インプラント治療は、人工歯根を埋め込んで上部構造を被せれば完了しますが、ここをゴールにしてはいけません。
正確には、治療後もインプラントのケアを行い、食事や発音など快適な生活を送ることを目標にすべきです。
今回は、電動歯ブラシでインプラントを磨く際のポイントについて解説します。
電動歯ブラシでインプラントを磨くことのメリット
電動歯ブラシでインプラントを磨く場合、効率的にプラークを除去することができます。
一般的な手動の歯ブラシの場合、自身の力でブラッシングの速度や強さなどを調整しなければいけません。
そのため、どうしても磨きムラが出やすくなってしまいます。
一方電動歯ブラシの場合は、一定の速度を圧力で動作します。
こうすることで磨き残しを減らし、歯や歯茎を傷つけるリスクも軽減されます。
特に狭い隙間や歯周ポケットに残りやすいプラークに対し、手動の歯ブラシよりも効率的に対応できるため、インプラントの周囲を清潔に保つのに有効です。
つまり、インプラント周囲炎の発症予防にも一役買ってくれるということです。
インプラントのケアに向いている電動歯ブラシのタイプ
電動歯ブラシには、一般的な電動歯ブラシの他、音波歯ブラシや超音波歯ブラシがあります。
これらのうち、もっともインプラントのケアに適しているのは超音波タイプの電動歯ブラシです。
超音波歯ブラシは、耳では聞こえない程度の音である超音波を発生させ、細かい振動でブラッシングができるというものです。
プラークを浮かせてから取り除くため、歯や歯茎を傷つけることなくインプラントやその周辺をキレイにできます。
またプラークの元となる細菌をも破壊し、除去できるため、他の電動歯ブラシよりも清掃効果は圧倒的に高いと言えます。
ただし、他のタイプと比べると高額なケースが多いため、購入時は注意しなければいけません。
音波歯ブラシも細かく動く毛先が特徴ですが、超音波歯ブラシと比べると多少機能性は落ちます。
ちなみに一般的な電動歯ブラシは、モーターが回転することでプラークを落とす従来からあるタイプで、力が加減しにくいため歯茎を傷つけるリスクがあります。
電動歯ブラシに求められる機能について
インプラントを磨く際の電動歯ブラシは、ブラシヘッドがやわらかいもの、圧力センサーがついたものが望ましいです。
たとえ超音波歯ブラシであっても、ブラシヘッドが硬いと歯茎を傷つけ、インプラント周囲炎を発症しやすくなります。
一方、やわらかいブラシはプラークを効率良く除去しながらも、デリケートな歯茎をしっかりケアできます。
やわらかいブラシヘッドについては、歯科医師の多くも推奨しているくらいで、インプラントの寿命を延ばすにあたっては必須だと言えます。
また圧力センサーについては、ブラッシングの力が強くなりすぎないよう、自動で調整してくれる機能です。
自身が力を入れた瞬間やその事実がわかるため、適切な力の入れ方を覚えやすくなるのがメリットです。
ちなみに圧力センサーの中には、ライトや音で力の入れすぎを通知してくれるものもあります。
電動歯ブラシでインプラントを磨くときの具体的な方法
電動歯ブラシを使用する際は、インプラントと歯茎の境目にブラシヘッドを軽く当て、優しく磨きます。
このとき、各箇所を2~3秒ずつ丁寧に清掃することで、プラークが残りにくくなります。
また電動歯ブラシはインプラントの清掃効率をアップさせますが、ブラッシングの際には他のアイテムも併用しなければいけません。
電動歯ブラシで届かない部分については、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することにより、インプラントの隙間の汚れも落とせます。
ちなみに、歯科クリニックでの定期検診やインプラント治療後のケアに通っていれば、ブラッシング指導を受けることも可能です。
歯科医師のアドバイスを積極的に採り入れてブラッシングをすることで、より長くインプラントを使用できます。
電動歯ブラシでインプラントを磨く場合の注意点
電動歯ブラシは価格が高いのもさることながら、充電や電池が必要です。
メーカーによって仕様は異なりますが、乾電池で使用するものは電池をストックしておかないと急に使えなくなることがあります。
充電式のものについても、コードがついていて洗面所で充電する際に邪魔になることが考えられます。
また細かく振動するタイプは、インプラント周辺の汚れを効率良く除去できますが、うまく使用しなければ磨き残しが増えるリスクがあります。
手磨きよりも振動を感じるため、まだ不十分にもかかわらず、十分磨いたという気になりやすいからです。
まとめ
インプラントを安全かつ長く使用したい方は、アフターケアにこだわらなければいけません。
ここでいうアフターケアには、歯科クリニックでのメンテナンスだけでなく、電動歯ブラシを使用したセルフケアも含まれています。
また電動歯ブラシに頼りすぎることなく、手動の歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなども活用すれば、快適な生活を維持できます。