入れ歯を使用するにあたって、安定感は非常に大切なことです。
イマイチ安定していないまま使用し続けると、うまく咀嚼や発音ができませんし、ストレスも溜まります。
また入れ歯に安定感をもたらしてくれるアイテムとして、入れ歯安定剤が挙げられます。
今回は、入れ歯安定剤の種類や使い方について解説します。
入れ歯安定剤の概要
入れ歯安定剤は、入れ歯をより快適に使用するためのサポートアイテムです。
入れ歯と歯茎の隙間を埋め、接着力や安定性を向上させるためのものであり、特に入れ歯が適切にフィットしていない場合に有効です。
日常的に使用することで、食事中に入れ歯がずれたり会話中に気になったりすることが減り、自然な装着感を得られます。
また入れ歯安定剤にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や使い方には違いがあります。
入れ歯安定剤の種類と使い方
入れ歯安定剤には、主に以下の種類があります。
・クリームタイプ
・クッションタイプ
・粉末タイプ
・シートタイプ
各項目について詳しく説明します。
クリームタイプ
クリームタイプは、名前の通りやわらかいクリームを入れ歯の内側に塗布するタイプです。
やわらかいためチューブから出しやすく、入れ歯の上で均等によく伸びるのが特徴です。
またレジン床、金属床のいずれでも使用できます。
入れ歯に付着したクリームは、ティッシュやガーゼあるいは流水下で比較的容易に除去できますが、口内に付着したクリームは除去しにくい場合があります。
このようなケースでは、もう一度ティッシュやガーゼなどで丁寧に拭き取らなければいけません。
クッションタイプ
クッションタイプは、入れ歯の内側にクッションになるような厚みのある材料を塗るものです。
粘着するクリームタイプなどと比べて、べたつきが少ないのがメリットであり、2~3日連続で使用可能です。
しかし厚みがある材料であるため、歯茎と適合性が良い入れ歯には使用できません。
基本的には、歯茎とのフィット感が低い入れ歯に使用することになります。
またこのように適合性が低い入れ歯については、つくり直しもしくは修理が必要であるため、クッションタイプの安定剤を常用するのは良くありません。
粉末タイプ
粉末タイプは、水や唾液で粘着力が出てくるタイプです。
粉末状の安定剤を薄く塗布するもので、入れ歯と歯茎の適合にほとんど影響を与えないのが特徴です。
濡らした入れ歯全体にまんべんなく粉を振りかけることで、効果を発揮します。
使用時の口内の違和感が少ない入れ歯安定剤は粉末タイプくらいしかなく、メリットは大きいですが、外出時に使用する際は少し不便さを感じやすいです。
また下顎の形が平坦な方は、入れ歯を湿らせても粉がこぼれてしまい、均等に広がらない可能性があります。
シートタイプ
シートタイプは、薄いフェルトのような素材を、入れ歯と歯茎の間に挟み込むタイプです。
シートは入れ歯の形状に合わせてカットできるため、簡単に装着できる利便性と安定性を兼ね備えています。
一方でクリームタイプや粉末タイプと比較したとき、長時間の使用にはやや不向きというデメリットがあります。
具体的には、シートが湿気や摩擦によって破れやすく、定期的な交換が必要になります。
入れ歯安定剤を選ぶその他の基準
入れ歯安定剤を選ぶ際は、まず上記のどのタイプにするのかを決定した後、以下の点を基準に商品を選びましょう。
・味や香り
・色
・アルコールの有無
味や香りが強いものは食べ物の味に影響を与えるため、なるべく香料や着色料を含まない無添加のものをおすすめします。
また安定剤の色には白やピンク、透明がありますが、おすすめなのはピンクもしくは透明のものです。
なぜなら、入れ歯からはみ出したとき目立たず、ナチュラルな見た目になるからです。
ちなみにアルコールが配合されたものは、場合によっては歯茎の腫れや痛みなどをもたらす可能性があります。
そのため、アルコールが含まれていない安定剤を使用すべきです。
入れ歯安定剤を使用する際の注意点
入れ歯安定剤は、あくまで一時的なサポートとして使用するもので、長期間使用するものではありません。
もし入れ歯ががたついたり痛みがあったりする場合は、早急に歯科クリニックを受診し、修理や調整をしてもらいましょう。
また入れ歯安定剤は水分で膨らむため、口内が乾燥している状態で使用してはいけません。
口内に入れ歯を装着し、しばらくすると唾液や水分が循環するため、すぐに取り外さないのもポイントです。
ちなみに使用中や使用後に発疹やかゆみ、腫れなどの症状が出た場合は、ただちに使用を中止しなければいけません。
まとめ
入れ歯安定剤は非常に便利なものであり、タイプや味、色などを選ぶことでより快適に使用できます。
ただし、入れ歯安定剤が必要だということは、入れ歯自体に何らかの問題が発生している可能性が高いです。
そのため、安定剤を使用しつつも歯科クリニックに通院し、がたつきや痛みといった問題の原因を解消しなければいけません。