日本に居住する方は、当然虫歯を発症したときには日本の歯科クリニックで治療を受けることになります。
一方例えば海外旅行に行ったとき、急に虫歯が痛み出したケースなどでは、現地の歯科クリニックに通院しなければいけないこともあります。
今回は、海外で虫歯治療を受けることのデメリットについて解説します。
海外で虫歯治療を受けることのデメリット4選
海外で虫歯治療を受けるという選択肢には、以下のようなデメリットがあります。
・治療費の高騰と保険適用の制限
・言葉の壁によるコミュニケーションの難しさ
・日本との治療方針や精度の違い
・アフターケアと帰国後の継続治療の困難さ
各デメリットについて詳しく説明します。
治療費の高騰と保険適用の制限
海外特に欧米諸国での歯科治療費は、日本の感覚からすると驚くほど高額です。
日本には国民皆保険制度があり、虫歯治療の多くが保険適用となるため、窓口での支払いは数千円程度で済むことが一般的です。
しかし、海外の多くの国では歯科治療は自由診療が基本であり、単純な詰め物一つで数万円、神経の治療では1本あたり10万円~30万円以上の請求が来ることも珍しくありません。
また日本の公的医療保険には海外療養費制度が存在しますが、これには大きな落とし穴があります。
この制度は、海外で支払った実費が戻ってくるわけではなく、日本国内で同じ治療を受けた場合の保険診療代を基準に計算されます。
例えばアメリカで20万円払った治療でも、日本での保険点数が1万円分であれば、その3割を除いた7,000円程度しか還付されません。
結果として、差額の19万円以上が自己負担となります。
さらにインプラントや高価なセラミックなど、日本で保険外とされる治療は還付の対象外です。
民間の海外旅行保険でも歯科治療は特約扱いであることが多く、加入していなければ一切補償されません。
言葉の壁によるコミュニケーションの難しさ
医療現場におけるコミュニケーションの不一致は、治療の質や満足度に直結する重大な問題です。
虫歯治療では単に「歯が痛い」と伝えるだけでなく、いつから・どのように・どの程度の頻度で痛むのかという詳細な症状や、持病の有無などを正確に伝える必要があります。
これらを現地の言葉や英語の専門用語を交えて説明するのは、日常会話に不自由しないレベルの人であっても非常に困難です。
もし意思疎通が不十分なまま治療が進んでしまったら、「削るだけで済むと思っていたのに、説明がないまま神経を抜かれた」といったトラブルに発展しかねません。
また医師側からの治療後の注意事項や処方薬の服用方法を誤解してしまうと、術後の感染症や治癒の遅れを招くおそれもあります。
現地の日本人歯科医を探すという手もありますが、予約が数週間先まで埋まっていることも多く、急な痛みがある時には現実的な選択肢にならないケースが多々あります。
日本との治療方針や精度の違い
歯科医療の考え方は国や文化によって大きく異なります。
日本の歯科治療は、厚生労働省の指針に基づき“天然歯をできるだけ残す”という考え方が根底にあります。
しかし欧米や一部のアジア諸国では、将来的な再発リスクや治療回数の短縮を重視し、“抜歯してインプラントやブリッジにする”という合理的な判断を下す傾向があります。
日本人にとって“まだ残せる”と思う歯でも、現地の基準では“抜くべき歯”とされる可能性があるのです。
また、治療の精度や美意識の差も無視できません。
日本の歯科医師は、咬み合わせの微調整や隣り合う歯との隙間の詰め方に非常に繊細なこだわりを持つ人が多いですが、海外では「機能すれば良い」で済まされることもあります。
さらに使用される充填剤や金属などには日本の薬機法で承認されていないものもあり、帰国後それが原因で不具合が起きても、日本では対応に苦慮することがあります。
アフターケアと帰国後の継続治療の困難さ
歯科治療は治療が終わった瞬間がゴールではなく、その後の経過観察とメンテナンスが非常に重要です。
海外で治療を受けた直後に帰国した場合、詰め物が外れたり、治療したはずの場所が再び痛み出したりしても、執刀した医師にすぐに診てもらうことは物理的に不可能です。
特に数ヶ月から数年単位で行う矯正治療やインプラント、根管治療の途中で帰国せざるを得なくなった場合、日本での引き継ぎは極めて困難を極めます。
また日本の歯科クリニックの多くは、海外の他院で始まった治療の続きを引き受けることを嫌がります。
なぜならどのような手順で、どのような材料を使って処置されたのかが不透明な状態で手を出してしまうと、万が一トラブルが起きた際に責任の所在が曖昧になるからです。
多くの場合、日本の歯科医師からは一度海外での治療箇所をすべて取り壊し、検査からやり直すことを提案されます。
これでは、海外で費やした高額な費用と時間はすべて無駄になり、身体的な負担も二重にかかることになります。
まとめ
海外での虫歯治療には、費用面だけでなく安全性や継続的な通院、アフターケアといったさまざまな面でのデメリットがあります。
そのため、海外旅行に行く前に日本の歯科クリニックに通い、口内のトラブルを解決しておくことが望ましいです。
また現地で急に口内トラブルが起きた場合、予定を変更してでも帰国する方が、後々のことを考えると賢明な判断だと言えます。

