インビザラインは、歯科先進国であるアメリカのアライン・テクノロジー社によって開発されたマウスピース型の矯正装置です。
またインビザラインにはいくつかの種類があり、子ども向けのものはインビザラインファーストと呼ばれるものです。
今回は、インビザラインファーストの概要やメリット・デメリットを解説します。
インビザラインファーストの概要
インビザラインファーストは、成長過程にある子どもの患者さんのためのマウスピース型矯正装置です。
1997年から独自技術の研究と改良が続けられていて、全国の歯科クリニックで治療が可能です。
またインビザラインファーストは、一般的に6~10歳の子どもが対象ですが、適用条件は身体年齢ではなく歯の年齢に基づきます。
具体的には、以下の条件を満たしている場合のみ適用できます。
・第一大臼歯が萌出している
・切歯のうち2歯が2/3以上萌出している
・3/4顎に乳歯または未萌出の永久歯が2歯以上ある
インビザラインファーストのメリット
インビザラインファーストには主に以下のようなメリットがあります。
・透明で目立たない
・痛みが少ない
・習癖を改善できる
・治療期間を短縮できる
・将来歯を抜かずに矯正できる
各メリットについて詳しく説明します。
透明で目立たない
インビザラインファーストの大きなメリットとしては、やはり装置が透明で目立たないことが挙げられます。
インビザラインファーストが適用される時期は、感受性が強い年頃であり、見た目がとても気になります。
そのため、目立たない矯正治療を行うことにより、子どものストレスが大幅に軽減されます。
また親御さんからしても、治療中マウスピースを気にせずに子どもの写真を撮ることができるため、おすすめの矯正方法です。
痛みが少ない
痛みが少ない点も、インビザラインファーストのメリットです。
一般的に、矯正治療には痛いイメージがあり、子どもに受けさせることに対して不安を抱く親御さんもいるかと思います。
インビザラインファーストは、マウスピース1枚につき歯が動く量が少なく、負担も少ないためほとんど痛みが出ません。
習癖を改善できる
インビザラインファーストには、子どもの習癖を改善できるというメリットもあります。
歯並びが悪くなる習癖には、指しゃぶりや舌癖などがあります。
またこれらの習癖は、上下の奥歯を噛んでも前歯が噛み合わない開咬、出っ歯などを引き起こします。
インビザラインファーストを使用すれば、装置によって歯がある程度固定されるため、これらの歯並びに影響する習癖の改善効果も期待できます。
治療期間を短縮できる
インビザラインファーストには、子どもの矯正治療期間を短縮できるというメリットもあります。
従来の矯正治療では、顎の成長をコントロールする治療と歯並びを整える治療を分けて行っていました。
しかし、これでは治療期間がとても長くなってしまいます。
一方インビザラインファーストは、顎の成長と歯の位置を同時にコントロールできるため、治療期間は短くなります。
将来歯を抜かずに矯正できる
インビザラインファーストでの矯正治療を行っておくことにより、永久歯で矯正が必要になったとき、抜歯をしなくても済む可能性があります。
こちらは、子どもの頃の方が歯を動かしやすいことが理由です。
大人の矯正治療で抜歯をしなければいけないのは、歯が並ぶスペースを確保するためです。
これに対し子どもの時期に行うインビザラインファーストは、歯列を拡大し、永久歯が並ぶスペースを前もって作っておくことができます。
そのため、もし将来永久歯で矯正が必要になったとしても、難易度を下げることができます。
ちなみに、成長期の子どもの骨は大人よりやわらかいため、歯が移動するスピードも速いです。
インビザラインファーストのデメリット
インビザラインファーストは子どもにとってメリットの大きい矯正方法ですが、以下のようなデメリットもあります。
・自己管理をしなければいけない
・適用範囲が限られる
インビザラインファーストは固定式ではなく、取り外しが可能な可撤式の矯正装置です。
そのため、自己管理の手間は多くなります。
例えば装着や取り外しのタイミング、装置の適切なケアなど、自身で管理する責任が求められます。
特に子どもにとっては、この自己管理が難しい場合もあります。
またインビザラインファーストは、すべての矯正症例に対応できるわけではありません。
歯の動きや位置の制御が必要な場合や、大幅な歯列の改善が必要な場合には、他の矯正方法が適していることがあります。
まとめ
子ども用のマウスピース矯正であるインビザラインファーストは、子どもの現在にとっても将来にとっても、非常に適した矯正方法だと言えます。
ただし子どもの自己管理が求められる点や、すべての症例に対応しているわけではない点については、前もって把握しておきましょう。
またインビザラインファーストは保険が適用されない自由診療であるため、費用面についても前準備が必要です。