虫歯は痛み以外にも、さまざまな症状が現れる疾患です。
例えば歯の色が変化したり、デンタルフロスが歯と歯の間に引っかかったりすることがあります。
また、実は虫歯は腹痛との関係性も持っている疾患です。
今回は、虫歯と腹痛にどのような関係性があるのかを中心に解説します。
虫歯が腹痛を引き起こす直接的な原因
虫歯が腹痛を引き起こす直接的な原因としては、主に以下のことが挙げられます。
・腸内環境の悪化
・咀嚼機能の低下
・詰め物などの誤飲
各項目について詳しく説明します。
腸内環境の悪化
虫歯の原因をはじめとする有害な細菌が口から消化管に入り、腸内細菌のバランスを崩すケースがあります。
これにより、胃や腸の粘膜に炎症が起き、腹痛や消化不良、下痢などの症状につながることが考えられます。
ちなみに大阪大学などの研究では、特定の虫歯菌(ミュータンス菌の一種)が、難病である潰瘍性大腸炎のリスクを高める可能性が指摘されています。
咀嚼機能の低下
虫歯が重症化すると、痛みや歯の不安定さによって咀嚼機能が低下します。
また食べ物をしっかり噛めなくなることで、消化器官に負担がかかり、胃の調子が悪くなることがあります。
こちらも、腹痛や胃痛を引き起こす原因です。
ちなみに虫歯で咀嚼機能が落ちると、唾液の分泌量が減少し、口内の汚れがうまく洗い流されません。
つまり、さらに口内環境は悪化してしまうということです。
咀嚼回数が少ない分、満腹感も得られにくくなります。
詰め物などの誤飲
これは直接的な原因というのが微妙なところですが、虫歯を治療した部分に詰め物を入れている場合、それが腹痛の原因になることもあります。
虫歯治療で使用される詰め物にはさまざまな種類がありますが、銀歯やレジンといった保険診療のものは、そこまで耐久性が高いものではありません。
また寿命も比較的短いため、使用期間によっては外れやすくなります。
また外れた詰め物を誤って飲み込んでしまった場合、消化管を傷つけてしまい、腹痛や不快感の原因になる可能性があります。
虫歯が腹痛を引き起こす間接的な原因
虫歯による腹痛は、以下のような間接的な原因によっても引き起こされます。
・ストレス
・睡眠不足
各項目について詳しく説明します。
ストレス
虫歯の慢性的な痛みや炎症は、日々生活を送るにあたって非常に大きなストレスになります。
またストレスは自律神経の乱れを引き起こし、胃腸の働きに悪影響を及ぼして腹痛を招くことがあります。
つまり、虫歯を治療せずに放置している期間が長ければ長いほど、腹痛を引き起こす可能性は高くなるということです。
睡眠不足
睡眠不足も、虫歯が腹痛を引き起こす原因です。
重度の虫歯になると、何もしていなくても強い歯の痛みが持続するようになります。
このような痛みは睡眠の妨げになり、思うように寝付けない日が多くなります。
また睡眠不足から免疫力が低下し、体調不良を引き起こす可能性が高まります。
この影響により、腹痛などの症状が出ることが考えられます。
虫歯治療の薬が腹痛につながることも
虫歯治療を受けている最中の方も、腹痛を引き起こす可能性があります。
こちらは主に薬の服用によって引き起こされる腹痛です。
歯科クリニックでは、虫歯治療の一環として抗生物質が処方されることがあります。
抗生物質は、腸内細菌のバランスを崩し、腹痛や下痢などを引き起こすことが考えられます。
また虫歯の痛みを抑えるために服用した鎮痛剤が、胃腸に負担をかけることもあります。
虫歯から来る腹痛の対処法
虫歯が原因の腹痛に対処する場合、まずは歯科クリニックに通院しなければいけません。
歯科クリニックで根本的な虫歯治療を行わなければ、症状がさらに悪化するおそれがあります。
また腹痛が続く場合は、内科や消化器内科で診察を受けましょう。
特に激しい腹痛や体調不良がある場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
ちなみに、すぐクリニックに通えない場合は、応急処置として口内を清潔に保つことも大切です。
口内の細菌を減らすことにより、消化器系への影響を防ぎやすくなります。
食事については、なるべくやわらかいものを摂取することを心掛けるべきです。
例えば消化の良いおかゆやうどん、スープや煮物などを摂取すれば、よく噛まなくても食事ができるため、胃腸への負担を軽減できます。
逆にしてはいけないことは、熱いものや冷たいもの、辛いものなど刺激の強いものを摂取することです。
その他、飲酒は血行を促進して痛みを悪化させますし、喫煙は治癒を遅らせる原因になります。
虫歯の症状悪化や治癒の遅れは、腹痛の症状が長引くことにもつながります。
まとめ
虫歯と腹痛があまり結びつかないという方も多いかと思いますが、実際は虫歯を患うことにより、腹痛のリスクが高くなるケースが多いです。
また虫歯ですでに痛みがあるにもかかわらず、そこに腹痛まで乗っかってしまうと、日常生活には大きな支障が出ます。
そのため、これらの症状がある場合は自己判断を避け、すぐに適切な処置を受けることが望ましいです。