歯周病を予防するために必要なのは、患者さん自身で行うセルフケア、歯科クリニックで受ける歯石除去などのプロフェッショナルケアです。
またセルフケアには、丁寧なブラッシングだけでなく、食生活の改善も含まれます。
今回は、歯周病予防を行うにあたって避けるべき、歯周病菌を増やしてしまう食べ物について解説します。
歯周病菌を増やしてしまう食べ物5選
以下の食べ物は歯周病菌を増やしてしまう可能性が高いため、なるべく避けるのが無難です。
・菓子パン
・クッキー
・チョコレート
・キャラメル
・清涼飲料水
各項目について詳しく説明します。
菓子パン
歯周病菌を増やしてしまう食べ物の共通点としては、糖分の含有量が多いこと、そしてネバネバして歯に付着しやすいことが挙げられます。
菓子パンは、これらの条件を満たしているため、歯周病を予防したい方は避けるべきです。
菓子パンの砂糖の含有率は、全体の粉量のおよそ25~30%にも上ります。
同じパンである食パンの含有率が5~6%程度であることを考えると、いかに菓子パンに砂糖が多く含まれているかがわかります。
またパンの部分は、水気を含むとやわらかくなってネバネバし、歯に付着したり歯と歯の隙間に入り込んだりします。
さらに、菓子パンにはチョコレートや生クリーム、カスタードなど甘く付着しやすいものが多く含まれます。
ちなみに、菓子パンは単純に高カロリーであるため、食べすぎると肥満のリスクも高まります。
頻繫に食べない方が良い高カロリーな食品として紹介されることも多いです。
クッキー
歯周病菌を増やしてしまう食べ物としては、クッキーも挙げられます。
クッキーもパンと同じで、砂糖を多く含んでいる上に、咀嚼すると口内でネバネバした状態になります。
またクッキーにはハードクッキーとソフトクッキーがありますが、これらはいずれも歯周病菌を増やす可能性が高いです。
ハードクッキーは、いわゆる一般的な硬いクッキーで、咀嚼することによって歯に付着しやすくなります。
一方ソフトクッキーは、しっとりしていて口の中で崩れるようなやわらかさが特徴です。
一般的なクッキーよりも多く水分を含んでいるため、咀嚼する前からすでに歯周病菌を増やすリスクが高いです。
チョコレート
砂糖を多く含む食べ物の代表格であるチョコレートも、やはり歯周病菌を増やす原因になり得ます。
ここでいうチョコレートは、通常のミルクチョコレートだけでなく、ホワイトチョコレートも該当します。
ただし、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは、近年虫歯や歯周病予防に役立つ効果が注目されています。
具体的には歯周病菌の殺菌効果や炎症を抑える効果、虫歯菌の抗菌効果です。
しかし、カカオポリフェノールの働きがあったとしても、チョコレートが砂糖を多く含み、歯に付着しやすいものであることに変わりはありません。
そのため、当たり前のように食べていると、歯周病のリスクは増大します。
ちなみに、カカオの含有量が多く砂糖が少なめのハイカカオチョコレートであれば、歯周病や虫歯のリスクを抑えつつカカオポリフェノールの恩恵を受けられます。
キャラメル
キャラメルも、歯周病菌を増やしてしまう食べ物の一つです。
高粘度で糖分も多い食べ物としては、真っ先にキャラメルを思い浮かべる方もいるくらいです。
さらに、キャラメルは極端に粘度が高いことから、一度装着した詰め物が取れてしまう原因にもなり得ます。
詰め物が外れると、その歯は穴が開いて二次虫歯のリスクが高まるため、早急に再治療を受けなければいけません。
またキャラメルだけでなく、同じような性質を持つヌガーなどの食べ物についても、歯周病を予防したいのであれば控えるべきです。
ヌガーは砂糖とハチミツなどを混ぜ合わせてにつめ、中にアーモンドやドライフルーツを加えたフランスの伝統菓子です。
食感はキャラメルに似ていて、こちらもかなり歯周病菌を増やしてしまうリスクが高いです。
清涼飲料水
歯周病菌を増やさないようにするには、食べ物だけでなく清涼飲料水の摂取もなるべく控えるべきです。
清涼飲料水とは、一般的にジュースと呼ばれる飲み物を指しています。
これらは砂糖の含有量が極めて多く、飲んだ後は歯の表面に付着することも多いです。
また清涼飲料水の中でも特に避けるべきなのが、炭酸飲料や果実飲料です。
炭酸飲料や果実飲料は酸性度が高く、歯のエナメル質を直接的に溶かしてしまう可能性があります。
歯のエナメル質が溶けると、虫歯や歯周病のリスクは格段に上がりますし、象牙質が露出することで知覚過敏の症状が出ることも考えられます。
まとめ
ブラッシングと歯石取りさえ徹底していれば、歯周病は予防できると考えている方もいるでしょう。
もちろん、これらのケアは非常に大切ですが、食事内容によってはセルフケアやプロフェッショナルケアの効果を半減させてしまう可能性があります。
そのため、なるべく砂糖の含有量が少なく、なおかつ歯に付着しにくい食べ物を選ぶように心掛けましょう。