マグネットデンチャーは、磁石の力で固定するタイプの入れ歯です。
残っている歯の根に金属のプレートを取り付け、入れ歯側に磁石を取り付けることで、磁力によって入れ歯を安定させます。
いわば高性能な入れ歯ですが、こちらを使用する際にはいくつかNG行動があります。
今回はこちらの内容について解説します。
マグネットデンチャーを使用する際のNG行動6選
マグネットデンチャーを使用もしくは治療する場合にやってはいけないこととしては、主に以下のことが挙げられます。
・MRI検査を受ける
・歯が残っていないのに治療を受ける
・金属アレルギーがあるのに治療を受ける
・メンテナンスを怠る
・無理やり着脱する
・就寝中も装着する
各項目について詳しく説明します。
MRI検査を受ける
マグネットデンチャーを装置している状態の場合、基本的にMRI検査を受けてはいけません。
どうしても受けなければいけない場合は、口内から取り外す必要があります。
病院などで実施されるMRI検査は、強力な磁石と電波を使用し、身体の断面を画像化する検査です。
磁石に引き寄せられる性質を持つ金属をMRIに持ち込むと、装置に吸着したり、発熱したりする可能性があります。
また、画像に影響を及ぼすことも考えられます。
そのため、基本的に磁力に反応するものについては、検査前に外さなければいけません。
ちなみにMRI検査を受けるときは、マグネットデンチャーだけでなく、時計やアクセサリー、スマホやクレジットカードなども身に付けてはいけません。
歯が残っていないのに治療を受ける
マグネットデンチャーの治療を受ける際は、歯が残っていないにもかかわらず、治療を受けようとしてはいけません。
なぜなら、マグネットデンチャーはある程度歯が残っていないと受けられない治療だからです。
冒頭でも触れたように、マグネットデンチャーは残っている歯の根に磁性金属を取り付け、その磁力で入れ歯を固定する仕組みです。
そのため一切歯がない場合は、インプラント治療で人工歯根を埋め込み、その上に磁性金属を取り付けなければいけません。
ちなみに歯が残っていない場合、人工歯根を埋め込むための費用がかかるため、必然的にマグネットデンチャーのトータルの治療費も高額になります。
金属アレルギーがあるのに治療を受ける
こちらも治療時にやってはいけないことですが、金属アレルギーがある方は、それを隠してマグネットデンチャーの治療を受けようとしてはいけません。
マグネットデンチャーは、金属アレルギーがある方は使用できない可能性があります。
こちらは、入れ歯を固定するために使用されるキーパーという部品が金属製だからです。
金属アレルギーを発症すると、口内だけでなく全身のかゆみや赤み、ブツブツや水ぶくれといった症状を引き起こします。
特に、コバルトクロム合金などの金属は、アレルギーを引き起こす可能性が高いため、注意が必要です。
メンテナンスを怠る
マグネットデンチャーを装着した後は、自宅や歯科クリニックでのメンテナンスを怠ってはいけません。
メンテナンスが不十分だと、入れ歯が痛んだり口内環境が悪化したりするリスクが高まります。
マグネットデンチャーは、キーパー周辺が特に汚れやすいため、丁寧に清掃しなければいけません。
また使用しているうちに、少しずつ噛み合わせが悪くなることもあるため、歯科クリニックで定期的なメンテナンスを受け、必要に応じて調整や修理を行うべきです。
無理やり着脱する
マグネットデンチャーを装着したり取り外したりする際は、無理やり行わないように注意しましょう。
特に、無理に引っ張ったり強い力を加えたりすると、入れ歯や天然歯、磁石を損傷する可能性があります。
また損傷が見られる入れ歯や天然歯などを放置していると、徐々に噛み合わせが悪くなり、これまで通りマグネットデンチャーを使用するのは難しくなります。
正しい着脱の方法については、治療時に歯科医師からレクチャーしてもらうことが可能です。
就寝中も装着する
マグネットデンチャーは、基本的に就寝時は取り外さなければいけないものです。
もし装着したまま就寝したら、唾液の分泌量が低下し、口内で細菌が繁殖してしまうおそれがあります。
また歯茎や顎が常に圧迫され、口内炎のリスクも高まりますし、部分入れ歯の場合は寝ている間に外れて誤飲してしまうことも考えられます。
もしどうしても装着したまま就寝したいのであれば、事前に歯科医師に相談しておきましょう。
ちなみに残存歯が少ない場合、マグネットデンチャーを装着したまま就寝することで、残存歯にかかる負担を軽減できる場合があります。
まとめ
マグネットデンチャーは高性能な入れ歯ですが、その性質から使用時の行動には注意しなければいけません。
また誰でも治療を受けられるというわけでもないため、カウンセリングでは必ず歯がないことや金属アレルギーがあることなどは伝えてください。
もちろんマグネットデンチャーが適用できなかったとしても、他の方法で失った歯をカバーできる可能性は十分にあります。