虫歯と言えば、歯の噛む面に穴が開いたり、色の変色が見られたりするイメージが強いです。
もちろんこれは間違いではないのですが、実は虫歯は咬合面だけでなく、歯の側面にできることもあります。
今回は、歯の側面にできる虫歯の原因やデメリットなどについて解説します。
歯の側面に虫歯ができる原因
歯の側面に虫歯が形成される原因は、ずばり歯と歯の間の磨き残しです。
ブラッシングをする際、歯の噛む面と表面を意識して磨く方は多いかと思います。
しかし、実際は歯と歯の間までしっかりケアしなければいけません。
また歯と歯の側面は、歯ブラシの毛先が届きにくいです。
特に歯並びが悪い場合、歯と歯の間の隙間が複雑になり、磨き残しが出やすくなります。
さらに奥歯と隣り合う歯の間、前歯の間などについては、死角になっていたり舌や頬の粘膜が邪魔していたりするため、より側面の虫歯を発症しやすいです。
ちなみに単純なブラッシングの技術、習慣によっても、歯と歯の間の虫歯はできやすくなります。
例えば“ながら磨き”をするケースや、利き手側ばかり磨く癖があるケースなどは、側面の虫歯のリスクが高まります。
歯の側面の虫歯におけるデメリット3選
歯の側面に形成される虫歯には、主に以下のようなデメリットがあります。
・痛みを感じにくい
・確認するのが難しい
・重症化のリスクが高い
各項目について詳しく説明します。
痛みを感じにくい
歯の側面にできた虫歯は、咬合面にできる虫歯と比べて痛みを感じにくいです。
歯の側面は、隣の歯とピッタリくっついている状態です。
そのため、直接食事などの際に力が加わる可能性が低いです。
これにより、虫歯が進行していても痛みを感じにくく、患者さん自身が気付きにくい傾向にあります。
また発症に気付きにくいということは、気付いたときにはかなり進行している可能性が高いということでもあります。
確認するのが難しい
日々ブラッシングを行う際、自身の歯の状態を鏡で確認しているという方もいるでしょう。
例えば歯の表面や咬合面であれば、わずか変色した歯に気付ける可能性があります。
また汚れが残っているかどうかについても、鏡で見える部分であればチェックしやすいです。
一方、歯の側面の病変はなかなか鏡では確認できませんし、歯と歯の間に挟まっている食べカスも角度によっては見えにくいです。
これらの理由から、歯の側面の虫歯を予防するのは非常に難しいと言えます。
重症化のリスクが高い
前述した2つの項目をまとめると、歯の側面の虫歯は重症化のリスクも高いと言えます。
虫歯はいわゆる初期虫歯と言われる段階で治療を受けることにより、歯を削らなくても完治する可能性があります。
しかし、歯の側面の虫歯は気付いたときにはかなり進行している可能性が高いため、歯を削らずに治療するのはかなり難しいです。
また痛みもあまり出ないことから、神経にまで達していても気付かない可能性があります。
歯の表面や咬合面の虫歯であれば、神経にまで達している場合はかなりの激痛を伴いますが、歯の側面の虫歯はそれがありません。
発症に気付くのが遅かった場合、最悪虫歯を治療することが困難になり、抜歯をしなければいけないことも考えられます。
一度抜歯した天然歯は二度と元には戻らないため、その部分を補うには入れ歯やインプラントなどを適用させなければいけません。
歯の側面の虫歯対策
歯の側面の虫歯を予防するには、ブラッシングの際にデンタルフロスや歯間ブラシを活用することが求められます。
歯ブラシは当然歯の汚れを除去するためのものですが、歯と歯の間までしっかり磨くことを考えると、これだけでは役不足の可能性があります。
デンタルフロスや歯間ブラシは、細かいところの汚れをかき出すためのアイテムであるため、使わない手はありません。
このとき、歯ブラシと同じく、患者さんの歯並びに合った形状やサイズのデンタルフロス、歯間ブラシを選ぶことが大切です。
またブラッシングでは、フッ素配合の歯磨き粉を活用することも意識しましょう。
フッ素は歯の質を強くし、虫歯を予防する効果があります。
歯と歯の間にまでしっかり浸透させることができれば、歯の側面の虫歯は形成されにくくなります。
ちなみに歯科クリニックでは、自宅でのブラッシングで磨き残しがないかチェックしてもらいましょう。
しっかり毎日ブラッシングをしているにもかかわらず、歯の側面が虫歯になるというのはよくあるケースです。
“ブラッシングをしている”と“ブラッシングができている”は違うため、歯科クリニックで正しい方法を学びましょう。
まとめ
現時点で歯が傷んでいない方、鏡で歯の変色などが確認できない方でも、歯の側面の虫歯を発症している可能性はあります。
側面の虫歯は痛みがほとんどありませんし、鏡では確認できないからです。
また歯の側面の虫歯を予防するには、いかに日頃のブラッシングを高い意識で行うかが鍵になってきます。
もちろん、歯科クリニックで定期的に歯の状態を確認することも大切です。