入れ歯安定剤は、入れ歯に安定感をもたらして食事や会話をしやすくしたり、違和感や痛みを軽減してくれたりするものです。
しかし、ただ何となく入れ歯に塗布すれば良いというわけではありません。
使い方を誤ると、口内や入れ歯のトラブルにつながります。
今回は、入れ歯安定剤を使用する際のポイントを解説します。
入れ歯安定剤を使用する際のポイント7選
入れ歯安定剤を使用する際は、以下のポイントを押さえて正しく使用しましょう。
・塗布する前に入れ歯を洗浄する
・少量を使用する
・均等に塗布する
・就寝時には使用しない
・新しい入れ歯には使用しない
・がたつきの大きい入れ歯には使用しない
・水またはぬるま湯で落とす
各ポイントについて詳しく説明します。
塗布する前に入れ歯を洗浄する
入れ歯安定剤を塗布する際は、事前に入れ歯を洗浄しなければいけません。
また洗浄した入れ歯は、しっかりと水気を拭き取る必要があります。
汚れや水分が残った状態で入れ歯安定剤を塗布すると、接着力が低下して十分に効果を発揮できないことがあります。
ただし粉末タイプの入れ歯安定剤については、水気を少し残しておくことで接着力がアップすることもあります。
特に、唾液の分泌量が少ない方が粉末タイプを使用する場合は、入れ歯の水気を拭き取りすぎないようにすることをおすすめします。
少量を使用する
入れ歯安定剤の接着力をアップさせたいからといって、一度にたくさんの量を塗布するのはNGです。
多量に塗布したとしても、入れ歯が浮いて逆効果になります。
基本的には少量から始め、その後安定感などを考慮して少しずつ量を調整していきます。
ちなみに塗布する量の目安については、入れ歯安定剤のパッケージに記載されているため、そちらを参考にしてください。
均等に塗布する
できる限り入れ歯全体に行き渡るよう均等に塗布するのも、入れ歯安定剤を使用する際のポイントです。
塗布する部分にムラがあると、一部だけ強く接着され、一部は安定感がないということになりかねません。
また均等に塗布するのが苦手という方は、チューブタイプやペンタイプなどの安定剤を選びましょう。
これらの形状であれば、入れ歯の縁や隅々までムラなく塗布しやすいため、固定力が高まります。
就寝時には使用しない
就寝時は入れ歯安定剤を使用せず、入れ歯を外した状態にしておくを意識しましょう。
就寝中に安定剤で入れ歯をがっちり固定しても、特にこれといったメリットは生まれません。
むしろ時間が経つと安定剤が徐々に溶け出し、喉に流れ込んで窒息するリスクがあります。
特に高齢の方は、こちらが原因で誤嚥性肺炎を引き起こすことも考えられます。
また就寝時も入れ歯を取り外さず装着していると、カンジダ菌などの細菌が繁殖することもあります。
新しい入れ歯には使用しない
入れ歯を初めて装着する方の中には、作製直後から安定剤が必要になると思っている方もいるかもしれませんが、こちらは間違った認識です。
新しい入れ歯に対しては、基本的に安定剤を使用しません。
なぜなら、新しい入れ歯は歯茎に合わせてピッタリと合う状態になっているからです。
このように入れ歯安定剤を入れるスペースがないにもかかわらず無理に使用すると、歯茎を圧縮して痛みが出たり、噛み合わせが合わなくなったりすることがあります。
新しい入れ歯については、まず削って感覚を調整するのが基本です。
作製後しばらくは、歯科クリニックで調整を行ってもらいましょう。
がたつきの大きい入れ歯には使用しない
先ほど、作製したばかりの入れ歯は安定剤を塗布するスペースがないという話をしました。
これとは逆で、明らかにがたつきの大きい入れ歯についても、安定剤を使用すべきではありません。
なぜかというと、このような入れ歯の問題は、安定剤では解決しないケースが多いからです。
装着感や使用感が著しく悪いようなケースでは、噛み合わせなど根本的な治療を改善するために、歯科クリニックを訪れるのが適切です。
安定を求めて過剰な量の安定剤を使用すると、口内の健康を害する可能性があります。
水またはぬるま湯で落とす
入れ歯に付着した安定剤については、水またはぬるま湯で落としましょう。
汚れが頑固な場合、ついついお湯を使用してしまう方がいますが、熱湯を使用すると入れ歯が変形してしまいます。
特に、入れ歯の金属部分以外の赤、ピンクの部分は樹脂やプラスチックを使用しているため、絶対に熱湯を当ててはいけません。
ちなみに熱湯の目安は60度以上であり、これより低い温度のぬるま湯であれば使用しても大丈夫です。
まとめ
入れ歯安定剤は、入れ歯を使用するにあたって必要不可欠なものではありません。
あくまでサポートグッズの一つとして、必要なときだけ使用するようにしましょう。
また使用するのであれば、使用量やタイミングなどには十分注意しなければいけません。
入れ歯は歯を失った方にとって重要な人工歯であるため、なるべく劣化させず、長期間使用し続けることを考えましょう。