中高年に差し掛かると、若い方よりも虫歯のリスクが高くなる傾向にあります。
こちらは、加齢による歯茎の退縮や生活習慣の乱れが主な原因とされています。
また中高年の方は、歯科クリニックで虫歯治療を受ける際にも注意すべき点がいくつかあります。
今回はこちらの点を中心に解説します。
中高年の方が虫歯になりやすい理由
そもそも中高年の方が虫歯になりやすいのは、冒頭でも少し触れたように、歯茎が下がったり生活習慣が乱れがちになったりするからです。
加齢によって歯茎が下がり、歯の根元が露出すると、エナメル質よりも虫歯になりやすい根面が露出します。
そのため、必然的に虫歯菌に侵されやすくなってしまいます。
また中高年の方の中には、食生活の乱れや飲酒、喫煙などが見られることも多いです。
こちらも口内環境を悪化させ、虫歯のリスクを高める原因になります。
さらに、年齢を重ねると唾液の分泌量が減少します。
唾液には口内を殺菌する作用や洗ってくれる作用、歯の再石灰化を促す作用などがあります。
これらはすべて虫歯を予防するための作用であり、分泌量が減少すると虫歯を発症しやすくなります。
中高年の方が虫歯治療を受ける場合の注意点4選
中高年の方が虫歯治療を受ける場合、以下の点には注意しなければいけません。
・全身疾患の把握
・知覚過敏
・通院しやすい歯科クリニック選び
・治療後のケア
各項目について詳しく説明します。
全身疾患の把握
中高年の方は、虫歯治療を受ける前に自身の全身疾患について把握しなければいけません。
全身疾患がある場合、虫歯治療によってその持病にマイナスな影響を及ぼす可能性があるからです。
例えば心臓に疾患がある場合、虫歯治療中の出血や感染症のリスクが増大します。
また骨粗鬆症の治療薬を服用している場合、顎の骨の骨密度が低下していることがあります。
そのため、虫歯治療において抜歯などの外科的な治療を受ける場合、骨折のリスクが高まります。
全身疾患がある場合は、歯科医師に必ず申告し、治療前に十分な問診を受けることが重要です。
その他、歯科医師と全身疾患を治療するクリニックの医師との連携を高めてもらうことも大切です。
知覚過敏
中高年の方は、知覚過敏を発症しているケースも多く、こちらが虫歯治療にとっての障害になってしまうことがあります。
知覚過敏は、冷たいものや温かいものなどを口に含んだ後に、歯がしみたり痛かったりといった症状が現れるものです。
歯の表面組織はエナメル質で覆われていますが、こちらが擦り減って象牙質が露出すると、象牙質の下に位置する歯の神経に外部からの刺激が伝わりやすくなります。
またある程度年齢を重ねた方は、歯茎の退縮やエナメル質の摩耗により、知覚過敏が起こりやすくなります。
虫歯治療では、専用の器具で汚れをかき出したり、ドリルで歯を削ったりします。
さらに水を使用したり、治療箇所に風を吹きかけたりすることもあります。
これらの刺激は、すべて知覚過敏の症状がある方にとって耐えがたいものです。
もちろん虫歯治療中の痛みが極端に強くなってしまった場合、継続するのが困難になることも考えられます。
そのため、前もって歯科医師に相談し、適切な知覚過敏ケアを行うのが望ましいです。
通院しやすい歯科クリニック選び
通院しやすい歯科クリニックを選ぶことも、中高年の方が虫歯治療を受ける際の注意点です。
ここでいう通院しやすい歯科クリニックとは、アクセスが良く、院内環境も整っている歯科クリニックを指しています。
中高年の方は、若い方と比べて体力が落ちている可能性が高いため、あまりに遠方の歯科クリニックだと通うのが大変になります。
また中高年に差し掛かっているとはいえ、まだまだ仕事が忙しいという方も多いため、なるべく遅い時間まで診療を行っている歯科クリニックを選びましょう。
さらに身体が不自由な方は、バリアフリー設計や手すり、段差の解消など、院内環境にも配慮されている歯科クリニックを選ぶと良いでしょう。
治療後のケア
中高年が虫歯治療を受ける場合、治療後のケアに関することまで考慮しなければいけません。
虫歯が完治した後であっても、詰め物や被せ物が取れたり、二次虫歯を発症したりする可能性はあります。
そのため、定期的な歯科クリニックでの検診や適切なブラッシング、フロスや歯間ブラシの使用が重要です。
虫歯治療は中高年の方にとって負担になりやすいため、治療後は虫歯が治ったという開放感から、ついケアをおろそかにしてしまいがちです。
虫歯が再発すると、当然また通院しなければいけなくなるため、面倒であってもケアを怠ってはいけません。
まとめ
何度も言うように、中高年の方は虫歯を発症するリスクが高いです。
しかし持病の状態や既往歴などによっては、虫歯治療を問題なく受けるのが難しくなる可能性があります。
また体力的な問題から、定期的に歯科クリニックに通う場合の負担も大きくなります。
そのため、そもそも虫歯を発症させないために、日々適切なブラッシングや食生活を心掛ける必要があります。