インビザラインとアソアライナーはどちらもマウスピース矯正ですが、異なる点が複数あります。
その異なる点の一つが適応症例であり、患者さんの症状によってどちらを選ぶべきなのかは変わってきます。
今回は、インビザラインとアソアライナーの適応症例をそれぞれ解説します。
インビザラインの主な適応症例
インビザラインで治療するのに適している症例としては、主に以下が挙げられます。
・叢生
・出っ歯
・すきっ歯
・受け口
・過蓋咬合
各項目について詳しく説明します。
叢生
叢生は、歯がデコボコしている状態であり、特に前歯で見られることが多いです。
症状は軽度から重度までありますが、重度であってもインビザラインであれば適応できる場合があります。
インビザラインは、奥歯を後方に動かすことに適しているため、叢生の治療にはとても有効です。
もしインビザラインだけで歯を移動させるのが難しいのであれば、アンカースクリューと呼ばれる装置を併用することも考えられます。
その他、インビザラインとワイヤー矯正を併用する方法もあります。
出っ歯
出っ歯のタイプによっては、インビザラインが適応できる場合があります。
具体的には、歯が傾いていることで出っ歯になっているケースに強いです。
インビザラインを使用すれば、強く傾斜している前歯の角度を矯正し、傾斜を減らすことで出っ歯を軽減できます。
また軽度の骨格のずれによる出っ歯も、インビザラインで治療することが可能です。
すきっ歯
すきっ歯は空隙歯列とも呼ばれるもので、歯と歯の間が空いている状態です。
インビザラインでは、こちらのすきっ歯の矯正治療も行えます。
またすきっ歯の状態によって、インビザラインによる矯正方法は異なります。
例えば前歯の間が空いているだけの場合は、部分矯正での治療が可能です。
部分矯正は矯正期間が短い、費用を抑えられるといったメリットがあります。
一方すきっ歯だけでなく、出っ歯や過蓋咬合なども併発している場合は、全体矯正が必要です。
受け口
本来人の噛み合わせは、上の歯が下の歯に覆い被さっていますが、受け口ではそれが反対になっています。
また、受け口もインビザラインの適応症例の一つです。
前に出ている下の歯をインビザラインで移動させ、上のアーチを広げることにより、受け口の改善が期待できます。
過蓋咬合
過蓋咬合はディープバイトとも呼ばれるもので、奥歯で噛み合わせたときに、上の前歯で下の前歯がほとんど見えなくなる状態です。
また過蓋咬合もインビザラインで治療することができ、主に奥歯の挺出と前歯の圧下という動きで治療します。
奥歯の挺出は、マウスピースの圧力によって奥歯を引っ張って移動させながら、歯に高さを出します。
前歯の圧下は、上下の前歯を歯茎の方向に押し込むことで、噛み合わせを浅くするというものです。
インビザラインが苦手とする症例は?
叢生や出っ歯、受け口などが重度の場合、インビザライン矯正だけで治療するのは難しいです。
特に骨格に問題がある症例では、外科治療を伴うこともあり、矯正自体が困難になります。
また重度の歯周病がある方は、インプラントで力が加わることで歯が抜け落ちるリスクがあるため、先に治療を受ける必要があります。
さらに歯根と結合しているインプラントも、インビザラインで動かすことはできません。
アソアライナーの主な適応症例
一方、アソアライナーは主に以下のような症例に対応しています。
・部分矯正
・軽度の叢生
・後戻りした歯並び
各項目について詳しく説明します。
部分矯正
アソアライナーは、部分矯正が可能な症例に適しています。
部分矯正は、文字通り部分的に行う矯正治療であり、問題がある部分にだけアソアライナーを作用させます。
例えば、歯が1本だけ歯列から出ているケースなどは、アソアライナーの得意な症例と言えます。
軽度の叢生
アソアライナーは、軽度であれば叢生の治療にも適応できます。
ここでいう軽度の叢生とは、歯冠を削るディスキングという処置により、改善できる程度の叢生を指しています。
後戻りした歯並び
後戻りした歯並びを矯正する手段としても、アソアライナーは適しています。
矯正治療の完了後、リテーナーをしっかり装着していなかった場合、歯の後戻りが起こってしまいます。
それほど大きく後戻りしていないケースであれば、アソアライナーでも十分に対応できます。
アソアライナーが苦手とする症例は?
アソアライナーは、歯を大きく移動させなければいけない症例全般を苦手としています。
また抜歯が必要ケースや、上下の顎のバランスに問題があるケースも、アソアライナーで対応するのは難しいです。
まとめ
インビザラインとアソアライナーは、見た目も歯を移動させる仕組みもそれほど変わりませんが、適応症例はまったくと言って良いほど異なります。
比較的しっかりと歯を移動させたいときはインビザライン、気軽に軽度の歯並びの問題を改善したいときにはアソアライナーが向いています。
もちろん、矯正治療には他にもさまざまな方法があるため、実際治療を受ける際は他の方法もチェックする必要があります。
