ハイブリッド矯正は、ポピュラーな矯正方法であるワイヤー矯正、マウスピース矯正を組み合わせたものです。
それぞれのメリットを得ることができ、なおかつデメリットを補える点が最大の魅力です。
しかし、治療を受ける際には注意すべき点もいくつかあります。
今回は、ハイブリッド矯正の注意点について解説します。
ハイブリッド矯正の注意点5選
ハイブリッド矯正に興味がある方は、メリットだけでなく、以下の注意点についても把握しておきましょう。
・装置の切り替えが難しい
・セルフケアがしにくい期間がある
・コストが高くなる
・金属アレルギーのリスクがある
・見た目のバランスが悪くなる場合がある
各項目について詳しく説明します。
装置の切り替えが難しい
ハイブリッド矯正では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正というまったく異なる矯正治療法を併用します。
そのため、2つの装置の切り替えが難しくなる可能性があります。
ワイヤー矯正で大きく歯を動かし、マウスピース矯正で細かく調整するというのがハイブリッド矯正の流れです。
ワイヤー矯正は装置が固定式のため、取り外しができませんが、マウスピースは取り外しが可能です。
そのため、ブラッシングや食事がしやすいですが、その分付け忘れてしまうリスクがあります。
もしハイブリッド矯正期間中にマウスピースの付け忘れが起こると、ワイヤー矯正で整えた歯並びが元に戻ってしまうおそれがあります。
これまで固定式のワイヤー矯正をしてきた方が、いきなり取り外し可能なマウスピース矯正に移行するため、なかなか慣れないというケースは十分に考えられます。
ちなみにマウスピース矯正期間中は、外で食事をする際などに、一時的にティッシュなどに包んで保管する方もいます。
しかしこういった保管方法は、マウスピースの紛失につながります。
マウスピースを紛失すると、付け忘れたときと同じく、ワイヤー矯正の効果が減少するおそれがあります。
さらにマウスピース矯正の場合、ワイヤー矯正と違って装置の洗浄も必要になります。
ワイヤー矯正に慣れてしまった方は、わざわざ装置を取り外して洗浄するのが面倒に感じることもあります。
セルフケアがしにくい期間がある
ハイブリッド矯正を行う場合、ワイヤー矯正の期間があります。
こちらの期間は、ブラッシングなどのセルフケアがしにくいです。
前述の通り、マウスピース矯正の場合は装置を外した状態でブラッシングができます。
一方ワイヤー矯正は固定式のため、装置をつけたままブラッシングをしなければいけません。
そのため、より意識してブラッシングを行わなければ、食べカスやプラークはどんどん蓄積します。
もちろん、汚れが蓄積すれば、虫歯や歯周病のリスクも高くなります。
コストが高くなる
ハイブリッド矯正を行う場合、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を単独で行う場合と比べて、多少コストは高くなります。
それぞれのメリットを得られる治療法ですから、こちらは致し方ないと言えます。
もちろん、ワイヤー矯正単独の費用+マウスピース矯正単独の費用がかかるわけではありません。
それでも、歯1本あたりの単価が高くなるのは事実であるため、前もって留意しておきましょう。
金属アレルギーのリスクがある
ハイブリッド矯正ではワイヤー矯正を行うため、マウスピース矯正にはない金属アレルギーのリスクがあります。
ワイヤー矯正では、歯に直接つけるブラケットと呼ばれる装置やワイヤーにニッケルやクロム、コバルトといった金属が使用されています。
特にニッケルに関しては、金属アレルギーの患者さんに反応してしまう可能性があります。
また実際に金属アレルギーを発症すると、口内炎や唇の腫れ、皮膚炎などの症状が出ることが考えられます。
全身の皮膚炎については、唾液で溶け出した金属が全身に吸収されることによって起こります。
そのためハイブリッド矯正を受けようとする方は、治療の前に皮膚科を受診し、パッチテストを受けることをおすすめします。
見た目のバランスが悪くなる場合がある
ハイブリッド矯正と言えば、一般的にはワイヤー矯正とマウスピース矯正の組み合わせを指しますが、実は他にも違う組み合わせがあります。
歯科クリニックによっては、部分矯正とセラミック矯正を組み合わせたタイプも存在します。
またこのようなハイブリッド矯正で、矯正する歯と矯正しない歯の色が違う場合、あまり白いセラミックを使うと見た目のバランスが悪くなることが考えられます。
そのため、まずはホワイトニングなどにより、全体の歯の色を合わせるのが望ましいです。
まとめ
ハイブリッド矯正では、2つの矯正方法を組み合わせることにより、独自のメリットが生まれています。
一方で独自の注意点もあるため、メリットばかりの矯正方法と認識してはいけません。
どれだけ優れた治療法でも、少なからず注意点は存在します。
特にワイヤー矯正とマウスピース矯正の切り替え時期については、付け忘れによる後戻りが発生しないよう、細心の注意を払う必要があります。