入れ歯を使用するにあたって重要なのが、日々のメンテナンスです。
歯を失った方にとって、入れ歯はいわば天然歯同然のものです。
そのため、大事に使い続けるためにも、決してメンテナンスを怠ってはいけません。
今回は、入れ歯の洗浄を行う際の主なポイントを中心に解説します。
入れ歯の洗浄を行う際のポイント5選
入れ歯を洗う際は、以下のポイントを押さえておく必要があります。
・食事を摂るたびに洗浄する
・水を流しながら洗浄する
・水もしくはぬるま湯で洗浄する
・入れ歯用ブラシで洗浄する
・洗浄後は乾燥させない
各項目について詳しく説明します。
食事を摂るたびに洗浄する
入れ歯は1日に1回洗浄すれば良いと思っている方も多いかもしれませんが、実際は食事を摂るたびに洗うのがベストです。
1日3食摂るのであれば、1日3回洗浄します。
食べカスやプラークが入れ歯に付着し続けると、口臭の原因となったり、入れ歯と歯茎の間で痛みが生じたりする可能性があります。
そのため、できる限り入れ歯には汚れを残さないようにしましょう。
ちなみに、入れ歯のプラークを放置し続けると、天然歯と同じように歯石が形成される可能性もあります。
水を流しながら洗浄する
入れ歯を洗浄する際は、蛇口から水を流しながら行うのがポイントです。
水を流しながらであれば、ブラシで除去した汚れを効率的に洗い流すことができます。
また流水下で洗浄する場合、下に水を張った洗面器などを置いておくことをおすすめします。
こうすることで、手を滑らせて入れ歯が落下してしまったとしても、シンクなどの硬い部分に当たって破損するリスクを軽減できます。
一度破損した入れ歯は、当然以前のような使用感を実現できないため、注意してください。
水もしくはぬるま湯で洗浄する
よくありがちなのが、「入れ歯をお湯で洗った方が汚れは取れるのでは?」という勘違いです。
確かに、熱湯に殺菌作用があることは科学的にも証明されていますが、こと入れ歯に関しては熱湯との相性が悪いです。
熱湯で洗浄してしまうと、入れ歯が変形したり劣化を早めたりする原因になるため、必ず水かぬるま湯を使用しましょう。
ちなみに熱湯とは60℃以上のお湯のことを指していますが、50℃程度でも十分に熱さを感じるため、40℃以下で洗浄することをおすすめします。
入れ歯用ブラシで洗浄する
入れ歯の汚れを落とす際は、指を使ったり通常の歯ブラシを使用したりすることを避けなければいけません。
使用するのは、入れ歯専用のブラシです。
指で奥の方の汚れをかき出そうとすると、爪が当たって入れ歯が傷ついてしまう可能性があります。
歯ブラシも同じく、毛先が硬いものだと入れ歯のキズや劣化のリスクを高めます。
またキズが入った入れ歯は、汚れや着色が目立ちやすくなり、非常に状態が悪くなります。
そのため、毛先がやわらかい入れ歯用ブラシを使用し、丁寧に汚れを落とすようにしましょう。
ちなみに入れ歯用ブラシであれば、入れ歯の隙間や裏側までしっかり清掃できます。
洗浄後は乾燥させない
入れ歯を洗浄した後は、できる限り乾燥させないように注意しましょう。
こちらは、入れ歯のプラスチックが劣化してしまうからです。
入れ歯の主な材料であるプラスチックは、元々患者さんの口の中に装着することを想定されています。
そのため、適度な湿気がなければ状態を保つのが難しくなります。
例えば洗浄した後そのまま洗面所に放置していると、乾燥して水分が抜けてしまい、入れ歯が割れたり変形したりすることがあります。
入れ歯を洗浄した後は、水道水もしくは入れ歯用の洗浄剤浸けておき、潤った状態をキープしましょう。
入れ歯の洗浄方法を誤るとどうなる?
一口に入れ歯の洗浄といっても、ポイントは非常に多く、ある程度のルールを守ってメンテナンスをしなければいけません。
もし入れ歯の洗浄方法を誤ってしまうと、口臭や色素、歯石の原因になるだけでなく、口内炎やカビなどを引き起こすこともあります。
入れ歯が口内に当たることが原因で発症する口内炎は、カタル性口内炎と呼ばれるものです。
こちらは外傷性口内炎ともいい、歯茎に炎症が生じるだけでなく、強い痛みを伴うこともあります。
また湿った環境で適切な保管がされていない場合、入れ歯にカビが繁殖することもあります。
カビが繁殖した場合、見た目はもちろん口内で不快感や異常を引き起こす原因にもなるため、注意してください。
ちなみに、入れ歯はある程度湿った状態で保管すべきですが、濡れた状態で浴室内などに置いておくのはNGです。
このような保管方法は、カビが生えるリスクを高めます。
まとめ
入れ歯を装着する方は、その入れ歯を一生涯使用し続けるくらいの気持ちでメンテナンスを行いましょう。
もちろん、実際は正しく使用しても、適宜調整が必要になるケースがほとんどです。
それでも、入れ歯は皆さんが思っている以上に劣化しやすいため、前述したポイントは徹底しなければいけません。
特に保険診療の入れ歯については、細心の注意を払って状態を維持すべきです。