歯並びの乱れが気になることから矯正治療を受けようと考えていたところ、その前に虫歯が悪化して、抜歯したという人もいるでしょう。
矯正治療は、抜歯をした後でも治療が可能なのか、気になる人もいるかもしれません。
抜歯後に矯正治療はできるのか、解説します。
抜歯をした後に矯正治療はできる?
抜歯をした後であっても、矯正治療を行うことは可能です。
ただし、抜歯してすぐに治療できるというわけではないという点に注意しなければなりません。
矯正治療は長い時間をかけて行う治療ですが、治療の途中で歯の形が変わるようなことがあれば、十分に歯並びを整えることができなくなります。
特に、マウスピース矯正の場合、治療を始める段階から徐々に歯を動かした状態のマウスピースを作製しているため、途中で歯の形が変わると役に立たなくなるでしょう。
虫歯の治療で歯の形状が変わるケースが多いため、矯正治療を始める前に虫歯や歯周病のチェックをして、先に治すことが望ましいとされています。
もしも虫歯や歯周病の治療で歯を削るのではなく、抜歯した場合には矯正治療は受けられるのか心配になる人もいるかもしれません。
既述したとおり、たとえ抜歯をしても、矯正治療を受けることは可能です。
ただし、抜歯後すぐは避けた方がよいでしょう。
なぜなら、傷がふさがっていない可能性があるからです。
抜歯後は、もともと歯があった部分に穴が開いているため、傷がふさがるまでは出血や腫れが生じる可能性があります。
出血が多いとマウスピースにも血が付着してしまい、清潔に保つことが困難になるため、出血が治まってから矯正治療を始めた方がよいのです。
ただし、「●日後」というような具体的な日数は決まっていません。
それでも、おおよその目安はあり、抜歯してから3日前後で矯正治療を始めることができます。
また、抜歯の痛みは数日残ることがあり、インビザラインも最初のうちは痛むことが多いため、2つの痛みが重なることでストレスになりやすいでしょう。
抜歯後に痛みが残っている場合は、痛みがなくなってから矯正治療を始めても遅くはありません。
矯正治療で抜歯が必要なケースは?
矯正治療で抜歯が必要になることがありますが、それはどのようなケースか解説します。
1つ目は、歯の大きさや顎の大きさ、生え方によって歯が並ぶスペースが足りないというケースです。
一部の歯を抜くことで、他の歯がきれいに並ぶことができるようにして、歯並びを改善するのです。
特に、中学生以降に矯正治療を行う場合は顎の発達が終わっているため、顎を広げることができず抜歯が必要となります。
2つ目は、出っ歯になっていて上の前歯が前突している状態を治すため、前歯を後退させるというケースです。
口全体が前に出ている、口ゴボといわれる状態になっているのを治療する場合も、同様に抜歯します。
また、受け口の場合は出っ歯とは反対に下の前歯が出ているため、下げるために抜歯することもあるでしょう。
3つ目は、本来は親知らずを除いて28本しかないはずの歯が余分にある、過剰歯を抜歯するというケースです。
歯茎に埋まっていることも多い過剰歯は、特に邪魔でなければ問題ありませんが、歯を動かすときに邪魔になってしまうことがあります。
邪魔な過剰歯を抜歯することで除去し、矯正治療の邪魔にならないようにするのです。
4つ目は親知らずが生えているケースのうち、特に生え方が横向きの場合です。
他の歯を手前に押し出すため、抜歯が必要となります。
また、横向きではなくても矯正治療の邪魔になるケースや、虫歯になって他の歯にも悪影響を及ぼすケースでも、抜歯することになるでしょう。
5つ目は上下で歯の本数が合わないというケースで、先天性欠損で一部の歯が生えていない場合などが当てはまります。
また、外傷や虫歯、歯周病などで歯を失った場合もあり、歯の数が異なる場合は抜歯をして合わせることがあるのです。
ただし、必ずしも同じ本数でなければ矯正治療ができないというわけではないため、アンバランスなままで治療することもあります。
インプラントなどの治療で足りない歯を補い、バランスを整えて歯列矯正をすることもあるでしょう。
以上のとおり、矯正治療で抜糸が必要となるケースはさまざまですが、実際に必要となるケースはまれです。
そのため、「抜歯をしたくないから」と矯正治療を避けないようにしましょう。
まずは検査を受けて、抜歯が必要な歯並びかどうかを確認したうえで、矯正治療を受けるかどうかを判断すればいいのです。
まとめ
虫歯や歯周病の治療で抜歯をした後は、歯並びを整える歯列矯正ができるか不安に思う人もいるでしょう。
抜歯をしたからといって矯正治療ができないということはないのですが、抜歯したことによる出血や痛みが治まってから行う必要があります。
矯正治療のために抜歯が必要となるケースもあるので、抜歯をしたからといって矯正治療ができないということはない、ということを覚えておきましょう。