ホワイトニング治療の前には、注意すべき症状というものがいくつかあります。
例えば、無カタラーゼ症の方や光線アレルギーの方は、ホワイトニングの種類に制限がかかるケースがあり、テトラサイクリン歯の方も、治療は慎重に行わなければいけません。
今回は、テトラサイクリン歯のホワイトニングについて詳しく解説します。
テトラサイクリン歯の概要
テトラサイクリン歯とは、テトラサイクリン系抗生物質により変色した歯のことをいいます。
歯の形成期(0~12歳頃)にこちらの抗生物質を大量に摂ると、副作用として歯の変色が起きます。
また、見た目の特徴としては、歯の色が灰色っぽくなっていたり、縞模様があったりするケースが多いです。
ちなみに、テトラサイクリン歯は前歯などの目立つ場所だけでなく、歯全体で見られることがほとんどです。
テトラサイクリン系抗生物質について
テトラサイクリン系の抗生物質には、ミノサイクリンやオキシテトラサイクリン、クロールテトラサイクリンなどの種類があり、これらはかつて風邪薬のシロップに使われていて、日本では昭和40年代に多量に使われていました。
そのため、こちらの年代に生まれ育った方には、テトラサイクリンで変色した歯が多く見られます。
また、こちらの抗生物質には、菌の増殖を抑える働きがありますが、歯の着色の報告が挙げられてからは、妊婦さんや12歳までの子どもへの処方について、やむを得ない状況を除き避けられるようになっています。
ちなみに、現在でも肺炎やニキビの治療薬として使用されています。
テトラサイクリン歯が形成される仕組み
歯は大きく3層に分かれています。
具体的には、外からエナメル質、象牙質、歯髄の3層です。
テトラサイクリン系抗生物質は元々黄色なのですが、こちらの色が象牙質のカルシウムと結合します。
また、象牙質も元々黄色っぽい色をしていて、生活の間、歯に紫外線が当たると、結合した成分はどんどんと濃くなります。
その後、さらに歯の色が濃くなると、濃い黄色や灰色に変化していきます。
テトラサイクリン歯の方はホワイトニングを受けられない?
テトラサイクリン歯がある方は、歯科クリニックでホワイトニング治療を受けられないのかというと、決してそういうわけではありません。
着色が軽度の場合、完全に縞模様を消すことはできませんが、色を明るくすることは可能です。
ただし、通常の歯に比べて明るくなるのに時間がかかるため、ホワイトニングコースの回数は少なくても4回以上がおすすめです。
ホームホワイトニングを併用するデュアルホワイトニングでも、ある程度の効果が見込めます。
ちなみに、テトラサイクリン歯は日光に当たるとより着色が濃くなるため、こまめにホワイトニングを繰り返すことにより、着色の進行を防ぐことができます。
効果が出やすい箇所と出にくい箇所について
軽度のテトラサイクリン歯であれば、ホワイトニングの効果が期待できるという話をしましたが、着色している箇所によっても、効果が出やすかったり、出にくかったりすることがあります。
例えば、テトラサイクリン歯の先端1/3の着色は、比較的白くなりやすく、繰り返しのホワイトニングで白くできる場合があります。
一方、歯の根元1/3の部分は特に白くなりにくく、ホワイトニングの効果が出ないケースが多いです。
そのため、治療を受けることにより、かえってツートンが目立ってしまうことが考えられます。
重度の着色がある場合はホワイトニングを受けるのが難しくなる
テトラサイクリン歯の方が、ホワイトニングによってどのくらい白くなるのかについては、変色の段階によって異なります。
変色には段階があり、全く影響が見られない第0度から軽度の第1度、中程度の第2度、重度の第3度とかなり重度の第4度に分けられます。
第4度になると、ホワイトニングでは歯を白くするのがかなり難しい状態です。
重度のテトラサイクリン歯はどのように白くする?
重度の着色が見られるテトラサイクリン歯の場合、一般的にはラミネートベニアが行われます。
ラミネートベニアは、歯の表面を0.3mm~0.5mmほど削り、歯科用接着剤で貼り付けることで、色や形、大きさ、隙間を改善する方法です。
イメージとしては、つけ爪に近い感覚です。
テトラサイクリン歯では、ホワイトニングで改善されないケースの治療によく用いられます。
また、歯の形や歯並び(歯の隙間やねじれなど)が同時に治せるのもラミネートベニアの利点です。
費用については、前歯1本あたり10~15万円程度です。
ちなみに、ラミネートベニア以外の治療法としては、セラミッククラウンも挙げられます。
まとめ
ここまで、テトラサイクリン歯の概要とホワイトニングの効果を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
テトラサイクリン歯がある方の中には、すでにホワイトニング治療を諦めているという方もいるかもしれませんが、その判断はまだ早いです。
軽度の着色である場合や、縞模様がほとんど見られない場合などは、十分にホワイトニングの効果が得られる可能性があります。