入れ歯を作製しようと考える方は、少しでも早く天然歯に代わるものを手に入れたいと思うはずです。
しかし、入れ歯の中でも自由診療の入れ歯を作製する場合、保険診療のものと比べて少し時間がかかることが予想されます。
今回は、自由診療の入れ歯がすぐに作成できない理由を中心に解説します。
自由診療の入れ歯の種類
歯科クリニックによって取り扱うものには違いがありますが、自由診療の入れ歯には主に以下のようなものがあります。
・チタン床義歯
・コバルトクロム床義歯
・ノンクラスプデンチャー
・マグネットデンチャー など
チタン床義歯とコバルトクロム義歯は、どちらも金属床義歯というものに該当します。
より安全性を求める方はチタン、機能性と費用の手軽さを両立したい方にはコバルトクロムの入れ歯が向いています。
またノンクラスプデンチャーは、樹脂で作製された装着時の違和感が少ない入れ歯です。
マグネットデンチャーについては、磁石を入れ歯と天然歯の両方に取り付けて装着します。
これらの義歯は保険が適用されない分、機能性には優れていますが、費用が高くなる上に作製にもある程度の時間がかかります。
自由診療の入れ歯の作製に時間がかかるのはなぜ?
自由診療の入れ歯の作製に時間がかかる理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・歯科技工士との連携が必要だから
・フィット感や見た目にこだわるから
・素材が選べるから
各項目について詳しく説明します。
歯科技工士との連携が必要だから
自由診療の入れ歯は、歯科クリニックと歯科技工士との密な連携があって初めてつくられるものです。
こちらは、患者さん一人ひとりに合う高品質の入れ歯をつくるには必要不可欠なことです。
また歯科クリニックや歯科技工士の細かい調整などを繰り返してつくられるため、どうしても保険診療の入れ歯より作製期間は長くなります。
フィット感や見た目にこだわるから
保険診療の入れ歯は、どちらかというと“咀嚼ができる状態にする”ということが目的です。
一方自由診療の入れ歯はそれだけでなく、フィット感や見た目の審美性も重視して作製されます。
つまり細部にまでこだわってつくられることから、作製時間が長くなってしまうということです。
素材が選べるから
素材が選べるということも、自由診療の入れ歯をつくるのに時間がかかる理由です。
保険診療の入れ歯では、使用できる素材がある程度決まっています。
そのため、いずれの素材を選んでもそこまで大きな作製時間の違いは生じません。
これに対し自由診療の入れ歯は、使用できる素材に制限がないため、患者さんは好きな素材で作製できます。
一方、強度が高い素材などは機能性に優れているものの、形状を変えにくいという欠点があります。
このことから、良い素材ほど入れ歯をつくるのに時間がかかりやすいと言えます。
自由診療の入れ歯は作製費用も高い
自由診療の入れ歯は保険診療のものと比べ、作製費用も高くなります。
こちらも、作製時間が長くなるのと理由はほぼ同じです。
技術や経験を持った歯科医師、歯科技工士がこだわって作製する上に品質の高い素材も使用するため、どうしても高額になってしまいます。
ただし、自由診療の入れ歯の作製費用については、医療費控除の対象になることがあります。
医療費控除が適用されれば、後々税金の負担が軽減するため、実質お得に入れ歯が作製できます。
もちろん、すべての症例で医療費控除が作製されるわけではありません。
自由診療の入れ歯の場合、治療前に歯科医師に対し、“機能回復目的”で診断書を書いてもらえるかなどを確認しておくと安心です。
このように、自由診療の入れ歯における“値段が高い”という問題については、ある程度解決できる可能性があります。
しかし作製時間の問題については、極端に短縮するなどの対策を取ることができないため、前もって理解しておくしかありません。
自由診療の入れ歯が完成するまで歯がない期間が続く?
初めて入れ歯を作製する方は、自由診療の入れ歯を作製する際、「長い間歯がない期間が続くのか?」と不安に思うかもしれません。
こちらに関しては、即時義歯というものを使用するケースが多いため、安心してください。
即時義歯は、入れ歯を作製したその日に装着できる仮の入れ歯であり、虫歯治療時の仮蓋のような役割を果たします。
すべての歯科クリニックで対応しているわけではありませんが、こちらがあれば入れ歯の作製期間が長くなったとしても、歯がある状態で過ごせます。
ちなみに、即時義歯の作製には保険が適用されます。
まとめ
自由診療の入れ歯は、完成まで少なくとも2~3ヶ月程度はかかります。
ただし、その分保険診療の入れ歯よりも使い勝手は良いです。
さらに、完成後の調整も比較的少なくて済むため、長いスパンで考えると自由診療の入れ歯の方が手間や費用はかからない可能性もあります。
もし保険診療の入れ歯にするか、自由診療にするかで悩んでいるのであれば、一度歯科クリニックで相談してみましょう。