インフルエンザは、特に寒い時期に爆発的に流行する傾向のある感染症です。
毎年のように多くの罹患者を出していて、高熱や咳、鼻水や倦怠感などあらゆる症状を引き起こします。
またインフルエンザを発症すると、虫歯のリスクも高まるとされています。
今回はこちらの理由について解説します。
インフルエンザになると虫歯のリスクが高まる理由4選
インフルエンザの罹患時に虫歯のリスクが高まる理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・唾液の分泌量減少
・免疫力の低下
・栄養補給
・不十分なセルフケア
各項目について詳しく説明します。
唾液の分泌量減少
インフルエンザに伴う高熱は、体内の水分を急激に奪い、脱水症状を引き起こしやすくします。
私たちの身体は水分が不足すると、生命維持に直接関係の薄い唾液の分泌を制限するため、口の中がひどく乾燥するドライマウスの状態に陥ります。
通常、健康な成人であれば1日に1.5リットルほどの唾液が分泌されますが、高熱時にはこれが劇的に減少します。
唾液には食べカスを洗い流す自浄作用、口内を中性に保つ緩衝作用、そして初期の虫歯を修復する再石灰化作用という重要な役割があります。
しかし熱で唾液が枯渇すると、これらの防御機能がすべてストップしてしまいます。
その結果、虫歯菌が作り出す酸が中和されずに歯を溶かし続け、短期間で虫歯が進行してしまいます。
さらにインフルエンザ特有の鼻詰まりによって口呼吸になると、外気が直接口内を通り、より乾燥が加速します。
免疫力の低下
インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、全身の免疫システムはウイルスとの戦いにリソースを集中させます。
このとき、口の中を守っている免疫機能も一時的に低下するため、普段は抑え込まれている虫歯菌が爆発的に増殖し始めます。
口の中は、常に善玉菌と悪玉菌がバランスを取り合っていますが、宿主である人間の体力が落ちると、悪玉菌である虫歯菌が優勢になる日和見感染に近い状態が起こります。
通常、健康な状態であれば唾液中のIgAなどの抗体が細菌の活動を抑制していますが、病中はこの防御壁が崩れます。
また身体がウイルスと戦うために多大なエネルギーを消耗しきっているため、歯茎の炎症を抑える力も弱まり、プラークがより粘着質になって歯に付着するようになります。
この細菌の活発化と身体の防御力の低下が同時に起こることで、普段と同じような生活をしていても、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなり、虫歯リスクが跳ね上がります。
特に過去に治療した詰め物の隙間や、自覚症状のない初期虫歯がある場合、免疫低下をきっかけに一気に悪化し、強い痛みとして表面化することも珍しくありません。
栄養補給
インフルエンザの療養中は、体力を維持するために喉越しの良いものや消化の良いものを摂取する機会が増えます。
具体的にはスポーツドリンクやゼリー飲料、アイスクリームやお粥、すりおろしリンゴなどが挙げられますが、これらには多くの糖分や炭水化物が含まれています。
特にスポーツドリンクや経口補水液は、脱水予防のために必須ではありますが、実は非常に糖分濃度が高く酸性度も強いため、歯を溶かす性質を持っています。
さらに問題なのは、これらをこまめに、少しずつ摂取する“だらだら飲み・だらだら食べ”になりがちな点です。
口の中に常に糖分がある状態は、虫歯菌に絶え間なくエサを与えているのと同じです。
通常は食事の後に唾液が時間をかけて口内を中性に戻し、歯を修復しますが、頻繁に糖分を摂取すると口内が常に酸性に傾きっぱなしになり、再石灰化が追いつきません。
不十分なセルフケア
もっとも単純かつ、物理的に回避が困難な理由は、ブラッシングができなくなることです。
インフルエンザによる激しい関節痛や頭痛、40度近い高熱に襲われると、洗面所に行ってブラッシングをするという行為自体が極めて大きな負担となります。
フラフラの状態で立っていることすら難しくなり、ケアを後回しにして眠りについてしまうのは避けられない側面もあります。
しかし1日〜数日間、まったく歯を磨かずに、前述のような糖分の多い飲食物を摂り続けると、歯の表面には厚いプラークが形成されます。
このプラークの中で細菌は高密度に集まり、バリアを張って酸を出し続け、歯のエナメル質を容赦なく破壊します。
また、嘔吐の症状がある場合はさらに深刻です。
胃酸はPH1.0〜2.0という非常に強い酸性で、これが口内に逆流することで歯の表面が一時的に脱灰し、非常に脆くなります。
病床から動けない状況では、普段のセルフケアが不可能になるため、結果として回復した頃には虫歯だらけになっていたという二次被害が発生しやすくなります。
まとめ
冒頭でも触れた通り、インフルエンザを発症するだけでも、かなりの肉体的なダメージを受けることになります。
さらに、インフルエンザ罹患中は虫歯のリスクも高まるため、そういう意味では極めておそろしい疾患だと言えます。
もちろん、インフルエンザ罹患中でもセルフケアを徹底できれば良いですが、もっとも理想的なのは体調管理に努め、インフルエンザにかからないことです。

