歯に付着する歯石は、プラークが石化して固まったものです。
こちらは細菌の温床であるため、放置していると歯周病のリスクは確実に高くなります。
また歯科クリニックでは、歯石除去を施術の一つとして提供していますが、患者さん自身でも歯石は取れるのでしょうか?
今回は、歯石を自力で行うデメリットを中心に解説します。
歯石取りを自力で行う方法
歯石取りを自力で行う場合、歯ブラシではなくスケーラーという器具を用意しなければいけません。
歯ブラシは毛先がやわらかいため、歯石を強く磨いても取ることは困難です。
歯石は強固にこびりついているため、硬い器具でガリガリと削ったり、剥がしたりする必要があります。
スケーラーは、このような場合に使用する器具です。
具体的には、先端が細長い金属製になっている器具で、こちらは歯科クリニックで行われる歯石取りでも用いられます。
またスケーラー自体は市販されているため、患者さんが購入さえすれば自力で歯石を除去することは可能です。
しかし、基本的には歯科クリニック以外での歯石取りはおすすめできません。
歯石取りを自力で行うデメリット4選
以下の理由により、自力で歯石取りを行うことはおすすめできません。
・歯茎を傷つける可能性がある
・取り残しが起こりやすい
・歯石が付きやすくなる可能性がある
・知覚過敏につながりやすい
各デメリットについて詳しく解説します。
歯茎を傷つける可能性がある
自力で歯石取りを行うデメリットとしては、まず歯茎を傷つけてしまうということが挙げられます。
こちらの理由はいたってシンプルであり、患者さんがスケーラーの使い方に慣れていないからです。
歯科クリニックの医師は、膨大な人数の歯石を除去してきています。
そのため、さまざまな症例を目にしている上に、スケーラーの扱いにも慣れています。
このような経験と技術がある状態であれば、歯茎を傷つけずに歯石を除去しやすいですが、自力の場合はそうはいきません。
スケーラーを入れる角度が違っていたり、歯石を取るときの力が強かったりする場合、歯茎が傷ついて出血するリスクが高まります。
もちろん、歯茎が傷つくということは、歯周病も改善されないということになります。
むしろ症状が悪化する可能性が高いです。
取り残しが起こりやすい
先ほども触れたように、歯石を取るための専用器具であるスケーラーについては、一般の方でも購入することができます。
しかし、自力でスケーラーを使って歯石を除去しようとすると、取り残しが起こる可能性が高いです。
市販のスケーラーは、歯科クリニックで使用されるものと比べて、そこまで先端が鋭利ではありません。
そのため、うまく使用できたとしても、口内の歯石は残ってしまいます。
また自力でのスケーラーでは、縁下歯石という歯周ポケットの中に形成される歯石を取るのが困難です。
もちろん歯石が口内に残りやすいということは、歯周病を改善させられなかったり、一度改善しても再発するリスクが高かったりといったことにつながります。
歯石が付きやすくなる可能性がある
自力での歯石取りには、かえって歯石が付きやすくなるというデメリットもあります。
なぜなら、歯の表面がデコボコになる可能性があるからです。
歯科クリニックで正しくスケーラーを使用すれば、歯の表面がツルツルになり、歯石がつきにくい状態にできます。
もっと言えば、ツルツルの状態であれば食べカスもプラークも付着しにくいです。
一方知識や技術が乏しい状態でスケーラーを使用すると、歯の表面がデコボコ、ザラザラの状態になることが考えられます。
このような歯は、食べカスやプラークが入りやすく、歯石も形成されやすくなります。
特に歯の裏側など、普段ブラッシングが不足しがちな部分については、デコボコになると瞬く間に歯石が形成される可能性が高いです。
知覚過敏につながりやすい
知覚過敏を発症しやすくなることも、歯石取りを自力で行うことのデメリットです。
こちらは、歯のエナメル質が削れてしまった場合に言えることです。
知覚過敏は歯ブラシの毛先や冷たいもの、甘いものなどの刺激が歯に加わったとき、歯がしみる状態です。
歯はエナメル質・象牙質・歯髄の3層構造になっています。
エナメル質は刺激によってしみることがありませんが、その下の象牙質と歯髄はつながっているため、象牙質が刺激を受けると知覚過敏の症状が出ます。
何度も言うように、スケーラーを使いこなすにはある程度の知識と技術が必要です。
そのため、なんとなく歯石を除去していると、エナメル質が削れて知覚過敏のリスクが高まります。
まとめ
歯科クリニックで行われる歯石取りは、場合によっては何度も施術を受けなければいけないこともあります。
また当然費用もかかるため、できれば自力で歯石を除去したいと考える方がいるのも無理はありません。
しかし、自力での歯石除去には数多くのデメリットがあります。
そのため、多少面倒でも歯科クリニックに通い、隅々まで歯石を取り除いてもらう方が良いです。