子どもの歯並びが悪くなる原因としては、遺伝や虫歯なども挙げられますが、悪癖による成長不全も原因の一つです。
口周りの悪い癖は治りにくく、そのまま放置すると歯並びを悪化させる原因となってしまいます。
今回は、具体的にどのような癖に注意すべきなのかについて解説したいと思います。
子どもの歯並び悪化につながる癖7選
子どもに以下のような癖が見られる場合、歯並びが悪化する可能性があります。
・指しゃぶり
・唇を噛む
・硬いものを噛む
・舌を噛む
・うつ伏せで寝る
・頬杖をつく
・口呼吸
指しゃぶり
指しゃぶりとは、指を上の歯の裏側にある口蓋という部分に押し付けるしぐさのことをいいます。
チューチューと指を吸うことで、口の中の圧力が高まるので、長期間にわたると歯並びに影響を及ぼすことがあります。
具体的には、指を吸う力によって上あごの歯列が狭くなる歯列狭窄になり、上顎と下顎の噛み合わせがずれて、上顎の前歯が前に出てくる上顎前突や、上下の前歯が噛み合わない開咬になることがあります。
これらの状態は不正咬合といい、小児歯科での矯正治療が必要になります。
唇を噛む
子どもには、唇の中でも特に下唇を噛む癖が多く見られます。
下唇を噛むことにより、上の前歯は前方に倒れ、下の前歯は内側に倒れて凸凹になり、出っ歯の状態になります。
また、噛み合わせが深くなり、下の前歯が上の前歯の歯肉に当たり、傷がついてしまうことがあります。
ちなみに、上唇を噛む癖は、噛み合わせが反対になる受け口の原因になるため、こちらも注意が必要です。
硬いものを噛む
子どもの中には、硬いものを噛むことが好きで、それが癖になってしまっている子も多いです。
もっとも多く見られるのは、自身の爪を噛むというケースです。
具体的には、前歯で爪を噛み、指を何度も引っ張るという癖であり、こちらは前歯が前に引っ張られることから、出っ歯につながりやすくなります。
また、子どもは爪以外にも、ついつい硬いものを噛んでしまう傾向にあります。
例えば、鉛筆やペットボトルの蓋など、身近にある硬いものを噛んでしまうというケースは多いため、親御さんは子どもの身の回りのものをチェックし、変形や歯型などが見られないか確認しましょう。
舌を噛む
舌を噛んだり、前方に出したりする癖は、口周りの筋肉のバランスを崩し、歯並びの乱れの原因になることがあります。
また、直接的に歯を押すことで、傾けてしまうこともあります。
その他、このような舌癖は、身体全体への影響も懸念されます。
舌癖から口呼吸が引き起こされることで、ウイルスや細菌、アレルゲンの侵入が容易になり、すぐに風邪をひいてしまったり、アレルギーを発症したりするリスクが高まります。
うつ伏せで寝る
歯並びや顎の成長をもっとも妨げるのは、うつ伏せで寝ることです。
うつ伏せで寝ると、頭の重さが顎にかかり、歯に余計な力が加わります。
年齢や体形にもよりますが、頭部の重さはだいたい4~5kgです。
その力がすべて顎に加わると、当然歯並びにも影響が出てきます。
ちなみに、横向きに寝ている場合も同様です。
横向きの場合、枕に顔が押し当てられ、左右どちらかの歯に圧力がかかった状態になってしまいます。
頬杖をつく
頬杖をつく状態では、顔全体の重みが顎に加わるため、下顎部分の後退が生じやすくなります。
また、左右それぞれを交互に頬杖していくと、歯が内側へ向けて負荷をかけ続け、ずれていくおそれがあります。
繰り返していると左右バラバラな圧力が掛かり、その結果、歯並びの悪化が進行してしまうため、注意が必要です。
口呼吸
口呼吸をする子どもは、舌の位置が通常より下に位置にきてしまいます。
通常は、舌が上顎の歯列の大きさを支えているのですが、舌が下がってしまうと、上顎の歯列は成長する際に頬周囲の筋力の負けてしまいます。
そうすると、上顎の歯列が狭くなります。
また、歯列の形がU型ではなくV型になってしまうこともあります。
もしV型になってしまうと、前歯が入りきらずに、機能的にも審美的にも悪影響をおよぼします。
ちなみに、口呼吸によって、舌の位置が通常より前方に位置してしまうこともあります。
この場合、上下の歯の間に舌が入り込むことにより、前歯などが噛み合うことがない環境が継続され、萌出途中の歯は、その高さを維持することになります。
つまり、前歯で細い素麺などを噛めずに、すっと抜けてしまう状態を舌で維持してしまう可能性があるということです。
その他、舌の力は、前歯だけでなく、顎を前方に押し出す環境を作り出してしまい、成長過程に悪影響を及ぼす可能性もあります。
まとめ
ここまで、子どもの歯並びの悪化につながる癖について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
前述したような癖は、親御さんの指導だけではなかなか治らず、歯並びの悪化を加速させることがあります。
そのため、悪癖を治したいという場合は、早めに歯科クリニックに相談し、MFTと呼ばれる口周りのトレーニングや、マウスピース矯正などの治療によって対処しましょう。