歯科クリニックにおいて、審美歯科治療で用いられるクラウンには、保険診療のものだけでなく、自由診療のものも多いです。
また、自由診療のクラウンは、個性的なものばかりであり、どれも異なる特徴を持っています。
ここからは、自由診療のクラウンの一つであるゴールドクラウンのメリット・デメリットについて解説します。
ゴールドクラウンの概要
ゴールドクラウンは、金合金やプラチナ合金などの貴金属を使用したクラウンです。
金歯とも呼ばれるもので、金色に光り輝く派手な見た目が特徴です。
金合金は、金を主成分に銀や白金を加えたものであり、主に20Kや18Kの合金が用いられます。
また、プラチナ合金は、白金とも呼ばれるプラチナに他の金属を混同させたもので、いずれも歯科治療においては、使用される機会の多い金属です。
ゴールドクラウンのメリット
ゴールドクラウンの主なメリットは以下の通りです。
・適合精度が高い
・適度な強度がある
・変色しない
・金属アレルギーが起こりにくい
・歯と熱膨張率が近い
適合精度が高い
ゴールドクラウンは、金属でありながら柔らかく、鋳造性が高いため、クラウンと歯の隙間がほとんどなく、ぴったりとくっつきます。
そのため、歯とクラウンの隙間に食べカスや虫歯菌が入り込むリスクが少なく、適合精度は数ある素材の中でもトップクラスだと言えます。
適度な強度がある
ゴールドクラウンは強度があるため、薄く伸ばしても折れることがありません。
そのため、クラウン自体も薄くすることができ、歯を削る量も少なくて済みます。
また、歯と同等の硬さがあるため、使用しているうちに天然歯とほぼ同じスピードで擦り減っていきます。
強度がありすぎて、噛み合う歯を阻害するようなこともありません。
さらに、ゴールドクラウンは素材が破断せず、柔軟に変形できる展延性というものがあるため、ものを噛んでいるうちにだんだん噛み合わせが合っていきます。
最終的には、噛み合わせの違和感はほとんどなくなり、自然に食事を楽しむことができます。
変色しない
レジンなどの保険適用のクラウンには、吸水性といって、時間が経過するにつれて材料が水分を吸収してしまう性質があります。
こちらはクラウンの変色につながりますが、ゴールドにはこのような変色が見られません。
また、唾液の酸で腐食する心配もありません。
金属アレルギーが起こりにくい
保険適用の銀歯は、さまざまな金属が合わさってつくられていますが、中でもパラジウムという金属は、アレルギーを引き起こしやすいと言われています。
また、アマルガムといって、水銀を主成分とした金属による歯科治療も、水銀が少しずつ体内に流出していくため、健康面で安全な材料とは言えません。
一方、ゴールドはパラジウムや水銀といったアレルギーの原因になりやすい金属が含まれていないため、金属アレルギーのリスクは極めて低いです。
歯と熱膨張率が近い
歯や歯科材料を含むほとんどの物質は、冷たいと縮み、熱くなると膨らみます。
また、口内は冷たい飲食物や熱い飲食物により、さまざまな温度に変化しますが、ゴールドクラウンは天然歯と熱膨張率が近いため、歯の負担が少なく、長期間使用できる可能性が高いです。
ゴールドクラウンのデメリット
ゴールドクラウンは適合精度の高い素材ですが、以下のようなデメリットもあります。
・見た目が目立つ
・熱いものや冷たいものがしみやすい
・治療費が高い
見た目が目立つ
オールセラミックなどのクラウンは、審美性を追求したものであるため、自然でキレイな治療が可能ですが、ゴールドクラウンはその点があまり考慮されていません。
色味は必ず金属由来のものとなるため、他のクラウンのように、天然歯と歯の色を合わせ、自然な見た目にすることも難しいです。
熱いものや冷たいものがしみやすい
ゴールドクラウンは、他の素材に比べて熱伝導率が高いです。
そのため、人によっては、熱いものが冷たいものがしみるように感じやすくなることもあります。
治療費が高い
こちらは、自由診療のセラミック全般に言えることですが、ゴールドクラウンは保険が適用されないため、どうしても治療費は高額になりやすいです。
こちらの金額については、歯科クリニックによって多少変わってきますが、1本につき4~12万円程度かかるケースが一般的です。
ゴールドクラウンが向いている人の特徴
ここまでの特徴を考慮すると、ゴールドクラウンは以下のような方に向いていると言えます。
・健康面を重視した、身体に優しい素材を使用したい人
・咬合力の強い人
・歯ぎしりや食いしばりがある人
・セラミックより耐久性を重視したい人
まとめ
ここまで、ゴールドクラウンのメリット・デメリットについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
セラミック素材の人気が高い今、ゴールドクラウンは決してメジャーな材料とは言えませんが、他の材料にはない数々のメリットがあります。
ただし、クラウンを装着する際は、他の素材のメリット・デメリットも把握し、比較することが大切です。