全国的に暑い日が増えてきていますが、夏と言えばやはり冷房をかける機会が多くなります。
一昔前とは違い、近年はニュースなどでも「無理をせず冷房をつけてください」というアナウンスがされるくらいです。
しかし、冷房と虫歯には関係性があります。
今回は具体的にどのような関係性があるのかを中心に解説します。
冷房が虫歯のリスクを高める理由4選
冷房は暑い時期に必要不可欠なものですが、以下の理由によって虫歯のリスクを高めてしまう可能性があります。
・唾液の分泌量が減る
・自律神経が乱れる
・歯ぎしりや食いしばりが増える
・冷たい食べ物や飲み物を摂取しがち
各項目について詳しく説明します。
唾液の分泌量が減る
冷房の効いた部屋に長時間いると、身体が冷えてしまい、唾液の分泌量が減少することがあります。
唾液は口内を殺菌し、虫歯菌の繁殖を抑えてくれる役割があるため、唾液の減少は虫歯のリスク上昇につながります。
また冷房は暑い日の室温を下げてくれますが、空気が乾燥するというデメリットがあります。
空気が乾燥すると、必然的に口内も乾燥しやすくなり、こちらも自浄作用を持つ唾液の量を減らしてしまいます。
自律神経が乱れる
冷房を使用していると、自律神経の乱れから虫歯を発症しやすくなることもあります。
夏場は特に、冷房の効いた部屋と屋外の気温差が激しく、自律神経の乱れを引き起こす可能性が高いです。
このような状態は冷房病と呼ばれます。
また冷房病になってしまうと、自律神経の乱れから免疫力が低下します。
免疫力は、身体の細菌に抵抗するために必要なものであり、低下すると虫歯菌の活動を弱めるのが難しくなります。
その結果、口内で虫歯菌が活発に動き、虫歯の発症リスクを高めてしまいます。
歯ぎしりや食いしばりが増える
冷房をつける方の中には、暑い時期に寒いくらい冷房が効いた部屋で過ごすのが好きという方もいるでしょう。
しかし、冷房が効きすぎるあまり部屋が寒くなると、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをする機会が増えてしまいます。
またこのような日々が続くと、歯ぎしりや食いしばりによって歯の表面が摩耗したり、微細な亀裂が入ったりすることが考えられます。
その結果、虫歯菌が侵入しやすくなる可能性があります。
冷たい食べ物や飲み物を摂取しがち
冷房が効いた部屋で過ごすときは、冷たい食べ物や飲み物も摂取しがちになります。
極端に冷たい飲み物や食べ物は、知覚過敏を発症させたり、虫歯が進行している場合の痛みを悪化させたりします。
またコーラやサイダー、スポーツドリンクなど甘くて冷たいものを摂取することで、歯の表面が酸性になり、エナメル質を弱めて虫歯のリスクを増大させます。
冷房による虫歯リスク上昇への対策
冷房によって虫歯のリスクが上がってしまうことへの対策としては、主に以下のことが挙げられます。
・適切な温度設定にする
・適度に水分を補給する
・風向きを調整する
各項目について詳しく説明します。
適切な温度設定にする
冷房による虫歯のリスクを軽減するには、適切な温度設定にすることが求められます。
暑い時期は、ついつい25℃以下に設定してしまう方もいますが、こちらはあまりよろしくありません。
外気温との差が大きすぎると、体が冷えやすくなる上に、自律神経も乱れやすくなります。
適正温度は、一般的に28℃が推奨されています。
こちらは、環境省が推奨するクールビズの基準であり、快適性を損なわずに省エネを意識した設定温度でもあります。
適度に水分を補給する
冷房が効いた部屋で過ごすときは、適度に水分を補給するようにしましょう。
こまめに水を飲むことにより、口内が乾燥して虫歯菌が活発に動くリスクを軽減できます。
またこのとき摂取するのは、冷たすぎない水かお茶が望ましいです。
キンキンに冷えたものだと、結局身体を冷やしすぎてしまうことにつながりますし、甘いジュースは虫歯菌の働きをかえって活発にしてしまいます。
ちなみに乾燥を防ぐ方法としては、加湿器を使用したり、濡らしたタオルを室内に干したりといった方法も挙げられます。
風向きを調整する
冷房の虫歯リスク軽減を目指すのであれば、風向きも調整することをおすすめします。
具体的には、冷房の風が直接当たらないような向きにするのがポイントです。
また直接風が当たらない場合、人によってはあまり涼しさを感じないという方もいるでしょう。
このようなケースでは、扇風機を活用することをおすすめします。
扇風機をつけることで、室内の空気が循環し、直接冷房が当たっていなくても涼しくなりやすいです。
まとめ
冷房をつけている方が、必ずしも虫歯になるとは限りません。
つけているだけで虫歯を発症するのであれば、夏場は全員が虫歯になります。
しかし、さまざまな角度から虫歯のリスクを高めることは事実なため、なるべく口内環境に悪影響を与えないような使い方をするべきです。
もちろん、ブラッシングや歯科クリニックでの定期検診など、基本的な虫歯予防対策を行うことも忘れてはいけません。