入れ歯は毎日装着するものであり、毎日清掃するものでもあります。
具体的には、使用しない夜の時間帯に清掃し、そのまま洗浄液に浸けておくのが一般的な方法です。
しかし、入れ歯を洗う際には、使ってはいけないものがいくつかあります。
今回はこちらの内容について解説します。
入れ歯を清掃する際に使ってはいけないもの7選
不具合につながる可能性があるため、入れ歯を清掃する際は以下のものを使用してはいけません。
・硬い歯ブラシ
・食器洗い用スポンジ
・漂白剤
・メラミンスポンジ
・歯磨き粉
・重曹
・熱湯
各項目について詳しく説明します。
硬い歯ブラシ
入れ歯を清掃する際は、蓄積した汚れをしっかり落とさなければいけません。
だからといって天然歯用の硬い歯ブラシを使用するのはNGです。
天然歯に使用する歯ブラシには、主にやわらかめ、ふつう、かためという3種類の硬さが存在します。
このうち硬い歯ブラシで力を入れて洗ってしまうと、キズがついて細菌が繁殖したり、汚れがつきやすくなったりするおそれがあります。
入れ歯をブラシで磨く際は、毛先がやわらかい入れ歯専用のものを使用するようにしましょう。
食器洗い用スポンジ
入れ歯を洗浄する際には、食器洗い用スポンジも使用しないようにしましょう。
特にスポンジの硬い部分は不織布でできているため、硬い歯ブラシで磨いたときと同じようにキズがつく原因になります。
またスポンジのやわらかい部分であれば洗って良いのかというと、決してそういうわけではありません。
スポンジのやわらかい部分は、実は泡を立てるためにあるもので、洗浄に使用する部分ではありません。
そもそも食器洗い用スポンジは洗う面が広く、デコボコな部分が多い入れ歯との相性は悪いです。
漂白剤
長期間使用した入れ歯は、徐々に黄ばみが目立ち始めます。
だからといって、清掃する際に漂白剤を使用してはいけません。
漂白剤を使用すると、かえって変色しやすくなってしまう上に、劣化を早める可能性があります。
また変形してしまうリスクもあり、変形した入れ歯は患者さんの口内に合っていない状態のため、本来の機能を発揮できません。
メラミンスポンジ
メラミンスポンジは、掃除のときなどに使用するもので、色は白くサイコロ状になっているのが特徴です。
また掃除の際に使用すると汚れが落ちやすいことから、こちらを入れ歯の清掃に使用する方がいますが、こちらも絶対にNGです。
メラミンスポンジで汚れが落ちるのは、表面を削り落としているからです。
そのため、使用すると入れ歯の表面が削り落ちて形状が変わったり、見た目が悪くなってしまったりするおそれがあります。
歯磨き粉
天然歯を磨くときには歯磨き粉を使用しますが、その流れで入れ歯も歯磨き粉で洗うのは避けましょう。
歯磨き粉の中には、研磨剤が含まれているものも多くあります。
研磨剤は、前述したメラミンスポンジと同じように表面を削るものであり、入れ歯に使用すると噛み合わせの悪化や劣化につながります。
ちなみに研磨剤不使用の歯磨き粉もありますが、こちらは入れ歯を清掃することは想定されていません。
そのため、入れ歯を洗う際は専用の洗浄剤を使用しましょう。
重曹
入れ歯を清掃する際には、重曹も使用してはいけません。
重曹は、炭酸水素ナトリウムと呼ばれるアルカリ性の物質です。
人体に無害な物質として、食用の添加物や医薬品にも使用されています。
また重曹は弱アルカリ性の性質を持ち、酸性のものを中和する働きがあるため、油汚れや皮脂汚れなどを落とすことができます。
しかし入れ歯に使用してしまうと、表面を削ってしまったり、入れ歯に残った重曹が歯石を形成してしまったりする可能性があります。
一度入れ歯に付着した歯石は、自宅での清掃では基本的に落とせません。
熱湯
入れ歯を清掃する際は、流水ですすぎながら専用のブラシを使用し、少しずつ汚れを落としていくのが理想的です。
しかし、このとき使用する流水は、必ず水もしくはぬるま湯にしましょう。
熱湯を使用すると、入れ歯の変形や劣化を起こす可能性があります
入れ歯はアクリルレジンというプラスチック素材でできていて、こちらは高温に弱い性質があります。
そのため、熱湯で入れ歯を洗うと、レジンが変形して口に合わなくなったり、噛み合わせが悪化したりするおそれがあります。
ちなみにどれくらいの温度が適切かというと、具体的には40~50度程度のぬるま湯を使用すべきです。
60度以上のお湯は熱湯という扱いになるため、温度をしっかり確認しながら清掃しましょう。
手に直接触れたときに、火傷しそうなほどの熱さを感じた場合は、すでにぬるま湯の範疇を超えています。
まとめ
入れ歯の清掃は、入れ歯を問題なく使用していくためにも必要不可欠なことです。
また手っ取り早く汚れを落としたかったり、付着した汚れを少しでもキレイにしたかったりする場合でも、使用するアイテムには注意しましょう。
安全な範囲内で清掃したにもかかわらず、汚れが落ちないという場合は、一度歯科医師に相談してください。