【広島市中区宝町の歯医者で歯周病治療】歯周病の歴史について

歯周病は、古くから多くの人々を悩ませ続けている感染症の一つです。
そのため、数々の症例が存在しますが、いまだに完治させる方法や治療薬の開発などには至っていません。
では、歯周病には一体どのような歴史があるのでしょうか?
今回は歯周病そのものの歴史や、治療法の歴史について解説します。

目次

古代から現代までの歯周病の歴史

歯周病の歴史は非常に長く、その発見時期は旧石器時代にまでさかのぼります。

旧石器時代のネアンデルタール人、猿人の骨には、すでに歯周病の痕跡が見つかっています。
そのため、まだ人が現代のような知識を持たない時代から、歯周病の症状に苦しんでいたことがわかります。

また古代エジプト時代では、身分の高い人に歯周病が多く見られました。
こちらは、甘いものややわらかいものによる贅沢な食生活が起因していると考えられています。

ファラオのミイラからも、歯を支える骨である歯槽骨が溶けるなど、歯周病による重度の症状が見つかっています。

さらに古代中国では、紀元前の書物にも歯周病についての記述があります。

17世紀に突入すると、オランダの化学者であるレーウェンフックという人物が、プラークの中に微生物を発見しています。
この発見は、現代における歯周病の治療に少なからず役立っています。

1960年代以降は、細菌の感染と歯周病の発症との関連が解明され、予防法と治療法が体系化されました。

そして歯周病は元々歯槽膿漏と呼ばれていて、日本でも日本歯槽膿漏学会が発足しましたが、その後日本歯周病学会と改称され、現在に至ります。

昔の歯周病治療について

歯周病治療の方法ついても、古代~中世と近現代とでは違いがあります。

古代の人々には、歯の痛みや不快感をやわらげるために、楊枝のようなものを使用していた痕跡が見られます。
こちらは現代でいうところのスケーラーのようなものだと推測されます。

スケーラーは、先端が尖っている器具であり、歯科クリニックで歯石を除去する際に用いられるものです。

また中世ヨーロッパでは、歯周病の知識が限定されていて、これといった治療が行われていませんでした。
実際行われていたのは、患部の洗浄や抜歯程度です。

現代の歯周病治療では、歯石除去が主流になっています。
かつては歯石そのものが歯周病の原因と考えられていましたが、1960年代に歯石ではなく、プラークという細菌の塊が原因であることが判明しました。

プラークは食べカスが変化して細菌の塊になったもので、それを長時間放置したことで石化したのが歯石です。

ちなみに1980年代には、現在の歯周病治療の基礎が確立されました。
原因であるプラークを除去し、感染源をしっかり取り除くことが治療の基本となっています。

ただし、現在日本でも1960年代以前の方法で歯周病治療が行われるケースもあります。
歯周病によって下がった歯茎は自然治癒しませんが、外科的な処置で改善することもあります。

現代の歯周病について

現在の歯周病の特徴は、昔と比べて明らかに食生活が変化したことにより、そのリスクが高まっているという点です。

日本は異国からのさまざまな食べ物を採り入れ、非常に豊かな食生活を送っています。
日本にいながらにして、日本食だけでなくアメリカやヨーロッパ、アフリカやアジアといったさまざまなエリアの食事を楽しむことができます。

しかし、異国の食文化がミックスされたことにより、やわらかい食べ物も増加しました。
やわらかい食べ物を食べる機会が増えたことで、咀嚼の回数が減少し、唾液の分泌量も減少傾向にあります。

これにより、口内が清潔に保たれにくく、細菌が繁殖しやすい環境ができ、歯周病のリスクを高めています。

つまり、日本では歯周病治療の方法がある程度確立されているにもかかわらず、歯周病を発症する可能性は高くなっているということです。

歯周病の治療薬における歴史

歯周病を根本から治す薬は今でも存在しませんが、治療薬開発の試みは何度も行われています。

近代では化学的な研究が進み、19世紀以降には銀のニトレート(硝酸塩)や水銀など、科学的な物質を用いた治療が試されました。

また20世紀後半には、日本における一般用歯周病薬が登場しています。
こちらはドイツの歯磨き粉を基に、天然ハーブを配合したアセスという商品です。

当時は歯周病対策がまだ世間であまり知られておらず、症状が悪化してからのケアが中心でした。
アセスは抗生物質の短期投与が主な治療法だった時代に、毎日連続して使用できる、人体の健康に配慮した歯茎ケア製品として開発されています。

しかしアセスをもってしても、歯周病の治療は症状を一時的に抑えるに過ぎません。

まとめ

歯周病は世界一感染者数が多い感染症であり、それは発症の歴史が長いことからもある程度理解できます。
また昔の歯周病への対応や治療法などを見ると、現代がいかに確立された歯周病治療を実践しているかがわかります。
しかし現代の方が歯周病のリスクは高まっているため、治療法が確立されているからといって、セルフケアや定期検診などを怠ってはいけません。

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