子供が受ける歯列矯正を小児矯正といいますが、小児矯正は必要なのかという点に懐疑的な人も多いでしょう。
矯正治療は子供が受けるにはつらいものかもしれません。
しかし、小児矯正は子供の将来にも関わる重要な治療といえます。
小児矯正は、なぜ重要な治療なのでしょうか？
小児矯正の重要性について解説します。
小児矯正の重要性とは？
矯正治療は、歯並びを整えるために行うものですが、永久歯に生え変わった際は意味がなくなるのではないか、と考えている方もいるでしょう。
「永久歯に生え変わるときに、歯並びがまた元のようにズレた状態になるのではないか」と考えると、小児矯正は不要に思えるかもしれません。
しかし、小児矯正は、将来永久歯が生えてきたときの歯並びを整えることも目的の一つです。
永久歯に生え変わる時に、乳歯が生えていたところと同じ場所から生えてきます。
そのため、乳歯のうちから歯を正しい位置に動かしていれば、永久歯が生えたときも正しい位置に生えてくるのです。
小児矯正は歯並びを整えるだけではなく、顎が正常に発達するよう拡大することも可能です。
顎が十分に発達しないと歯が並ぶスペースも狭くなってしまい、歯並びがガタガタになってしまう可能性があります。
小児矯正で顎の成長を促し、未発達にならないようにすることで、八重歯や受け口、出っ歯などの不正咬合になるのを防止できるのです。
顎などの骨格の成長は子供の時にしかできないもので、大人になってからは顎を広げようとしてもほとんど動きません。
小児矯正で拡大床を使用して顎を広げることで、歯列や骨格を整えることができ、将来的に歯並びを整えるために抜歯をする必要もなくなります。
また、顎を広げることで鼻腔も広がるため、鼻呼吸がしやすくなり口呼吸になるのを防ぐ役割もあるのです。
矯正装置は大人になってから装着すると違和感が強いのですが、子供の内は慣れるのが早いため違和感もすぐになくなります。
歯も移動させやすいため、子供のころから矯正治療を始めることが将来の歯並びを整えるためにも重要となるのです。
小児矯正は意味がないといわれるのはなぜ？
小児矯正については、「受けても意味がない」と考える方もいます。
なぜ意味がないと思われているのでしょうか？
意味がないといわれる原因には、まず矯正治療が見た目を改善するだけだと考えている方がいるという点が挙げられます。
小児矯正はただ見た目を改善するだけではなく、歯並びを健康にし、咬合を正しくするために重要な治療です。
また、費用が高いという点に疑問を抱く方がいるのも理由の一つといえるでしょう。
虫歯治療などと比べると治療費はかなり高額になるため、「ぼったくりだ」などと思ってしまうのかもしれません。
経済的な負担も大きいため、「大人になってからでよいだろう」「子どもが大きくなったときに必要だと判断したら、自分でお金を貯めて矯正治療を受ければよい」などと考える方もいるようです。
効果に対しても誤解されている方がいて、一時的に歯並びを治してもすぐ元に戻ってしまうと考えているケースもあります。
小児矯正は、大人になってからも効果が続く長期的な効果を持つ治療です。
子供の頃に受けなければ、将来もっと長い時間をかけて治療することになるでしょう。
ほかに、小児矯正に関する情報が不足していたり、誤った情報を聞いたりしている方がいる、という点が挙げられます。
情報不足や誤った情報を信じてしまうために、小児矯正がなぜ必要なのか正しく判断できないのです。
意味がないと思っている方に、なぜ重要性なのかということを納得してもらうには、包括的かつ正確な情報を提供する必要があります。
小児矯正の副次的な効果
小児矯正によって歯並びを整えることで、正しい咬合と健康な歯並びを得ることができますが、副次的なメリットもあります。
健康な歯並びと正しい咬合を手に入れることができれば、子供の発音や噛む機能にも好影響を与えます。
きちんと噛めるということは口腔健康を保つためにも重要です。
それだけでなく、口内の健康は身体の発育にも影響することから、非常に重要となるのです。
また、歯並びに問題があることを早期に発見できれば、適切な時期に治療を進めていくことができます。
歯並びが悪いまま放置していると、成長するにつれてより複雑になり、矯正治療が困難になってしまうため、子供のうちに治療した方がよいのです。
歯並びが整うことで、口元に対するコンプレックスを感じることがなくなり、子供は自信を高めます。
その分、自己表現も活発になるため、社会的コミュニケーションも取りやすくなるでしょう。
積極的に他の子供と交流するようになることから、社会性を身に付けられるようになるという、ポジティブな影響があるのです。
まとめ
小児矯正は、子供のうちに歯並びを整えておくことで、歯が生え変わった際に正しい位置に生えてくるようにする治療です。
小児矯正に対し、さまざまな誤解をしている人もいますが、実際には長期的な効果があり、健康的な歯並びや正しい咬合を手に入れるために必要な治療です。
子供の健康を維持するのはもとより、社会性を身に着ける、前向きに行動できるなどのポジティブな影響にも期待できるため、歯並びの悪さが気になった場合は小児矯正を受けることをおすすめします。
