子どもの歯は、生後6ヶ月頃から生え始め、一般的には2歳半を過ぎた頃に、すべての乳歯が生え揃います。
しかし、乳歯が生え揃ったにもかかわらず、その状態が正常ではないときがあります。
今回は、子どもの歯の異常の一つである“過剰歯”の概要やデメリット、治療法などについて解説します。
過剰歯の概要
乳歯はすべて生え揃った段階で、20本と本数が決まっています。
過剰歯とは、こちらの決まった本数よりも多く生えてくる歯のことをいい、乳歯であれば21本以上は過剰歯にあたります。
また、過剰歯は通常よりも歯冠が小さい場合が多く、特に女性よりも男性に多いという傾向があります。
割合としては、30~40人に1人程度見られるものであり、それほど珍しくはありません。
ちなみに、過剰歯が見つかるきっかけとして多いのは、乳歯から永久歯への生え変わりが始まる6~7歳頃、レントゲン撮影を行ったときに見つかるというケースです。
過剰歯の原因
乳歯における過剰歯は、歯がつくられる段階で、顎の骨の中に存在する歯の卵である歯胚が多くつくられたり、2つに分かれたりすることが原因とされています。
しかし、このような歯胚の異常がなぜ発生するのかについては、現在も明らかになっていません。
また、遺伝が関係しているという説もありますが、こちらもあくまで説の一つであり、親御さんに過剰歯が見られないからといって、子どもにおける過剰歯の心配がなくなるというわけではありません。
過剰歯の種類
子どもの過剰歯には、以下の4つの種類があります。
・順正過剰歯
・逆性過剰歯
・正中過剰歯
・水平埋伏歯
順正過剰歯は、天然歯と同じ向きで生えてくる過剰歯で、逆性過剰歯は、通常の歯とは異なる向きで生えてきます。
正中過剰歯は、上の前歯の間、裏側から生えてくる過剰歯で、もっとも多く見られるパターンです。
また、水平埋伏歯は、文字通り歯茎や骨の下に埋まっている過剰歯で、真横から生えてくるのが特徴です。
子どもの過剰歯におけるデメリット
子どもの過剰歯を治療せずに放置していると、以下のようなデメリットが生まれます。
・永久歯がうまく生えてこない
・上の前歯に隙間ができる
・痛みが出る
・細菌感染を引き起こす
永久歯がうまく生えてこない
通常、乳歯が抜けた後には、およそ3ヶ月で永久歯がまっすぐに生えてきます。
しかし、過剰歯が永久歯の生える位置にあると、それを邪魔してしまい、うまく生えてこないことがあります。
その結果、歯並びが凸凹の状態である叢生につながったり、虫歯や口臭のリスクが高まったりすることも考えられます。
上の前歯に隙間ができる
永久歯の場合、前歯の間は少々空いていても問題ありません。
しかし、過剰歯があることにより、乳歯の段階で大きく隙間が空いている場合、今後の噛み合わせに大きな影響が出ることがあります。
また、このような状態を放置していると、永久歯の前歯も大きく広がり、八の字になってしまうことが考えられます。
痛みが出る
顎の骨の中に過剰歯が埋入している場合、歯の神経を圧迫し、痛みにつながるおそれがあります。
また、永久歯の神経が損傷を受け、壊死する可能性もあり、そうなると永久歯がうまく生えてこず、抜歯を余儀なくされることも考えられます。
細菌感染を引き起こす
過剰歯の近くにある永久歯の神経が虫歯などによって失われてしまった場合、その近くにある過剰歯にも細菌がうつってしまい、過剰歯そのものが細菌感染してしまうこともあります。
子どもの過剰歯の治療法について
子どもの口内に過剰歯が見つかった場合、基本的には抜歯で対応することになります。
具体的には、抜歯によって過剰歯を取り除き、永久歯が生えてくる際に悪影響を与えないようにします。
歯茎の中に過剰歯が埋まっているのがレントゲン、CTでの撮影データで確認された場合は、歯茎を切開し、埋伏している過剰歯を除去します。
ただし、過剰歯が埋まっている場所や、周囲の血管、神経との位置関係によっては、除去するのが難しいケースもあります。
ちなみに、他の歯に影響がないと考えられる乳歯の過剰歯は、抜歯をせずしばらくの間様子を見ることもあります。
無理に抜歯を行うと、歯茎の切開などにより、子どもの心身に負担がかかってしまうからです。
矯正治療で対応する場合もある
過剰歯が前歯に現れた場合、前歯が前方に突き出す出っ歯の原因になります。
このようなケースでは、余分な歯を抜いたのち、矯正治療で対応することもあります。
ちなみに、過剰歯を除去せずに矯正治療を行うことは、基本的にはありません。
根本的な原因を解決しない限り、矯正を行っても整った歯並びにはならないからです。
まとめ
ここまで、子どもの過剰歯におけるデメリットや治療法を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
過剰歯があるからといって、特に問題がないというケースは稀にありますが、過剰歯が何らかのメリットを生み出すことは基本的にはありません。
デメリットにつながることがほとんどのため、親御さんは放置しないように注意してください。