インプラント治療を受けた後は、麻酔が切れるにつれて徐々に痛みが出てきます。
またこちらの痛みは一時的なものですぐに治まりますが、治療を受けてからしばらく経った後にも痛みが生じることがあります。
今回は、インプラント治療の数年後に痛みが出た場合の主な原因について解説します。
インプラント治療の数年後に痛みが出る原因5選
治療後特に問題が起きなければ、インプラントは生活の質を大きく向上させる優れものです。
しかし「これだけ経てばもう大丈夫」と思っていた矢先に、突如痛みに襲われるというケースがあります。
このような痛みの原因は主に以下の通りです。
・インプラント周囲炎
・噛み合わせの変化
・人工歯根と骨の境目のヒビ
・アバットメントの緩み
・周囲の歯のトラブル
各項目について詳しく説明します。
インプラント周囲炎
インプラント治療を受けてしばらく経った後、歯周病のような症状が出てさらに痛みが出る場合、インプラント周囲炎の可能性が高いです。
インプラント周囲炎は、人工歯根周辺の歯茎の腫れや出血、膿などの症状を伴います。
このとき、痛みが併発することもあります。
また歯茎が下がってしまい、人工歯根が剥き出しになるなど、審美的な問題も生じます。
ちなみに治療後のセルフケア、定期検診が十分に行われていない場合、インプラント周囲炎を発症するリスクが高まります。
噛み合わせの変化
インプラント治療から数年後に痛みが出始めた場合、噛み合わせの変化が原因である可能性もあります。
インプラント治療時は、当然噛み合わせを考慮して人工歯根や上部構造が装着されます。
しかし、噛み合わせは日々変化するものです。
これにより、人工歯根を埋入した部分とその反対側の歯とのバランスが崩れ、インプラントにかかる負担が大きくなることがあります。
また負担が大きくなると、インプラントがある側の歯茎や歯に痛みが出たり、インプラントの破損や動揺が起こったりすることが考えられます。
人工歯根と骨の境目のヒビ
正常にインプラント治療が完了した場合、人工歯根は骨にしっかりと定着しています。
しかし治療から時間が経つにつれて、人工歯根と周囲の骨の境目にヒビが入ることがあり、こちらはインプラントの定着を阻害します。
またヒビが大きくなると痛みや不快感を覚えるようになり、インプラントの使用感も非常に悪くなってしまいます。
特に歯ぎしりや食いしばりがある方は、ヒビが入るリスクが高くなります。
アバットメントの緩み
インプラントの人工歯根と上部構造の間には、連結部分であるアバットメントという部分があります。
こちらは治療から数年経過すると、少しずつ緩んでくることがあります。
またアバットメントが緩むと、インプラント全体の安定感が失われ、咀嚼する際に痛みを感じるようになります。
ただしアバットメントの緩みについては、ネジの締め直しやアバットメントの交換などによって解決します。
周囲の歯のトラブル
インプラント周囲の歯でトラブルが起きている場合も、痛みが出ることがあります。
インプラント治療を開始する際は、虫歯や歯周病などの問題がないかどうか事前に検査が行われます。
もちろんこの時点で発症していれば、インプラント治療よりもそちらの治療を優先しますが、インプラント治療後に虫歯や歯周病を発症しないとは限りません。
そのためインプラント周辺の天然歯において虫歯が見られたり、歯周病にかかっていたりすると、治療から時間が経っていても痛みが出るようになります。
インプラントそのものは虫歯になることはありませんが、虫歯になった天然歯の影響を受けることはあるため、注意が必要です。
治療の数年後に生じる痛みを予防するには?
インプラント治療後の痛みをなるべくなくすためには、徹底的にメンテナンスを行わなければいけません。
まず重要なのが、自宅で行う丁寧なブラッシングと歯間ケアです。
歯ブラシでしっかりインプラント周辺の汚れをかき出すことはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、清掃を徹底することが大切です。
また数ヶ月に一度は歯科クリニックを訪れ、クリーニングや噛み合わせのチェックも受けなければいけません。
どれくらいの頻度で通院するのかについては、必ずインプラント治療を受けたときに歯科医師から説明があります。
さらに、インプラント治療後は喫煙も控えるべきです。
喫煙は血流を悪くするため、歯茎や骨の回復が遅くなりますし、唾液が減少してインプラント周囲炎を発症するリスクも高くなります。
まとめ
インプラントは人工物であり、優れた機能を持っているものの、天然歯と比べると劣る部分も多いです。
また天然歯でも虫歯や歯周病のリスクがあるわけですから、インプラントでも同じようなリスクがあるのは当然です。
そのため、一度インプラントを埋入したのであれば、基本的には永遠にメンテナンスを意識しなければいけません。
もし痛みが生じたのであれば、そのまま放置せずすぐに歯科医師に相談してください。