入れ歯を快適に使用するには、患者さん自身でメンテナンスを行う必要があります。
またメンテナンスをするにはその都度取り外さなければいけませんが、中には清掃が面倒なことから、長時間つけっぱなしにしてしまう方もいます。
今回は、入れ歯を長時間外さないことのデメリットを中心に解説します。
入れ歯を長時間外さないことのデメリット5選
一度装着した入れ歯をしばらく入れたままにしていると、以下のようなデメリットが生じます。
・歯茎に負担がかかる
・細菌が増殖する
・入れ歯が変形する
・口臭が出る
・口内炎を発症する
各デメリットについて詳しく説明します。
歯茎に負担がかかる
入れ歯は失った歯をカバーするためのものですが、装着するにはしっかりと歯茎に付着させなければいけません。
またこのとき、歯茎には多少負担がかかっています。
そのため、長時間入れ歯を付けたままの状態にしていると、歯茎の負担が大きくなって血行が悪化するおそれがあります。
また血行が悪くなると、炎症や痛みなどの症状が出ることもあります。
入れ歯を装着したばかりの頃は、慣れるまで口内に違和感がありますが、炎症や痛みがある場合はその違和感がいつまで経っても拭えません。
もちろん、これらの症状は集中力の低下や食事のしにくさ、快適な睡眠の阻害などにもつながります。
細菌が増殖する
入れ歯を長い間外さずに生活すると、口内で細菌が増殖する可能性もあります。
こちらは、入れ歯と歯茎との間に食べカスが溜まることが原因です。
入れ歯と歯茎は隙間なくピッタリと吸着しているように見えますが、実際はわずかに隙間が空いています。
そのため、食事を摂るたびに隙間から食べカスが入り込み、内部に溜まってしまうおそれがあります。
また内部に溜まった食べカスは、やがてプラークに変化し、細菌の温床となって口内で活発に動き始めます。
プラークは虫歯や歯周病を引き起こす直接的な原因であるため、なるべく口内にとどまる時間を短くするのが望ましいです。
入れ歯が変形する
入れ歯が変形することも、長時間入れ歯を装着したままにすることのデメリットです。
こちらは歯石の付着、就寝中の動きなどが原因です。
先ほども触れたように、入れ歯と歯茎の隙間から食べカスが入り込むと、内部でプラークが形成されます。
プラークは形成から2~3日経過すると、歯石という石のように硬い状態に変化します。
また歯石は歯茎だけでなく、人工物である入れ歯にも付着します。
至るところに歯石が付着した入れ歯は、当初と形状が変わってしまい、患者さんの口内との適合性が悪くなります。
さらに、寝ている間も入れ歯をつけたままにしていると、寝返りなどの動きによって入れ歯が変形もしくは破損するリスクもあります。
ちなみに歯ぎしりや食いしばりがある方も、強い負荷によって就寝中に入れ歯の形を変えてしまうことが考えられます。
口臭が出る
入れ歯を長時間外さないでいると、強い口臭が出る可能性も高くなります。
口臭の原因はさまざまですが、やはり一般的なのはプラークに含まれる細菌が硫化水素やメチルメルカプタンといったガスを発生させることです。
さらに歯石が形成されると、こちらの口臭はより強烈になるおそれがあります。
また口臭の厄介なところは、患者さん自身が我慢していれば良いというわけではないところです。
むしろ患者さん自身より、周りにいる方の方が口臭を感じやすいため、発生はなるべく防がなければいけません。
あまりにも口臭がひどい場合、人間関係に影響が出ることも考えられます。
口内炎を発症する
入れ歯を外さずに長時間装着し続けることは、口内炎を発症することにもつながります。
このような口内炎はカタル性口内炎と言われるもので、入れ歯が口内の粘膜に当たり続けることによる刺激で発症します。
一度発症した口内炎は、入れ歯を装着している限りなかなか完治しません。
また食事中に痛みを感じたり、会話がつらくなったりと、日常生活にも支障が出るおそれがあります。
つまり、入れ歯の効果を半減させてしまうということです。
入れ歯を取り外すタイミングや時間について
入れ歯を取り外すタイミングとして適しているのは食後です。
可能であれば、毎食後入れ歯を取り外し、食べカスを洗い流すようにしましょう。
もし毎食後が難しいというのであれば、就寝前に浸け置き洗いをするタイミングで、入れ歯用ブラシを使用して丁寧に汚れを取り除きます。
また1日何時間くらい取り外せば良いかについては、一概には言えませんが、6時間くらいは外しておくのが望ましいです。
つまり、一般的な就寝時間が目安になるということです。
まとめ
あまりにも入れ歯がある生活が快適だったり、洗うのが面倒だったりする場合でも、必ず入れ歯は取り外さなければいけません。
装着したままだと、口内だけでなく入れ歯そのものにも問題が生じます。
またきちんと取り外していたとしても、メンテナンスの仕方を間違っていては意味がありません。
入れ歯用ブラシや洗浄剤などのアイテムを駆使し、丁寧に汚れを落としてください。