審美歯科治療は、名前の通り歯の美しさをアップさせることが目的の治療です。
そのため、基本的には自身の歯の見た目に問題がある方、納得のいかない方が受けることになります。
では、審美歯科治療を受けることにより、歯に見られる“ホワイトスポット”は改善されるのでしょうか?
今回はこちらの点を中心に解説します。
ホワイトスポットの概要
ホワイトスポットは、白斑とも呼ばれるもので、初期虫歯もしくは形成不全による、歯のエナメル質という表面構造の白濁を指しています。
本来、透明なエナメル質がさまざまな原因で磨りガラスのようになり、光が散乱してしまうことで、ホワイトスポットとして現れます。
軽度のホワイトスポットの場合、歯の表面に白い部分とそうでない部分が点在します。
中には、茶色や黄ばんだ縞模様が見られるケースもあります。
また、症状が重度にまで進行すると、エナメル質の内側にある象牙質の部分が透けてしまい、全体的に黄色みがかった見た目になります。
その上、歯の色だけでなく、歯のデコボコやくぼみ、歯と歯の間の隙間など、形状まで変化してしまうことが考えられます。
これらの問題により、汚れや着色が付きやすくなるだけでなく、虫歯を発症するリスクも高くなります。
ホワイトスポットの主な原因について
歯にホワイトスポットが見られるようになる主な原因は、以下の通りです。
・栄養不足
・外傷
・初期虫歯
・遺伝
・高濃度フッ素
栄養不足
乳児期や幼児期に栄養が足りていなかった場合や、お母さんが栄養失調だった場合などは、赤ちゃんの歯のエナメル質が正しく形成されないことがあります。
歯を形成するには、特にカルシウムやビタミンD、C、Aといった栄養素が必要であり、偏った食事によってこれらの摂取が不十分だと、エナメル質形成不全により、歯の表面に白い斑点が出ることがあります。
外傷
乳歯の時期に外傷を負った場合、後々生えてくる永久歯がエナメル質形成不全になることがあります。
乳歯はいずれ抜け落ちるものであるため、外傷があった後もそれほど心配しない親御さんは多いですが、実際は特に問題がなくても、歯科クリニックで診てもらうことが大切です。
また、永久歯の場合も、外傷が原因で歯にヒビが入り、歯の結晶のつくりが変化して、ホワイトスポットが現れることが考えられます。
初期虫歯
口内が酸性になり、歯のエナメル質に含まれるカルシウムが溶けてしまうことで、白く濁ったような見た目になることがあります。
こちらは、初期虫歯の状態であり、そのまま放置していると、虫歯が進行してしまいます。
ちなみに、初期虫歯の状態であれば、歯を削らなくても治療できる可能性がありますが、ある程度進行した虫歯は削らなければ治療できず、重度にまで進行すると、抜歯でしか対応できなくなることもあります。
遺伝
親御さんに歯の形成障害が見られる方は、遺伝によってホワイトスポットが引き継がれることがあります。
高濃度フッ素
歯が形成される期間(胎児~13歳頃)に高濃度のフッ素を摂取していると、歯のフッ素症という形で、ホワイトスポットが出てしまうことがあります。
ただし、日常生活において、無意識に高濃度のフッ素を摂取する心配は少ないです。
ホワイトスポットは審美歯科治療で治せる?
結論からいうと、ホワイトスポットは審美歯科治療で治すことが可能です。
主に用いられる方法としては、フッ素塗布やラミネートベニアなどが挙げられます。
それぞれの治療法について見てみましょう。
フッ素塗布
虫歯菌の働きを弱め、歯の再石灰化を促し、歯を健康に保つとされているフッ素は、歯磨き粉にも配合されている成分です。
こちらは、ホワイトスポットが気になる部分に塗布することで、歯質を強化できるため、削らない治療としておすすめです。
ちなみに、市販されているものでいうと、牛乳に含まれるガゼイン、ミネラル成分でつくられるMIペーストも、フッ素と同様に虫歯予防に役立つ成分です。
ラミネートベニア
ラミネートベニアは、歯の表面を薄く削り、付け爪のような感覚でセラミックの薄い板を歯に接着させる治療法です。
一般的な被せ物と比べて、削る量が少なくて済むことや、ホワイトニングだけでは白くならない、歯の変色を改善できる点などがメリットです。
ホワイトスポットが進行し、虫歯になりかけている場合は、ある程度歯を削る必要がありますが、このとき削った箇所にラミネートベニアを貼り付ければ、元の状態に近づけることができます。
また、ラミネートベニアは10年程度長持ちさせることも可能です。
まとめ
ここまで、ホワイトスポットと審美歯科治療に関することを解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
ホワイトスポットは、色味や見られる位置によってはとても目立ちますし、形状の変化によってさらに見栄えが悪くなってしまうことも考えられます。
また、ホワイトニングでは十分に治すことができない可能性がありますが、ラミネートベニアなど別の審美歯科治療を受けることで、ある程度改善できます。