虫歯を発症している方、もしくは発症したことがある方の中には、「歯科クリニックに通わず薬で治したい」と考えたことがある方もいるでしょう。
歯科クリニックへの通院は面倒ですし、治療が苦手な方は精神的な苦痛も大きいです。
今回は、虫歯治療に効果的な市販薬を中心に解説します。
虫歯治療に効果的な市販薬について
虫歯の症状が出ている方は、市販薬を服用することで、痛みなどの症状をある程度落ち着かせることが可能です。
市販薬には飲み薬と塗り薬がありますが、飲み薬は特に歯茎に問題がなく、歯の痛みを感じるときにだけ服用します。
例えば、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンなどの市販薬が有効です。
ロキソプロフェンやイブプロフェンは鎮痛効果が大きく、さまざまな製品で使用されます。
アセトアミノフェンは、ロキソプロフェンやイブプロフェンより鎮痛効果は緩やかなものの、胃に優しいため服用しやすいという特徴を持っています。
また塗り薬については、歯が痛いだけでなく、歯茎にも炎症などの問題が生じているときに使用します。
具体的にはジブカインやアミノ安息香酸エチルなどがおすすめです。
これらの成分は局所麻酔作用があり、虫歯に伴う痛みを鎮めるのに効果を発揮します。
その他、グリチルリチン酸は抗炎症作用があり、歯茎の腫れを軽減してくれます。
歯が痛む場所に正露丸を詰め込む方法もおすすめ
一時的に虫歯の痛みを軽減したいのであれば、痛みがある場所に正露丸を詰め込む方法もおすすめです。
正露丸には、主成分の木クレオソートをはじめ、アセンヤク末やオウバク末、カンゾウ末といった生薬が含まれています。
一般的には腹痛があったときの薬として使用されますが、こちらは実は虫歯の痛みを軽減する際にも有効です。
こちらは裏技でもなんでもなく、正露丸の効能としてパッケージやホームページにも記載されているため、心配無用です。
具体的な方法としては、まず痛みがある歯に適量の正露丸を詰めるだけでOKです。
こうすることで、少しずつ痛みが和らいでいきます。
適量とは虫歯の穴に合った量をいい、穴が大きい重度の虫歯であれば1個をそのまま、小さい虫歯であれば半分などにした上で患部に詰めます。
その後数十分程度経過すれば、歯に正露丸の成分が染み込んでいきます。
正露丸の主成分である木クレオソートは、歯の鎮痛や根管の消毒薬として使用されていることから、このような効果を発揮します。
ただし使用後に発疹や発赤、かゆみなどの症状が出た場合、正露丸に含まれる成分のアレルギーである可能性が高いため、すぐに使用を注意しましょう。
歯科クリニックでよく処方される鎮痛剤について
歯科クリニックでよく処方される鎮痛剤には、解熱鎮痛薬と抗炎症薬があります。
こちらが手元にある場合は、市販薬よりも優先して服用するのが安全です。
解熱鎮痛薬としては、カロナールという薬が処方されるケースが多いです。
カロナールは、身体の体温中枢に作用して熱を放散させるほか、痛みを感じる視床と大脳皮質に働きかけ、痛みを軽減してくれます。
また抗炎症薬として処方されることが多いのは、ポンタールやロキソニン、ボルタレンなどです。
虫歯のように局所に刺激がある状態の場合、身体はプロスタグランジンという炎症や痛みの原因となる物質をその局所に生み出します。
上記の抗炎症薬は、プロスタグランジンが形成されないようにする作用があるため、痛みも炎症も軽減されます。
虫歯を治療できる薬はあるのか?
前述の通り、虫歯の痛みや歯茎の腫れなどに効く薬は存在しますが、根本から虫歯を治療できる薬は今のところ存在しません。
つまり、薬はあくまで対症療法であり、治療法ではないということです。
虫歯の治療薬が一切開発されていない理由には、虫歯菌の性質や虫歯を発症する仕組みなどが関係しています。
虫歯の原因となるのは虫歯菌ですが、こちらは硬い歯を溶かすほど強力な酸の中で生き続けています。
さらに生き続けるだけでなく増殖を繰り返すため、簡単に死滅させることができません。
薬の服用をもってしても、簡単に殺すのは難しいとされています。
また虫歯の原因は、虫歯菌に歯が侵食されることだけではありません。
確かに直接的な原因はそれですが、実際はブラッシングや食事などの生活習慣、噛み合わせなど口内の問題が複雑に絡み合って発症するものです。
そのためもし虫歯菌を死滅させられる薬が出たとしても、それだけで虫歯のリスクをゼロに近づけることはできませんし、治療もできません。
そもそも、一度虫歯を発症して溶かされた歯は、何があっても元には戻りません。
まとめ
虫歯を発症し、痛みが出るほど症状が進行している場合、治すには歯科クリニックに通うしかありません。
薬で手っ取り早く治したいという気持ちはわかりますが、今の技術では薬で虫歯を根絶させるのは難しいです。
また市販薬を使用することで、多少は痛みなどが改善されますが、永遠に市販薬を使用しても意味がありません。
そのため、治療が苦手な方はそもそも発症させないための努力が必要です。