歯周病は歯茎がブヨブヨになる、歯茎からすぐに出血するというイメージが強いです。
しかし、実際は歯茎の症状だけでなく、歯列全体もしくは健康にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、なるべく発症を防がなければいけません。
今回は、歯周病を発症するとものを噛めなくなる原因を中心に解説します。
歯周病を発症するとものを噛めなくなる原因4選
歯周病の方は、以下の理由によってものを噛めなくなり、食事が不便になることが考えられます。
・顎の骨が破壊される
・歯周ポケットが悪化する
・歯を失う
・噛み合わせが乱れる
各項目について詳しく説明します。
顎の骨が破壊される
歯周病を発症した場合、顎の骨が破壊されてものを噛めなくなることがあります。
歯周病が悪化すると、歯を支える顎の骨が少しずつ溶かされていきます。
このような状態が続くと、いずれは顎の骨の一部を失うことになります。
また顎の骨が失われると、歯を支える基盤が弱くなり、歯がグラグラと動揺するようになります。
揺れた状態の歯は、食事を噛むときの動作で衝撃を吸収できず、痛みを感じやすくなります。
さらに、対向歯と咬合面が合わなくなる可能性もあり、こうなると満足にものを噛むことができません。
特に硬いものについては、問題なく噛むのがかなり難しくなります。
歯周ポケットが悪化する
歯周病が悪化し、歯周ポケットの状態が悪くなることも、ものをうまく噛めなくなる原因です。
歯周病の代表的な症状の一つに、歯周ポケットの形成が挙げられます。
こちらは歯と歯茎の間にできる深い溝であり、中には歯周病菌が繁殖しています。
また歯周ポケットの状態が悪くなると、次第に内部で炎症を起こすようになり、これによって歯茎の腫れや出血、痛みもひどくなります。
さらに歯周ポケットの悪化による痛みがひどくなると、噛む動作がとても痛くなり、従来通り食事を摂るのが難しくなります。
もちろん、炎症や痛みがある歯周ポケットに食べカスが詰まった場合も、強い痛みに襲われることが考えられます。
歯を失う
歯周病が進行すると、顎の骨が破壊されるという話をしました。
さらにその状態を放置していると、やがて顎の骨が完全に失われ、歯が抜け落ちてしまいます。
もちろん、歯が抜け落ちた本数が多ければ多いほど、噛める歯が少なくなって食事には影響を及ぼします。
特に大きな影響が出るのは、前歯や奥歯を失ったときです。
前歯にはものを噛み切る役割、奥歯にはものをすり潰す役割があります。
いずれも重要な役割であるため、失うと食事がしにくくなることは避けられません。
ちなみに前歯を失ったからといって、奥歯でものを噛み切る、すり潰すということを両方行うと、当然奥歯の負担は大きくなってしまいます。
噛み合わせが乱れる
歯が抜けた本数が多ければ多いほど、噛む部分が少なくなります。
また歯周病で歯が抜けた状態を放置していると、残存している歯の噛み合わせも乱れる可能性があります。
歯というものには、空いているスペースに移動する習性があります。
そのため、まっすぐ生えている歯であっても、隣り合う歯を失うことで傾いてしまうことが考えられます。
もちろん、歯を失った部分に対し傾いてしまった歯ばかりになると、より噛み合わせは悪くなります。
当然噛む力自体も弱まるため、これまで通りに食事を摂るのは非常に難しいです。
歯周病で噛めない状態が続くことのデメリット
歯周病によってものが噛めなくなる状態が続くと、栄養バランスの偏りや顎関節症のリスクが高まります。
野菜など栄養が豊富なものには、得てして硬いものが多いです。
そのため、硬いものを食べずやわらかいものばかり食べていると、必然的に栄養バランスは偏ります。
また歯周病によって噛み合わせが悪くなると、顎関節の負担が大きくなり、顎関節症を発症することも考えられます。
さらに咀嚼機能の低下は、消化不良や便秘、うつ病などの健康問題につながることも考えられます。
そのため、放置することは望ましくありません。
歯周病で噛めない状態を改善するには?
歯周病が原因でものを噛めない状態を改善するには、症状に合わせた治療を受けなければいけません。
比較的軽度の歯周病の場合、歯周基本治療と呼ばれるスケーリングやルートプレーニングを行います。
こちらはプラークや歯石を除去し、歯周病菌を減らすための治療です。
また重度の歯周病の場合は、外科治療や歯周組織再生療法などが適用されます。
外科治療は、主に歯茎を移植するなどの手術です。
歯周組織再生療法では、歯周病によって失われた歯槽骨や歯根膜などを再生させます。
まとめ
歯周病が単純に歯茎の疾患だと思っていたら大間違いです。
進行するにつれてあらゆる症状が現れるため、非常に厄介な疾患だと言えます。
また歯周病を発症してからでは、どうしても治療を行うのに時間がかかります。
完治させるのも難しいため、日頃から歯科クリニックの定期検診に通い、歯茎の状態やブラッシングの具合についてチェックしてもらいましょう。