漢方は日本の伝統医学であり、植物や鉱物などの生薬を組み合わせてつくられた薬です。
また漢方の中には虫歯の症状を軽減させてくれるものもあり、ドラッグストアなどで購入できるほか、歯科クリニックでも処方されることがあります。
今回は、虫歯の症状に効果がある漢方の種類について解説します。
虫歯の症状に効果がある漢方6選
虫歯の症状が出ている方は、以下の漢方を服用することである程度症状が軽減されることがあります。
・立効散
・半夏瀉心湯
・黄連湯
・排膿散及湯
・十全大補湯
・五苓散
各項目について詳しく説明します。
立効散
立効散(りっこうさん)は、虫歯による歯の痛みや抜歯後の痛みを和らげる漢方です。
虫歯の治療に用いられることもあります。
正しい服用方法としては、まずお湯に溶かし、口に含んでから飲み込みます。
外出先などで溶かすのが難しい場合は、舌の上に置くようにして服用します。
また立効散には鎮痛効果がありますが、その作用は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に比べて少し弱いです。
半夏瀉心湯
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、口内炎の治療に用いる漢方ですが、虫歯治療にも使うことができます。
粘膜障害を抑える作用や、細菌に対する抗菌作用があることで知られています。
症状によって効果が現れるまでには個人差がありますが、数回の服用である程度改善が見込めます。
ただしストレスから来る症状については、効果が現れるまで時間がかかる傾向にあります。
ちなみに半夏瀉心湯は、急性・慢性の胃腸炎や消化不良、下痢や軟便、二日酔いなどの症状にも効果を発揮します。
黄連湯
黄連湯(おうれんとう)は、歯の炎症や歯痛に効く漢方です。
炎症と痛みを同時に抑えることができるため、まさに虫歯治療にうってつけの漢方だと言えます。
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食感に水またはぬるま湯で服用します。
これらの目安は、年齢や体重、症状によって適宜増減します。
ちなみに黄連湯も半夏瀉心湯と同じく、急性胃炎や二日酔い、口内炎などの症状に用いられます。
排膿散及湯
排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)は、歯肉炎や歯槽膿漏など、歯の炎症や膿みに効果のある漢方です。
虫歯が重度にまで進行し、患部から膿が出たときも、歯科治療と併用して使用できる場合があります。
また排膿散及湯には抗菌作用があるため、症状が再発しにくくなったり、再発しても症状が悪化しにくかったりすると言われています。
ただし重大な副作用として手足のだるさ、こわばり、むくみなどの初期症状が特徴の偽アルドステロン症、筋肉の疾患であるミオパチーなどが報告されています。
十全大補湯
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は抗菌効果のある漢方で、虫歯治療への応用が期待されています。
また歯周炎や口内炎などの治療にも用いられるため、総合的に口内環境を整えてくれる効果があります。
さらに、十全大補湯は病後の体力低下にも効く漢方です。
そのため、虫歯治療によって体力が削られた後に服用するものとしても向いていると言えます。
五苓散
五苓散(ごれいさん)は、直接的な虫歯治療の効果があるわけではありませんが、体調不良に効く漢方です。
そのため、虫歯治療の後に頭痛やめまい、吐き気などを催した際には効果を発揮します。
症状や体質にあわせて服用期間が変わりますが、一般的には症状が改善されるまで服用を続けることが推奨されています。
また五苓散は、急性の風邪による発熱や口の乾きにも有効です。
漢方を服用する際の注意点について
虫歯治療の一環として漢方を服薬する場合、やはり気を付けたいのは副作用です。
例えば食欲不振や胃もたれなどの消化器症状、肝機能異常、低カリウム血症といったリスクは、いずれの漢方にも少なからず潜んでいます。
また腸間膜静脈硬化症を患ってしまうと、腹痛だけでなく血便などの上昇が出ることもあります。
さらに、漢方は効き目に個人差がある上に、効き具合を判断するのも難しいです。
西洋医学であれば見える血圧などの数値の改善や殺菌効果など、目に見えて評価することが困難なのはデメリットです。
ちなみに、漢方は虫歯治療の一つですが、あくまで対症療法です。
虫歯の穴を治療したり、口内の虫歯菌を除去したりすることはできません。
そのため、虫歯治療が苦手な方は、漢方だけで虫歯が治るとは考えないようにしましょう。
軽度~中程度の虫歯では必ず歯を削りますし、重度の虫歯では根管治療といって、歯の内部の汚れや神経を除去する治療を受けなければいけないことも考えられます。
まとめ
虫歯の治療には薬や抗生物質が使用されることがあり、その中には今回解説したような漢方が含まれることもあります。
また漢方には、虫歯の症状を抑えてくれるものや、虫歯治療によって負担がかかった患者さんの身体を回復させてくれるものなどが存在します。
ただし漢方は万能薬ではないため、虫歯を根本から治すことはできません。
もし歯を削るのが苦手というのであれば、前もって歯科医師に相談しておきましょう。