虫歯予防の一環として、日々のブラッシングを丁寧に行っているという方は多いかと思います。
しかし、大事なのはブラッシングだけでなく、食生活にも気を遣うことです。
摂取する栄養素を間違えなければ、虫歯はより防ぎやすくなります。
今回は、食物繊維が虫歯予防に効果的な理由を中心に解説します。
食物繊維の概要
食物繊維は、人の消化酵素では消化できない成分であり、日頃私たちが摂取する食べ物の中に含まれています。
水に溶けない不溶性食物繊維、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があり、これらを総称して食物繊維と呼んでいます。
また食物繊維は、第6の栄養素とも言われています。
5大栄養素と言えば、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルのことを指していますが、これらは私たち人間の生命活動を維持するにあたって欠かせません。
食物繊維は整腸作用など身体の中で有用な働きをすることから、これら5大栄養素に次ぐ第6の栄養素として、注目が集まっています。
ちなみに、食物繊維はあらゆるジャンルの食べ物に含まれています。
有名なのはゴボウやリンゴなどの野菜・果物類ですが、玄米などの穀類やキノコ類、海藻類や豆類などからも摂取できます。
食物繊維が虫歯予防に効果的な理由3選
以下のような理由により、食物繊維を積極的に摂取すると虫歯予防につながります。
・食べカスやプラークが落ちる
・唾液の分泌量が増える
・健康な歯の基盤がつくれる
各項目について詳しく説明します。
食べカスやプラークが落ちる
食物繊維が含まれる食べ物を摂取することで、虫歯の原因となる食べカスやプラークがある程度除去されます。
食物繊維の繊維質は、咀嚼することで歯と擦れ合い、食べカスやプラークを落としてくれます。
このような効果から、清掃性食品とも呼ばれます。
虫歯の原因はさまざまですが、やはり直接的な原因は、虫歯菌の温床であるプラークが口内に蓄積することです。
もちろんブラッシングは行わなければいけませんが、食事をするだけである程度清掃効果が得られるというのは大きなメリットです。
唾液の分泌量が増える
食物繊維を積極的に摂取すれば、唾液の分泌量も増加します。
こちらも虫歯予防につながる理由です。
繊維質の食べ物は、少し噛んだだけでは簡単に飲み込めません。
そのため、飲み込むためには必然的に噛む回数が増えることになります。
また噛む回数が増えれば唾液腺が刺激され、口内で多くの唾液がつくられます。
唾液には、口内を洗い流す自浄作用というものがあるため、分泌量が多ければ多いほどプラークは洗い流されやすくなります。
健康な歯の基盤がつくれる
食物繊維の代表的な効果と言えば、やはり整腸作用ですが、こちらが虫歯予防につながることも考えられます。
なぜなら、整腸作用によってつくられる健康な身体は、健康な歯の基盤となるからです。
食物繊維は、腸内フローラという腸内細菌の集団におけるバランスを改善します。
具体的には腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内を弱酸性に保つことで、健康維持に役立ちます。
健康状態が悪くなると、栄養が不足したり口内環境が悪化したりして、歯や歯茎にも悪影響が及びます。
食物繊維は、このような悪循環を断ち切ってくれる栄養素だと言えます。
食物繊維には口臭の予防効果もある
食物繊維には虫歯だけでなく、口臭を予防する効果もあります。
こちらは、腸内環境の乱れから来る口臭を防止できるからです。
腸内に悪玉菌が増えると、食べ物を分解する際に臭いガスが発生します。
こちらのガスは血液とともに全身に広がり、呼吸を通して体外に排出されます。
このとき口から発せられるニオイは、強烈な口臭として周囲の方に大きな不快感を与えます。
また腸内環境の影響は、口臭だけでなく体臭にも影響することがあります。
日頃から食物繊維をしっかり摂取していれば、これらのニオイに悩まされる心配は少なくなります。
糖尿病を予防できるのも食物繊維のメリット
食物繊維には、生活習慣病の一つである糖尿病を予防する効果もあります。
糖尿病は、血糖を利用するために必要なインスリンが不足することによって起こる疾患です。
現代人は脂質や糖質の過剰摂取により、インスリンの産生に負担をかけ、インスリン不足になりやすいと考えられています。
水溶性食物繊維は糖質の吸収速度を緩慢にするため、インスリン酸性に負担をかけないように働くことで、糖尿病を予防する効果があります。
ちなみに、糖尿病は歯周病と相互関係のある疾患としても知られています。
つまり食物繊維で糖尿病を予防することは、歯周病を予防することにもなるということです。
まとめ
食物繊維が不足すると、口内環境や腸内環境が悪化し、虫歯を予防しにくくなってしまいます。
そのため、なるべく毎日意識して摂取することが大切です。
また飽きずに摂取するためには、さまざまな食材を採り入れる方法がおすすめです。
食物繊維は野菜や果物だけでなく、穀類やキノコ類、豆類などから摂取できるため、飽きてしまう心配が少ないです。