歯周病は、歯茎の炎症や腫れ、出血だけでなく、歯の脱落や心臓病、誤嚥性肺炎といった命に関わる病気にもつながる可能性があります。
そのため、日頃からブラッシングを徹底し、予防に努めなければいけません。
ここからは、歯周病予防を意識したブラッシングの方法などを中心に解説します。
歯周病予防にブラッシングが必要不可欠な理由
歯周病の原因は、磨き残しや誤ったブラッシングにより、口内に蓄積したプラークです。
プラークは、細菌が集まって歯の表面に形成したバイオフィルムというものの集合体で、歯と歯の間、歯と歯茎の間などにねっとり付着するため、うがいをする程度では除去できません。
また、プラークを放置することにより、口内で細菌がどんどん繁殖し、次第には歯肉炎、歯周病などを発症してしまいます。
さらに、プラークには細菌の産生物も多く含まれ、それらがバリアの役割を果たし、口腔内の防御作用を弱めてしまうこともあります。
つまり、しっかりとブラッシングをし、プラークを落とさなければ、歯周病などの症状につながるだけでなく、薬剤などを使用して口内をキレイにしようとしても、その効果が十分に発揮されない可能性があるということです。
歯周病予防を意識したブラッシングの方法
歯周病予防を意識したブラッシング方法としては、スクラビング法という方法であり、こちらは、すでに軽度の歯肉炎が見られる方にもおすすめです。
まず、ペンを持つように歯ブラシを持ち、軽い力で歯を磨きます。
大抵の方は、この時点で力が入りすぎているため、注意してください。
具体的には、歯ブラシの毛先を指で押したとき、爪がわずかに白くなる程度の強さが理想です。
また、歯ブラシの毛先は歯と歯茎に対して直角になるように当て、2~3mm程度の幅で小刻みに、前後に動かします。
1ヶ所につき20回以上、1~2本の歯の間を小刻みに振動させます。
その他のポイントとしては、歯の裏や奥歯など、毛先を直角に当てにくい部分について、45度に歯ブラシを当てるということです。
2~3mm程度の動きを1ヶ所20回以上磨くのが難しい方は、電動歯ブラシを使用しても構いません。
歯周病予防を意識した歯ブラシの選び方
歯周病を予防するには、前述の通り、いかにプラークを除去できるかというところがポイントになります。
そのためには、歯ブラシ選びも大事になってきます。
市販の歯ブラシには、さまざまな毛先のタイプのものがありますが、毛の硬さについては、“ふつう”もしくは“やわらかめ”を選びましょう。
“かため”は歯茎を傷付けるため、おすすめできません。
また、ヘッドはなるべく小さいものにすることで、奥歯などの磨きにくいところまで歯ブラシが届きますし、毛は細いものを選ぶべきです。
ある程度歯肉炎や歯周病の症状が出ている方は、毛の細い歯ブラシを使用することにより、歯周ポケットの中までしっかりと磨くことができます。
ちなみに、毛先が開いてきたタイミングで、適宜歯ブラシを交換することも大切です。
目安としては、ヘッド部分を後ろから見たとき、毛が外にはみ出していれば交換時期だと言えます。
歯周病予防を意識した歯磨き粉の選び方
歯周病予防を意識するのであれば、口内の細菌に対し、高い殺菌作用を発揮する歯磨き粉がおすすめです。
具体的には、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)や、CPC(塩化セチルビリジニウム)などが含まれている歯磨き粉です。
また、歯茎の炎症を抑えるトラネキサム酸やグリチルリチン酸、歯茎を活性化するビタミンEなどが含まれている製品も、歯周病予防には向いています。
ちなみに、歯肉炎や歯周病により、すでに歯茎が弱っている方は、これ以上歯茎を傷付けないよう、研磨剤が少ない低研磨の歯磨き粉や、研磨剤無配合の歯磨きを選ぶべきです。
これらの有効成分については、歯磨き粉の裏面に必ず記載されているため、購入時は確認するようにしてください。
歯周病は薬で治すことができるのか?
歯周病は口内に残存したプラークが原因で発症するものですが、こちらはブラッシングでなはく、薬で治すことができるのでしょうか?
結論から言うと、薬での治療は不可能です。
ドラッグストアなどを訪れると、「歯周病を治す」「歯周病に効く」という触れ込みの塗り薬、軟膏などが販売されていることもありますが、これらを使用しても、歯周病を根本から治すことはできません。
歯周病は細菌感染症の一種であり、プラークや歯石が残存している限り、細菌は繁殖し続けます。
そのため、一時的に歯周病の炎症などを抑えることができたとしても、丁寧なブラッシングを行わない限り、症状は何度でも繰り返します。
まとめ
ここまで、歯周病予防を意識したブラッシング方法、デンタルケアグッズの選び方などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
冒頭で触れた通り、歯周病はさまざまな合併症が存在する病気であり、放置していると全身に悪影響を及ぼします。
また、気付かないうちに進行しているケースも多いため、正しいブラッシングや定期検診により、予防を徹底することが大切です。