審美歯科治療の一つであるセラミック治療は、虫歯を治療した箇所にセラミック素材の詰め物、被せ物を装着し、審美性を高めるというものです。
しかし、こちらの治療が必ず患者さんの思い通りに完了するかというと、実際はそうとは限りません。
今回は、セラミック治療をやり直さなければいけないケースについて解説します。
セラミック治療をやり直さなければいけないケース
以下のケースに該当する場合、セラミック治療をやり直さなければいけない可能性が高いです。
・虫歯の再発
・歯周病
・根尖性歯周炎
・見た目の変化
・腫れの継続
・色調、形態の不満
・破損
虫歯の再発
セラミックは、虫歯の再発が起こりにくい素材ではありますが、治療後のケアやメンテナンスを怠っていると、再発する可能性はあります。
セラミックを支えている歯が虫歯になると、歯の中心部にある神経や血管が炎症を起こし、痛みを伴います。
また、細菌の繁殖により、歯周病や口臭を引き起こすこともあり、このような場合はセラミックを取り外し、再治療をしなければいけません。
歯周病
歯周病は、歯周組織に生じる病気の総称です。
セラミックの被せ物の形態が、プラークの除去に適したものではない場合、被せ物のマージン(歯と被せ物の境目)を中心に歯周病が発生します。
また、こちらの症状を改善させるためには、装着した被せ物を一度除去し、治療をやり直さなければいけないこともあります。
根尖性歯周炎
セラミッククラウンの形状が原因で歯周病を発症し、こちらが深刻になると、歯がグラグラしてきて、最終的には抜歯に至ることがあります。
こちらは、根尖性歯周炎、根尖病巣と呼ばれるもので、セラミックの詰め物、被せ物を装着している歯で発症した場合には、治療をやり直さなければいけません。
見た目の変化
過度な力によるブラッシング、加齢などの原因により、歯茎が以前より下がることがあります。
また、歯茎が下がると、セラミックと歯茎の間に隙間ができ、見た目が悪くなったと感じる方が多いです。
このようなケースでは、今の歯茎の形に合ったセラミックをつくるために、治療をやり直した方が良いこともあります。
腫れの継続
セラミック治療の後は、ある程度歯茎の腫れなどの症状が出ますが、こちらが一向に引かないケースがあります。
このような腫れの主な原因は、審美性に優れる歯並びを実現するために、セラミックの被せ物を無理な位置にはめ込んでいることです。
セラミック治療は、歯並びを根本的に治す治療法ではありません。
歯を削り、その上にセラミックの被せ物を装着することで、歯並びをキレイに見せているだけです。
つまり、患者さんの元々の歯並びが悪いと、本来の歯の向きを無理に変えることになり、それが炎症につながってしまうということです。
もちろん、このようなケースでも再治療が必要になります。
色調、形態の不満
セラミックの被せ物を装着したのは良いものの、「思ったような白さじゃない」「歯の大きさが気に入らない」などと、色調や形態に不満を持つ方は少なくありません。
しかし、一度装着したセラミックの修正は極めて困難です。
そのため、見た目に満足できない場合は、セラミック治療を一からやり直し、新しい補綴物をつくらなければいけません。
破損
セラミックは陶器と同じような素材であるため、強い衝撃を受けることで割れてしまう可能性があります。
また、このとき破損した部分が小さければ、セラミック専用の修正を施すことができますが、破損が大きい場合は修正することができないため、新しくつくり替える必要があります。
セラミック治療のやり直しを防ぐには?
セラミック治療のやり直しは、身体の負担が大きくなりますし、なおかつコストもかかりやすくなります。
そのため、失敗を防ぐためにも、歯科クリニック選びは慎重に行いましょう。
具体的には、以下のようなポイントを押さえた歯科クリニック選びが重要です。
・ホームページなどで症例を確認する
・噛み合わせまで意識した治療ができる歯科クリニックを選ぶ
・優秀な歯科技工士と連携しているところを選ぶ
セラミック治療は、審美性を高めることが主な目的ですが、治療を受けるのであれば、その歯科クリニックにおける他の治療の症例についてもチェックしておきましょう。
他の症例も豊富に扱っている歯科クリニックであれば、噛み合わせまで総合的に意識したセラミック治療が期待できます。
また、セラミックの被せ物を製作するのは、医師ではなく歯科技工士です。
そのため、優秀な歯科技工士と連携しているかどうかも、失敗を防ぐためには重要なチェックポイントだと言えます。
まとめ
ここまで、セラミック治療をやり直さなければいけないケースについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
セラミック治療を受ける際は、時間をかけて歯科クリニックを選ぶことで、やり直しのリスクをある程度軽減できます。
また、治療前のカウンセリングでは、自身の希望をしっかりと伝え、治療後にはセルフケア、歯科クリニックでのメンテナンスを徹底してください。