【広島の歯医者】子どもの歯における形態異常について

子どもの歯は生後6ヶ月頃、まずは下の前歯から生え始めます。

また、乳歯がすべて生え揃うのは3歳半頃、永久歯がすべて生え揃うのは15歳頃です。

しかし、場合によっては、これらの乳歯や永久歯が異常のある状態で生えてくることがあります。

今回は、子どもの歯における形態異常について解説したいと思います。

目次

形態異常とは?

子どもの歯における形態異常とは、歯の形が通常と違うことをいいます。

例えば、他の歯と違う形の歯が生えてきたり、大きさが違う歯が生えてきたりといったことを指し、こちらは特に形態分化期と深い関係があります。

形態分化期は、将来のエナメル質と象牙質の基質が規律的に発育していく時期であり、こちらの時期に障害があると、歯の外形や大きさを変えてしまうおそれがあります。

子どもの歯における形態異常6選

子どもの歯でよく見られる形態異常には、主に以下のものが挙げられます。

・矮小歯
・巨大歯
・癒合歯
・カラベリー結節
・中心結節
・斜切痕

矮小歯

矮小歯(わいしょうし)とは、通常の歯と比べて、歯の大きさが非常に小さい歯のことをいいます。

歯の退化現象だと考えられていて、小葉症(しょうようしょう)とも呼ばれます。

矮小歯の発生頻度は、上あごの側切歯、親知らずが特に高く、乳歯の側切歯(乳側切歯)にもしばしば見られます。

これらは本来、退化傾向の強い歯のため、矮小歯としての出現頻度も高いものと考えられています。

また、上あごの側切歯の矮小歯で、歯冠が円錐形をしているものを円錐歯(えんすいし)、親知らずで歯冠がつぼみ状の形をしているものを蕾状歯(らいじょうし)といいます。

巨大歯

巨大歯とは、矮小歯とは逆に、通常の歯よりも異常に大きい歯のことをいいます。

主に永久歯の前歯に見られることが多く、顎の大きさとのバランスが取れないため、並びきれずにガタガタの歯並びや出っ歯になる場合もあります。

ちなみに、上顎中切歯の幅の平均値は男の子で8.6mm、女の子で8.2mmです。

一般的には、これより大きい歯を巨大歯といいます。

9.0mmや10.0mm、中には1cm以上の巨大歯が生えてくる子どももいます。

ちなみに、中切歯が大きい場合、隣の側切歯、さらに犬歯も大きいため、前歯をキレイに並べるためには、通常よりも矯正治療によって拡大する量が多く必要です。

癒合歯

癒合歯とは、2本の隣り合った歯が結合して1本になって生えてきた歯のことをいいます。

永久歯よりも乳歯に多く見られ、ほとんどが真ん中から3本目までの上下の前歯に起こります。

癒合歯を1本と数えると、歯の数は通常より少なくなります。

また、癒合歯の分離や、歯そのものに対しての処置は一般的に行いませんが、境目がくぼんでいる場合は、汚れやすく虫歯になりやすいためケアを徹底する必要があります。

ちなみに、癒合歯は永久歯の萌出や歯並びに悪影響が出る場合もあるため、定期的な経過観察が必要となります。

カラベリー結節

カラベリー結節とは、上の奥歯の内側にできる結節(出っ張っている部分)をいいます。

乳歯の場合は上顎第二乳臼歯(乳歯列の一番奥)、永久歯の場合は上顎第一大臼歯(永久歯列の奥から2番目)の上顎側に多く見られます。

形状としては少し変わっていますが、このような歯は後述する中心結節とは違い、折れる危険性がほとんどありません。

ただし、カラベリー結節の周囲には食べカスやプラークが溜まりやすく、歯磨きがしにくいため、放置すると虫歯のリスクは高くなる傾向にあります。

中心結節

中心結節とは、歯の咬む面の大体中央部に出現する形態異常のことをいいます。

発生する部位は小臼歯、大臼歯の他、まれに上顎側切歯にも見られることがありますが、主によく見られるのは下顎第二小臼歯(下あごの前から5番目の歯)です。

モンゴロイド(東洋人系)の特徴とも言われ、第二下顎小臼歯における出現率は1~4%と言われています。

また、こちらの結節自体は特に悪いものではなく、存在自体は全く問題ありません。

問題なのは、形態的に折れやすいという点です。

具体的には、萌出直後の咬合や咀嚼により破折することがあるため、注意が必要です。

ちなみに、中心結節が大きなものでは、結節内に歯髄(歯の神経)が有るために露髄し、歯髄炎や根尖性歯周炎を引き起こすことがあります。

斜切痕

斜切痕(しゃせっこん)は、上の前歯の裏側によくみられる形態異常です。

歯の裏側の一部が細い筋のような形をしていて、それが歯の根の先まで続いていることもあります。

また、斜切痕が歯並びに影響を与えることは少ないですが、汚れが溜まりやすく虫歯になりやすかったり、歯周病になりやすかったりするため、注意が必要です。

場合によっては、歯茎の中まで切開を行い歯の形態を修正することもあります。

まとめ

ここまで、子どもの歯における形態異常の種類について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

これらの形態異常は、歯並びの悪化や虫歯、歯周病リスクの増大、破折など、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。

すべて治療が必要なものとは限りませんが、もし形態異常が見つかったのであれば、早めに歯科クリニックに相談すべきです。

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