虫歯治療は、国民健康保険や公的医療保険の対象になるため、基本的には保険診療で受けることができます。
こちらは機能の回復をメインに行う治療だからです。
しかし、場合によっては保険が適用されないことも考えられます。
今回は、虫歯治療が自費診療になるケースを中心に解説します。
虫歯治療が自費診療になるケース3選
一般的な虫歯治療は、保険が適用されます。
ここでいう一般的な虫歯治療とは、虫歯を削って銀歯などの詰め物を補填する治療を指しています。
しかし、以下のようなケースは自費診療になります。
・虫歯が重度にまで進行している場合
・審美性の高い補綴物を使用する場合
・インプラント治療を行う場合
各項目について詳しく説明します。
虫歯が重度にまで進行している場合
虫歯が重度にまで進行し、神経にまで達しているような場合は、自費診療で対応しなければいけないことがあります。
重度の虫歯は治療範囲が広く、何度も歯科クリニックに通わなければいけません。
また、セラミックなど保険が適用されない補綴物を使用するケースも多いです。
逆に軽度の虫歯であれば、ほとんど歯を削らずに治療できたり、保険適用の補綴物でも十分対応できたりします。
審美性の高い補綴物を使用する場合
虫歯の進行度合いに関係なく、審美性の高い補綴物を使用する場合も、虫歯治療は自費診療になります。
保険診療の虫歯治療で使用できるのは、銀歯やレジンといった比較的安価な素材です。
一方「見た目をキレイにしたい」「歯の機能性を上げたい」と考える方は、自費診療であるセラミックなど補綴物を選ぶことになります。
セラミックは1本あたり50,000~150,000円程度の費用がかかることもあり、保険診療の虫歯治療と比べて高額になるのは避けられません。
インプラント治療を行う場合
虫歯の進行がひどい場合、歯がボロボロになっていて、詰め物や被せ物では対応できないこともあります。
このようなケースでは、抜歯を伴う虫歯治療後にインプラント治療を行いますが、こちらも自費診療になります。
インプラントは、歯を抜いた部分に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せるというものです。
虫歯治療とは異なり、必ず外科治療を行わなければいけないため、保険は適用されません。
またインプラント治療の費用相場は、1本あたり300,000~600,000円とかなり高額になっています。
もちろん、複数本の場合は数百万円単位になることも考えられます。
自費診療以外で虫歯治療費が高くなるケース
保険診療の虫歯治療であっても、通常より虫歯治療費が高額になることはあります。
具体的には、根管治療を行う場合や、奥歯の治療を行う場合です。
根管治療は、虫歯が歯の神経にまで到達したとき、神経を除去するために行われる治療です。
歯の内部を何度にも分けて洗浄・消毒するため、1回で終わることはなく、複数回通院しなければいけません。
さらに精密機器や高品質の素材を使用する際は、自費診療になることも考えられます。
また虫歯治療費が高くなるかどうかは、治療する歯の位置によっても変わってきます。
一般的に、奥歯は他の歯と違って見えにくく、治療を行うには高度な技術が必要です。
そのため、奥歯の治療というだけで費用が高くなってしまうこともあります。
ちなみに虫歯治療を受ける医療機関の種類、患者さんが加入している保険の種類などによっても、虫歯治療費は変わってきます。
自費診療の虫歯治療を避ける方法
できる限り自費診療の虫歯治療を避けるには、やはり予防歯科を受けることが大切です。
予防歯科とは、虫歯や歯周病になってから治療をするのではなく、発症する前に予防していくという考え方を指します。
歯科クリニックでは、予防歯科の一環として、フッ素塗布やPMTCなどの施術を提供しています。
PMTCは、プロフェッショナルである歯科医師が専門の機器や器具を使用し、歯をクリーニングする施術です。
普段のブラッシングでは取り切れない汚れや、バイオフィルムと呼ばれる細菌の塊を破壊し、虫歯や歯周病を予防します。
またフッ素塗布は、歯にフッ素が含まれた薬剤を塗布するというものです。
フッ素は歯の表面を強くする作用、歯から溶け出したカルシウムやミネラルを取り込む再石灰化作用もあります。
ちなみに予防歯科治療以外でいうと、歯科クリニックの定期検診に通うことも大切です。
定期的に歯科検診を受ければ、万が一虫歯や歯周病を発症していたとしても早期に発見でき、重症化する前に治療を受けられます。
3ヶ月~半年に1回くらいは歯科クリニックで定期検診を受け、口内状況をチェックしてもらうことで、健康な歯をキープしつつ治療費を節約できます。
まとめ
虫歯治療はそれほど進行していない状態で、なおかつ高額な補綴物などを使用しなければ、基本的に自費診療になることはありません。
もっと言えば、予防歯科や定期検診を受けておくことで、虫歯や歯周病などの治療費は一切発生しません。
そのため、特に自覚症状がなかったとしても、定期的に歯科クリニックに通う癖をつけておくことが大切です。