インプラント治療は外科治療を伴うため、どうしても出血は避けられません。
また治療後の出血はそれほど長引くことがありませんが、場合によってはいつまで経っても出血が続くことも考えられます。
今回は、インプラント治療後の出血が止まらない理由と対処法を中心に解説します。
通常インプラント治療後の出血はすぐに止まる
通常、インプラント治療後の出血は1～2日程度で止まります。
当然治療直後、歯科クリニックで止血の処置は行われますが、それだけは完全に出血は止まりません。
人工歯根を埋入するには歯茎を切開する必要があり、口内にはそのときの傷跡が残ります。
そのため、一度止血を行っても、数日間はジワジワと血が出ることがあります。
ただし、数週間～1ヶ月など、長期間出血し続けることは基本的にはありません。
インプラント治療後の出血が止まらない理由4選
主に以下の理由により、インプラント治療後にはなかなか出血が止まらないことがあります。
・大きな血管に傷がついている
・インプラント周囲炎を発症している
・歯茎や骨の状態が悪い
・高血圧症を患っている
各項目について詳しく説明します。
大きな血管に傷がついている
なかなか血が止まらない場合、インプラント治療を行ったとき、大きな血管に傷をつけてしまっている可能性があります。
インプラント治療では、顎の骨に穴を開けて人工歯根を埋め込むため、少なからず血管を傷つけるリスクがあります。
特に大きな血管に傷がつくと、大量出血や神経麻痺を引き起こす可能性があり、治療後もなかなか血が止まりません。
インプラント治療の実績がある歯科クリニックであれば、このようなミスが起こる可能性は極めて低いですが、経験が乏しい場合は決してない話ではありません。
インプラント周囲炎を発症している
インプラント周囲炎を発症していることでも、治療後の出血は止まりにくくなります。
インプラント周囲炎の初期段階では、歯茎の腫れや出血が見られます。
また歯周病と同じような症状であるため、歯ブラシやフロスを当てたとき、腫れている部分を指で押したときなどにも出血しやすくなります。
ちなみにインプラント周囲炎は、細菌が歯茎とインプラントの境目に侵入することで発症します。
ブラッシングや歯科医師によるメンテナンスが不十分な場合、発症のリスクが高まります。
歯茎や骨の状態が悪い
インプラント治療を受けた段階で歯茎や顎の骨の状態が悪い場合も、治療後の出血が止まりにくくなります。
例えば歯周病を患っている場合、インプラント周囲炎と同じように歯茎の腫れや炎症が見られるため、簡単な刺激でも出血しやすくなります。
また少しの刺激で出血するため、常に血が出続けているような状態になることもあります。
高血圧症を患っている
高血圧症の方も、インプラント治療後の出血が止まらないことが考えられます。
なぜなら、高血圧症の方はインプラント治療によるストレスから、血圧が上がる可能性があるからです。
こちらは、血圧を下げる降圧剤を服用していても同じことが言えます。
またストレスが溜まると、血圧が上がって出血が止まりにくくなるだけでなく、動脈硬化が進行して脳や血管などに合併症を引き起こすことも考えられます。
インプラント治療後の出血が止まらない場合の対処法
数日経っても治療後の出血が一向に止まらないという場合は、早急に歯科クリニックを受診しましょう。
特に口周りに麻痺やしびれがある場合は、下歯槽神経という大きな神経が傷ついている可能性が高いため、早期に対応してもらわなければいけません。
また歯科クリニックに相談する際は、出血の頻度や量などを歯科医師に伝え、指示を仰ぎましょう。
出血しやすくなる行動は控えるべき
治療箇所や全身の健康状態に問題がなかったとしても、治療後の行動によっては出血が止まりにくくなるため、注意が必要です。
例えば、治療後数日間はできる限り安静にし、激しい運動を避けなければいけません。
肉体労働をはじめとする身体を動かす仕事をしている方は、数日間休養するのが望ましいです。
またアルコールを摂取すると、全身の血流が良くなって出血量が増えることがあります。
こちらは長時間の入浴にも言えることであり、治療後数日間はこれらの行動を避けるべきです。
入浴については、数日間シャワーで済ませることをおすすめします。
さらに食事についても、極端に熱いものや冷たいものは摂取しないようにしましょう。
熱すぎるもしくは冷たすぎるものは、インプラント治療時にできた傷口を刺激し、痛みや出血の原因になります。
まとめ
インプラント治療に出血はつきものですが、基本的には出血が長期化したり、大量に出血したりする心配はありません。
しかし歯科クリニック選びを慎重に行わなかったり、治療後の行動に問題があったりすると、出血が止まらなくなることはあります。
もし今後インプラント治療を受けるのであれば、少なからずこのようなリスクがあるということを念頭に置いておきましょう。
