予防歯科には、自宅で行うセルフケアと、歯科クリニックで行うプロフェッショナルケアがあります。
そのため、定期的に歯科クリニックに通っていたとしても、セルフケアがおろそかになると、虫歯を予防することはできません。
今回は、磨き残しが多い場所の磨き方と、磨き残しを防ぐための歯ブラシ選びについて解説します。
磨き残しが多い場所とその磨き方
毎日歯磨きをしている方でも、しっかりポイントを押さえて磨かなければ、磨き残しは発生します。
また、残ったプラークは虫歯の原因となるため、以下のような磨き残しが多い場所については、特に注意して磨かなければいけません。
・歯と歯の間
・奥歯
・歯と歯茎の境目
・前歯の裏側
歯と歯の間
歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくいことから、プラークが残りやすいです。
こちらの部分を磨く際は、歯ブラシを小刻みに動かし、毛先が歯と歯の間にとどまるように磨きます。
動かす距離は、大体歯1~2本分、5mm~10mmです。
また、歯ブラシだけで歯磨きをした場合、歯と歯の間のプラークは60%程度しか除去することができません。
一方、歯ブラシとあわせてデンタルフロス、歯間ブラシを使用することにより、プラークの除去率は90%程度まで上昇します。
奥歯
奥歯はなかなか歯面が見えない上に、奥まった位置にあるため、全体的に磨き残しが発生しやすいです。
まず、奥歯の頬側を磨く際は、口を閉じ気味にするとよく磨けます。
口を大きく開けると頬が引っ張られてしまい、歯ブラシが奥まで届きにくくなってしまうからです。
また、奥歯の舌側を磨く際は、前歯の中央付近から、歯の並びと平行になるように歯ブラシを入れると、きちんと舌側に歯ブラシが当たり、磨きやすくなります。
その他、奥歯の奥については、歯ブラシのつま先と呼ばれる先端部分の毛先を使い、噛み合わせの面から当てるようにして磨くと、上手にプラークを除去することができます。
歯と歯茎の境目
歯と歯茎の境目には、歯周ポケットと呼ばれる段差があります。
こちらも、プラークが溜まりやすく、磨き残しが発生しやすい場所の一つです。
歯と歯茎の境目を磨く際は、境目の部分に歯ブラシの毛先が届くように、斜め45度に当て、小刻みに動かしましょう。
強い力で歯ブラシを動かすと、歯茎を傷付けてしまうおそれがあるため、なるべく軽い力で磨くのがポイントです。
前歯の裏側
前歯の裏側は、凹んでいる部分やカーブしている部分があるため、磨き残しが発生しやすいです。
よほど意識しなければ、磨くことなくスルーしてしまう可能性も高いため、注意してください。
特に、下の前歯の裏側は唾液の分泌腺があり、歯石がつきやすい場所です。
前歯の裏側を磨く際は、歯ブラシを縦にして、毛先を歯の裏にしっかり押し当て、上下に動かして磨きます。
歯ブラシの毛先で、汚れを外にかき出すようなイメージです。
ちなみに、下の前歯の裏側については、歯ブラシの毛先の下の部分、いわゆるかかとの部分をうまく使うことで、汚れを取り除きやすくなります。
磨き残しを防ぐための歯ブラシの選び方
上記のような場所の磨き残しを防ぐためには、正しいブラッシングを実践することも大切ですが、その際に使用する歯ブラシ選びも重要です。
以下のような特徴を満たした歯ブラシであれば、セルフケアの効果が十分に出る可能性が高いです。
・ヘッドが小さい
・持ち手が手の大きさに合っている
・毛先が細い
・毛先がやわらかい
ヘッドが小さい
歯ブラシのヘッド部分は、大きければ大きいほど早く磨くことができますが、歯ブラシが届きにくい部分も増えてしまいます。
そのため、口内を隅々まで磨くには、ヘッドが小さい歯ブラシを選ぶべきです。
ちなみに、奥歯は特に歯ブラシが届きにくいため、ヘッド部分が薄く、奥までしっかり届くタイプがおすすめです。
持ち手が手の大きさに合っている
歯ブラシの持ち手の部分は、実際に手に取ったとき、余計な力が入らず、手にフィットするものを選びましょう。
このような歯ブラシであれば、力をかけずに優しく歯を磨くことができます。
毛先が細い
歯ブラシの毛先が平らなものは、効率良く歯を磨くことができますが、歯並びが悪い方は、毛先が届きにくい部分が多くなります。
そのため、毛先はなるべく細く、山型になっているものがおすすめです。
毛先がやわらかい
歯ブラシの毛の硬さには、硬め、ふつう(レギュラー)、やわらかめがあります。
特に歯茎に問題がない場合は、ふつうを選んでも良いですが、歯茎に炎症が起きている場合や、出血をしやすい方などは、やわらかめを選ぶことで、歯茎への刺激を軽減することができます。
まとめ
ここまで、磨き残しが多い場所の磨き方と、磨き残しを防ぐための歯ブラシ選びについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
セルフケアにおいて重要なのは、“毎日歯磨きをすること”ではなく、“毎回の歯磨きで汚れを落とすこと”です。
磨いているという事実で満足してしまい、口内に食べカスやプラークが残ってしまうと意味がないため、その点は注意が必要です。