歯周病は、年齢や性別を問わず感染し、実際に感染している方も多いことから、多くの方に知られている病気です。
しかし、歯周病を改善させるために治療について、そこまで詳しい知識を持っている方は多くありません。
ここからは、歯周病の治療に関することをいくつか解説していきたいと思います。
歯周病治療の主な内容は?
代表的な歯周病治療としては、まず歯周基本治療が挙げられます。
こちらは、歯周病と診断された方が最初に受ける治療であり、歯のクリーニングとあわせて、スケーリングやルートプレーニング、ブラッシング指導などを行います。
スケーリングは、スケーラーという先端の尖った器具で歯石を取り除く処置です。
歯の表面に形成された歯石は、歯周病を引き起こす原因になりますが、文字通り石のように硬いため、こちらの器具を使用しなければ除去できません。
また、ルートプレーニングも、スケーリングと同様にスケーラーで歯石を除去する処置ですが、施術する部位が異なります。
スケーリングが、歯の頭の部分である歯冠に対して行う処置であるのに対し、ルートプレーニングは、歯根に付着した歯石を除去します。
ちなみに、上記の歯周基本治療を行っても、歯周病の症状が改善しない場合は、歯周外科治療に移行します。
歯周外科治療は、歯周病によって破壊された歯茎や顎の骨を再生させたり、外科手術で歯周組織の形を整えたりする処置です。
歯石はどれくらいの頻度で取るべき?
本来、適切なブラッシングができていれば、歯に歯石が付着することはありません。
また、歯石の付きやすさには個人差もありますが、通常は1年に3~4回は歯科クリニックでスケーリングを行い、歯石を除去するべきだと言えます。
かかりつけの歯科クリニックを決定し、歯石の付きやすさを継続して見ていけば、どれくらいの期間で定期検診を受ければ良いかがわかります。
もちろん、歯石が付きやすいと判断された方は、前述した感覚よりももっと短い間隔でスケーリングをしなければいけません。
ブラッシングをしなくても歯周病が治る方法はある?
歯周病の原因は、プラークに潜む歯周病菌であるため、改善もしくは予防するには、しっかりとブラッシングを行わなければいけません。
また、中にはブラッシングが苦手であったり、つい面倒でさぼってしまったりする方もいるかもしれませんが、ブラッシングをしなければ、歯周病が治ることはありません。
歯周病は、初期の歯肉炎の段階で発見でき、すぐに治療に入ることができれば、かなり改善し、ほぼ完治します。
かなり進行した歯周病であっても、ブラッシングで歯に付いたプラークの大部分を除去することができれば、歯茎の状態はかなり改善します。
もちろん、歯と歯の間や歯周ポケットについたプラークは、ブラッシングだけでは落とせません。
そのため、ブラッシングだけで完治するケースは稀ですが、ブラッシングをしっかり行うのと行わないのとでは、今後の歯周病の進行にかなりの違いが出ます。
歯周病の治療をしたら歯がしみるようになるって本当?
歯周病の外科手術を受けることにより、歯と歯茎の間の深い溝はなくなりますが、失われた骨は完全に元には戻りません。
そのため、どうしても歯茎が退縮してしまい、根の部分が露出するようになります。
こちらの露出した根の部分は、構造的にとても弱く、表面も滑らかではありません。
また、こちらの部分には細菌が棲みつきやすく、細菌の出す酸によって表面が脆くなり、刺激を敏感に感じ取るようになってしまいます。
さらに、冷たいものや熱いものがしみるようになると、ブラッシングが億劫になり、その部分にますます細菌が棲みついて、刺激に対して感受性が高くなるという悪循環を繰り返します。
歯周病に抗生物質は効果がある?
抗生物質は、休眠細菌以外への効果を期待することができますが、投与期間が過ぎればまた元通りの状態に戻るため、一時的な効果は期待できても、完治させる効果はありません。
つまり、細菌を駆逐することはできないため、抗生物質(ジスロマックなど)だけでは、歯周病も改善させるのが難しいということです。
物理的なアプローチにより、プラーク(バイオフィルム)を除去する以外に方法はありません。
歯周病の再生治療とは?
歯周病の再生治療とは、歯周病によって溶けてしまった骨を、骨補填剤と再生を促す薬を使用することで、再生させる治療をいいます。
こちらは、深い歯周ポケットに対して行われますが、すべての歯に再生治療ができるわけでありません。
また、骨のなくなり具合によって効果は異なりますが、溶けてしまった骨を再生させるための唯一の治療法です。
ちなみに、再生治療後には、骨と歯茎をキレイにする手術を行うケースが多いです。
まとめ
ここまで、歯周病の治療に関することを色々と解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
歯周病の治療は、もちろん症状を改善させるために受けるものですが、ずっと対策を継続しなければ、歯周病は簡単に再発します。
また、自覚症状がないまま発症しているケースも非常に多いため、常日頃から定期検診を受けることも忘れてはいけません。