくなったりすると、これまで通りのスケジュールで治療ができない可能性があります。
違和感や痛みによるストレス
矯正治療は、安全性の高い治療ではありますが、歯を動かすことにより、違和感や痛みが生じることはあります。
思っていたよりもこちらの違和感や痛みが強い方は、精神的なストレスを感じやすく、矯正治療をやめたいと思うことも考えられます。
また、矯正装置については、毎日決められた時間装着しなければいけなかったり、こまめな清掃が必要だったりと、管理にもある程度負担がかかります。
こちらを面倒に感じたり、ストレスになったりした方も、矯正治療を途中でやめてしまうことがあります。
金銭的な問題
数ある歯科治療の中でも、矯正治療は比較的高額治療に分類されます。
多くの歯科クリニックでは、治療費の支払いについて、無利子で分割することができるものの、患者さんの中には頭金を支払い、治療を始めたにもかかわらず、途中で支払いができなくなってしまうという方もいます。
そして、そのまま支払い伸ばす目的で、治療を中断してしまうケースも少なくありません。
矯正治療を途中でやめるとどうなる?
矯正治療を途中でやめると、歯の位置が完全に修正されず、歯列や噛み合わせの問題が残ることになります。
むしろ、中途半端な状態でやめてしまうことにより、治療前よりも噛み合わせが悪化する可能性が高いです。
また、矯正治療を途中でやめると、治療中の進捗が失われ、歯が元の位置に戻る後戻りのリスクも高くなります。
その他、単純に経済的な損失が出ることも、矯正治療を途中でやめることのデメリットです。
先ほども触れたように、矯正治療は高額治療です。
特定の疾患以外は健康保険が適用されず、すべての処置が自費診療になります。
そのため、歯科クリニックの契約書にもよりますが、患者さんの都合で治療をやめるということになった場合、基本的にはこれまで支払った治療費が返還されるということはありません。
矯正治療を途中でやめないためには?
矯正治療を途中でやめないようにするには、まず将来的なことを見越して開始時期を決定することをおすすめします。
将来的に転勤や結婚、出産など、ライフスタイルの変化で矯正治療を継続することが難しくなり得る場合は、時期を十分に考慮した上で治療を始めてください。
また、引っ越しをしても、転院すれば矯正治療を継続することは可能ですが、スムーズに矯正治療を進めるためには、開始から終了まで同じ歯科クリニックに通うことが大切です。
そのため、矯正治療は、引っ越しをする予定がない時期に始めるべきです。
ちなみに、矯正治療を途中でやめないようにするには、歯科クリニックの医師との相性も大事になってきます。
なんとなく歯科クリニックを選んだせいで、なかなか治療が進まず、転院が重なり、治療費ばかりがかさんでしまうというケースも少なくありません。
もちろん、医師の説明がわかりにくかったり、性格が合わなかったりすることで、矯正治療のモチベーションが上がらないということも考えらえるため、治療前にはさまざまな歯科クリニックに相談することが大切です。
まとめ
ここまで、矯正治療を途中でやめてしまう理由やデメリット、やめないための対策について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
矯正治療を途中でやめることは不可能ではありませんが、基本的には、一度始めたら最後までやりきる覚悟を持っておかなければいけません。
治療費だけかかり、結果的に矯正前より症状がひどくなってしまうようなことのないよう、適切な歯科クリニック選びも重要です。