妊婦さんは、胎児を身ごもること以外にも、さまざまな身体の変化が出ます。
また、妊娠中にふと思い立ち、歯のホワイトニングをしたいと考える方もいるかもしれませんが、こちらは基本的にはNGです。
今回は、妊婦さんがホワイトニングをしてはいけない理由を中心に解説したいと思います。
妊婦さんがホワイトニングをしてはいけない理由3選
多くの歯科クリニックでは、妊婦さんに対するホワイトニングの施術をお断りしています。
その理由としては、以下のことが挙げられます。
・胎児に悪影響を及ぼす可能性がある
・口内環境が乱れやすい
・身体への負担が大きい
胎児に悪影響を及ぼす可能性がある
ホワイトニングで使用される薬剤は、胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。
なぜなら、過酸化水素や過酸化尿素が含まれているためです。
過酸化水素が気体化し、鼻や口から吸い込まれることで、血液中のタンパクと反応し、小さな気泡を作ります。
その気泡が、母乳や胎盤を通った血液から胎児の中に入ると、細い血管を詰まらせる可能性があります。
口内環境が乱れやすい
妊婦さんは、女性ホルモンのバランスが乱れやすく、歯茎が腫れてしまったり、唾液の分泌量が減ったりと、虫歯や歯周病などの口内トラブルを引き起こしやすくなります。
また、このように口内環境が乱れた状態でホワイトニングを行うことにより、知覚過敏を発症する可能性があります。
ちなみに、知覚過敏により、ストレスを感じやすくなると、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を与えてしまうため、注意しなければいけません。
身体への負担が大きい
妊娠をすると、免疫力が低下します。
こちらは、母体の免疫細胞が胎児のことを異物とみなして攻撃してしまわないように、妊娠中は身体が免疫力を落とすことが理由です。
また、妊娠中は普段なら出ないような弱い感染症でも、合併症を起こして重症化してしまう可能性があります。
このような理由から、妊婦さんはホワイトニングの施術により、痛みを感じやすくなったり、体調を崩してしまったりと、身体に負担が大きくなることが考えられます。
妊娠中に歯を白くしたい場合の対処法
妊娠中は、妊婦さんや胎児への悪影響を避けるために、極力ホワイトニングを避けなければいけません。
また、どうしても妊娠中に歯を白くしたいというのであれば、以下の方法がおすすめです。
・PMTC
・ホワイトニング歯磨き粉
PMTC
PMTCは、歯科クリニックで受けられる歯のクリーニングです。
妊婦さんはホワイトニングが原則できないため、黄ばみなどが気になる場合は、クリーニングで歯石や歯垢(プラーク)の除去を定期的に行ってもらいましょう。
日常のセルフケアは大切ですが、プロによる歯面や歯間、歯周ポケットを清潔にしてもらうことで、歯の着色汚れが付着しにくくなります。
ホワイトニング歯磨き粉
市販のホワイトニング用の歯磨き剤は、クリニックで使用されるホワイトニングの薬剤を含有しておらず、歯の内部にある象牙質まで白くすることはできません。
しかし、ステイン汚れ(食べ物や飲み物の色素沈着、タバコなどのヤニ)は、ある程度落とすことが可能です。
妊娠に気付かずホワイトニングをしてしまった場合は?
すでに自宅でホームホワイトニングをしている方や、オフィスホワイトニングに定期的に通っている方の中には、「妊娠に気づかずホワイトニングしてしまった」と不安になる人もいるかもしれません。
しかし、ホワイトニング薬剤の成分自体は私たちが口にしている食べ物と同じ安全な成分が使われているため、人体に害を及ぼすものではありません。
そのため、数回のホワイトニングで、妊婦や胎児に悪影響があることは考えにくいです。
ただし、前述したような悪影響や体調の悪化が見られる可能性はゼロではないため、妊娠に気づいた時点で歯科クリニックに伝え、ホワイトニングは中断することをおすすめします。
妊婦さんは虫歯治療にも注意が必要
妊婦さんは、ホワイトニングだけでなく、虫歯治療についても注意しなければいけません。
一般的に、妊婦さんが口腔トラブルで歯科クリニックを受診する場合は、母体と体調が比較的安定している妊娠5~7ヶ月あたりの妊娠中期の受診が推奨されます。
妊娠中期であれば、ほぼすべての虫歯治療や歯石除去を行うことが可能です。
一方、妊娠初期は母体が不安定で流産の可能性があり、妊娠後期はお腹が大きくなって身体に負担がかかることから、歯科治療は避けるほうが無難です。
どうしても妊娠初期や後期に歯科クリニックを受診したい場合は、応急処置だけにとどめておき、妊娠中期や産後に再度治療を行うこともできます。
まとめ
ここまで、妊婦さんがホワイトニングをしてはいけない理由を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
ホワイトニングの薬剤や、胎児や母体への悪影響が否めません。
すぐに明確な症状が出るというわけではありませんが、リスキーであることは事実のため、他の治療法を選択したり、出産後にあらためて歯科クリニックを受診したりしてください。