インプラント自体は虫歯になりませんが、周りの天然歯には虫歯のリスクがあります。
またインプラント周囲炎は、文字通りインプラントの周囲のブラッシングが不十分な場合に起こるため、セルフケアだけでなく摂取するものにも気を遣わなければいけません。
今回はインプラントと相性の良いお酒、悪いお酒を中心に解説します。
インプラントと相性の良いお酒
インプラントとの相性が良いのは、蒸留酒と呼ばれるものです。
具体的にはウイスキーや焼酎、ウォッカやジン、ラムといったお酒が該当します。
そもそも蒸留とは、アルコールの沸点が水より低いことを利用し、一度熱して気体化させたアルコールを冷やして再び液体に戻すことをいいます。
お酒の中には醸造酒というものもありますが、こちらは原料に含まれる糖を酵母菌が分解し、アルコールにしたものです。
しかし酵母菌は自身が生み出したアルコールに弱く、アルコール度数が20度になると活動をほぼ停止します。
蒸留酒は醸造酒を蒸留してアルコール分を取り出し、それを液体に戻すため、醸造酒よりも強いアルコール度数のお酒にすることができます。
また蒸留酒がインプラントと相性が良い理由としては、糖分が少ないことが挙げられます。
蒸留酒は、発酵したお酒を蒸留する過程において、糖質などの成分が除去されるため、ほとんど糖分が含まれていません。
糖分が少なければ、インプラント周囲の歯は虫歯になりにくいですし、インプラント周囲炎の原因となるプラークも付着しにくくなります。
インプラントと相性の良いお酒を摂取する際の注意点
インプラントと相性の良い蒸留酒を摂取する際は、主に以下の点に注意しなければいけません。
・度数が強いお酒が多い
・甘いジュースで割ると意味がない
・ダラダラ摂取し続けない
・おつまみに気を付ける
各項目について詳しく説明します。
度数が強いお酒が多い
蒸留酒はインプラントと相性が良いものの、醸造酒などに比べてアルコール度数が強いお酒が多いです。
例えばビールの度数が約5度、ワインが約10~15度なのに対し、蒸留酒のウイスキーは約40~55度もあります。
このようなお酒を頻繁に飲んでいると、急性アルコール中毒を引き起こしやすいですし、アルコール依存症のリスクも高まります。
また喉や胃腸の粘膜に強い刺激を与え、口腔がんや咽頭がん、食道がんなどの原因になることもあります。
甘いジュースで割ると意味がない
糖分が少なく、インプラント周辺で問題が起こりにくいのが蒸留酒のメリットですが、こちらを甘いジュースで割ってしまうと意味がありません。
糖分が含まれているジュースは、インプラント周囲炎を引き起こし、動揺や脱落などの原因になることがあります。
そのため、蒸留酒を摂取する際は、基本的にロックもしくはストレートがおすすめです。
また無糖の炭酸水を使用すれば、インプラント周囲炎のリスクを軽減しつつ、ハイボールや焼酎ソーダ割りなどさらにバリエーションを増やすことができます。
ダラダラ摂取し続けない
たとえ蒸留酒であっても、ダラダラと摂取し続けるのはインプラントやその周囲の天然歯にとって良くありません。
口内にアルコールが滞在する時間が長いと、酸性に傾いて口内トラブルのリスクが高まります。
また前述の通り、蒸留酒はアルコール度数が高いため、お酒が好きな方であってもそこまでハイペースで飲むのは難しいです。
このことからダラダラ飲みになりやすいため、なるべく飲む時間を短くするように意識してください。
おつまみに気を付ける
蒸留酒におけるインプラントへの悪影響を強める要素としては、おつまみも挙げられます。
お酒を飲むときは、お酒の種類にあわせたおつまみを摂取することも多いですが、こちらもプラークが付着しやすいものはなるべく避けましょう。
逆にスルメは唾液の分泌量が増加し、プラークを洗い流してくれますし、チーズは歯の表面にあるエナメル質を保護し、再石灰化を促してくれるためおすすめです。
インプラントと相性の悪いお酒とは?
逆にインプラントと相性の悪いお酒は、ここまで何度か話に出てきた醸造酒です。
具体的にはビールやワイン、日本酒などの他、チューハイやカクテルなどが該当します。
これらのお酒は糖分が多く、口内の虫歯菌の活動を活発にし、インプラント周囲の歯茎や天然歯に悪影響を及ぼします。
またアルコールを摂取した後は、つい面倒になってブラッシングをせずに寝てしまうことが多いですが、上記のお酒を飲んだ後は特に注意が必要です。
糖分が多いお酒は、就寝中に多くの虫歯菌を生み出し、口内環境を悪くしてしまいます。
まとめ
お酒を飲むこと自体は、決して悪いことではありません。
適度な飲酒は食欲増進や血行促進、ストレスの緩和などに役立ちます。
しかし、治療後のインプラントの寿命を少しでも長くしたいのであれば、アルコールの摂り方や種類については意識しなければいけません。
またインプラントと相性の良い蒸留酒でも、好き放題飲んで良いわけではないということを理解しましょう。