歯周病の症状が重度にまで進行している場合、スケーリングやルートプレーニングなど、一般的な歯周病治療では対処できない可能性があります。
場合によっては、フラップオペレーションというものが適用されます。
今回はフラップオペレーションという治療について、詳しく解説します。
フラップオペレーションとは?
フラップオペレーションは、歯周病が進行し、通常の歯石除去では取り除けない深い位置にある歯石やプラークを除去するための治療です。
具体的には、歯茎を切開して剥離し、目視下で直接的に除去する外科的治療法です。
フラップ手術とも呼ばれ、正式名称は歯肉剥離掻爬術といいます。
フラップオペレーションの適用症例は?
フラップオペレーションは、非外科的治療で改善が見られない、深さ6mm以上の歯周ポケットや、骨の吸収が大きい中等度~重度の歯周病患者さんが主な対象となります。
フラップオペレーションの目的は?
フラップオペレーションの目的は、歯周ポケットを浅くし、歯の根や周囲の骨に付着した細菌や歯石を徹底的に除去し、歯周病の進行を食い止め、歯の保存を可能にすることです。
フラップオペレーションは痛い?
フラップオペレーションの手術中は局所麻酔をするため、個人差はあるものの痛みはほとんど感じないケースが多いです。
フラップオペレーションの手術時間は?
治療する範囲や症状によって異なりますが、一般的には30分から1時間程度で完了することが多いです。
フラップオペレーションの費用は?
フラップオペレーションの費用は、保険適用(3割負担の場合)で、1本あたり2,000円程度が目安です。
自由診療の場合は、使用する材料や併用する治療法によって1万円〜10万円程度と幅があります。
手術後の痛みはどれくらい続く?
フラップオペレーション行い、麻酔が切れた後には痛みが生じることがありますが、処方された鎮痛剤を服用することでコントロールできます。
通常、痛みは数日~1週間程度で治まります。
手術中に腫れることはある?
フラップオペレーションは外科手術のため、術後に腫れが生じる可能性があります。
ただし、こちらも通常数日~1週間程度で落ち着きます。
手術当日の食事で気を付けることは?
麻酔が完全に切れるまでは、誤って頬や舌を噛んでしまう可能性があるため、飲食を控えてください。
また麻酔が切れてからは、硬いものや熱いもの、辛いものなどの刺激物を避け、柔らかい食事を摂るようにしましょう。
手術当日の生活で気を付けることは?
フラップオペレーションを受けた当日は、血行が良くなると出血しやすくなるため、激しい運動や長時間の入浴、飲酒を避けてください。
術後のブラッシングはどうすれば良い?
フラップオペレーションにおける手術部位の傷口は非常にデリケートです。
傷口を刺激しないように、歯科医師や歯科衛生士の指示に従って慎重に口腔ケアを行ってください。
また、手術部位以外は通常通り磨いて構いません。
傷口は縫合する?
フラップオペレーションによって歯茎を剥離した後は、キレイに清掃してから元に戻して縫合します。
また通常、手術から約1週間後に抜糸を行います。
傷口を保護するために、白いまたはピンク色のガム状の詰め物(サージカルパック)で一時的に覆うことがありますが、これは通常抜糸時に除去されます。
治療期間はどれくらい?
フラップオペレーションの手術自体は1日で終わりますが、術後の経過観察や抜糸、そして定期的なメンテナンスを含めると、全体の治療期間は数週間~数ヶ月にわたります。
フラップオペレーションの成功率は?
適切な診断と術前のプラークコントロールが行われれば、フラップオペレーションは高い成功率が期待できます。
ただし、患者さん自身の術後のケアや定期的なメンテナンスへの協力が不可欠です。
どのようなリスクや副作用がある?
フラップオペレーション後の痛みや腫れ以外に、一時的に歯が長くなったように見える、歯がしみやすくなる、歯と歯の隙間が広がるなどの可能性があります。
これらはすべて、治療の過程で起こりうる変化です。
誰でもフラップオペレーションを受けられる?
全身疾患(重度の糖尿病、コントロール不良の高血圧など)がある場合や、喫煙量が多い場合などは、フラップオペレーションの適応外となることがあります。
術前に必ず歯科医師に相談してください。
フラップオペレーションを受けないとどうなる?
進行した歯周病を放置すると、歯を支える骨の破壊が進み、最終的に歯が抜けてしまう可能性があります。
そのため、フラップオペレーションは歯を残すための重要な手段です。
まとめ
歯周病は、ほとんど自覚症状がないまま進行することのある疾患です。
場合によっては、気付いたら重度にまで進行している可能性もあり、この場合はフラップオペレーションが必要になるケースが多いです。
そのため、フラップオペレーションを受けずに済むように、普段から歯科クリニックの定期検診に通ったり、適切なセルフケアを行ったりすることが大切です。

