歯周病は、歯を失う原因として最も多い病気ですが、気が付いたときにはかなり進行しているため、なかなか完治することができません。
日常から歯周病を予防するためには、歯周病に効く歯磨き粉を使用するべきですが、どのような成分の歯磨き粉を選ぶべきでしょうか?
歯周病に効く歯磨き粉の成分について解説します。
歯磨き粉で歯周病を予防できる?
歯はさまざまな原因で失われることがあります。
特に原因の多くを占めているのが、歯周病という病気です。
歯周病は、歯周病菌と呼ばれる何種類かの細菌が原因となる細菌感染症で、原因となる細菌が異なっていても症状はあまり変わりません。
歯周病の原因菌はもともと口内に存在していますが、歯垢や歯石が増えることで増殖してしまうのです。
歯周病菌が通常の数であれば特に問題ありませんが、増殖すると歯周病が発症します。
歯周病になると、歯を支えている歯茎や歯槽骨、歯根膜などの歯周組織に炎症が起こり、組織が破壊されていきます。
炎症が起こることで歯を支える組織が破壊されてしまうため、歯周病は歯が抜け落ちる原因になるのです。
歯周病の症状はまず歯肉炎から始まり、歯周炎となって軽度、中度、重度と進行していきます。
歯肉炎は日本人のほとんどの人がかかったことがあるといわれていて、歯肉炎から悪化した人が本格的な歯周病になるのです。
歯肉炎は歯茎の腫れや出血などの原因となりますが、放置して歯茎の腫れが大きくなると、軽度歯周炎になります。
放置し続けて、歯がぐらつくようになると、中度歯周炎になります。
そこからさらに進行すると、膿が歯茎の中に溜まって口臭が悪化し、歯が抜け落ちる重度歯周炎になってしまうのです。
歯周病の原因となる歯垢は、歯磨きを丁寧にすることである程度落とすことが可能です。
しかし、歯石になるとほとんど落ちません。
また、歯茎の境目に歯周ポケットという溝ができると、内部に歯石や歯垢が溜まり、歯磨きでは取り除くことができなくなってしまうでしょう。
歯磨きによって歯周病を予防できるのは、歯周ポケットが浅いうちに限られるため、悪化を防ぐためには日ごろからの予防が重要です。
ただし、単に歯を磨くだけでは十分に歯周病を予防できないため、歯周病を予防できる成分が含まれた歯磨き粉を使用する必要があります。
歯周病を予防する成分とは?
歯磨き粉を選ぶとき、歯周病を予防することを考えるのであればどのような成分が含まれているものを選ぶべきか、解説します。
歯周炎を予防するためには、殺菌剤や消炎剤、血行促進剤、収れん剤、細胞賦活剤などが含まれている歯磨き粉が効果的です。
殺菌剤には、以下のようなものがあります。
塩化セチルピリジニウム(CPC)
塩化ベンゼトニウム(BTC)
クロルヘキシジン
ラウロイルサルコシンナトリウム(LSS)
チモール
トリクロサン
イソプロピルメチルフェノール
消炎剤としては、以下の成分が含まれている歯磨き粉が多いでしょう。
・ グリチルレチン酸
・ B-グリチルリチン酸
・ E-アミノカプロン酸
・ 塩化リゾチーム
・ サリサル酸メチル
・ シオネール
血行促進剤としては、主にビタミンEの一種である酢酸トコフェロールという成分が含まれています。
止血剤にはトラネキサム酸という成分が含まれていて、炎症を抑える消炎剤としても効果を発揮するのです。
細胞賦活剤は、ビタミンB6の塩酸ピリドキシンが含まれ、収れん剤としてはアラントインや塩化ナトリウムが含まれます。
歯茎がすでに腫れているときに選ぶ歯磨き粉には、炎症を抑える成分が含まれているものを選ぶことが重要です。
また、口内を余さず殺菌することが大切になるため、発泡剤が含まれていて口内全体に広がるものを選びましょう。
薬用と書かれているものは効果が高いものもありますが、あまり好みではないという人も多いため、無理せず使い続けられるものを選んでください。
一般的には、ミント風味のように癖がなく、さっぱりとした香りのものの方が、毎日使うのには向いています。
使い続けることにストレスを感じるような歯磨き粉は、いくら効果が高いとしても避けたほうがよいでしょう。
また、歯周病予防には研磨剤が配合されているものの方が、歯垢を落とすことができるため高い効果を発揮します。
しかし、すでに歯肉炎などの症状が起こっている場合は、歯茎を傷つけないように研磨剤が含まれるものは避けてください。
歯磨き粉による歯周病の予防はあくまでも日常のケアであるため、本格的に予防したい場合に歯科医院で定期検診を受けましょう。
まとめ
歯周病は歯を失う原因として最も多い病気であり、原因となるのは歯周病菌という細菌であることから、細菌感染症の一種です。
歯周病は、自覚症状が出てくるころにはすでにかなり進行しているため、完治するまで時間がかかります。
普段から歯周病予防の歯磨き粉を使用しておくことで発症を防げる場合もありますが、本格的な予防をしたいのであれば歯科医院で定期検診を受けましょう。